農商工連携を始めとする地域の新産業創出に向けた
ITの活用に関する調査研究報告書

−抜 粋−
 
 
  今回、現在芽生えつつある地域での農林水産業をベースとした農商工連携他の事例を調査分析し、可視化された新産業創出方法論とITの活用方法を作成・提起し、今後の農商工連携を始めとする地域産業創出のためのイノベーション普及の支援策と支援を受けるための地域の基準等の調査・研究を行った。
  なお、本調査報告書は、財団法人日本情報処理開発協会が財団法人JKAの補助金を受けて実施した平成20年度情報化の推進に関する補助事業「情報化の推進のための基盤整備に関する調査」事業の一環として作成され、財団法人日本生産性本部が同協会より委託を受けて取りまとめたものである。

○地域における新産業創出イノベーションの発展段階とITの段階別役割という仮説の設定

[イノベーションの成功に至る7段階の段階論]
  第1段階・・・地域内で危機感を共有する
  第2段階・・・リーダーが出て聞き打破を試みる
  第3段階・・・新産業イノベーション創造に向けての
  第4段階・・・内外にイノベーションを普及させていく
                   4段階から何らかのITの導入・利用が図られる
  第5段階・・・成功体験を勝ち取り、新産業がビジネスとして回り始める
  第6段階・・・ブランド化が追求される
                   ITによる、ビジネスモデルの加速・拡大 
  第7段階・・・危機感の具体的な数値であった人口減少・GDP漸減・
                   財政力指数の下げ止まりが見られる

○新産業イノベーションを推進していると思われる地域の調査・分析
  大きく、下記の3分野に絞り、現地調査を含め、実態を調査した
    1)1次産業をベースに農商工連携による6次産業への展開を図る分野
    2)資源制約型の新エネルギー・環境分野
    3)健康・保健・福祉分野

○結論とITの役割
  事例調査から明らかなように、地域の新産業創出は一朝一夕に進むものではなく、特定のステップを踏んだある時間軸が必要となる。そして、その地域の発展段階がどの段階にあるかは、各段階の指標による判断が重要となり、この指標の妥当性も概ね今回の調査で裏づけられた。また、新産業創出におけるITの役割は、地域を活性化させる新産業のビジネスモデル(金が回る仕組み)が成立し、そのビジネスモデルを加速するための手段ということもほぼ確認できた。すなわち、地域の現実としては、まずITありきではなく、危機感を共有した地域がリーダーシップの下に結集し、地域の固有の資源を再発見し、時代の流れを見据え、新たな挑戦に試行錯誤しながらも取組むというアナログな手法で新たなビジネスモデルを模索・確立し、そのモデルを拡大していくためにITが活用されるのが本来の姿なのである。

<地域における新産業創出支援施策のあり方>
1.地域における新産業創出の支援を行う際には、まず当該地域の発展段階の調査と確認を行い、発展段階に応じた支援策を講じる必要がある。

2.発展段階に応じた支援を実施。
1)イノベーションの前段階(第1段階)
  危機意識を醸成する。補助金・交付金に頼る行政や住民の意識を変え、危機感を芽生えさせる。地域活性化アドバイザーの派遣など。
いずれにしろ、地域内で何らかのコミュニケーションにより、危機感の共有と自主的に改革を進めようという動きが生まれなければ、次段階へのステップは考えられない。 この段階では、コミュニケーションツールとしてのIT利用は意味がある場合もある。

2)危機打破の試み(第2段階)
  全国各地のイノベーションの事例などを提供するとともに、当該地域のメンバーを地域活性化に成功した地域や、モデルとすべき国内外地域へ視察(安心院町のドイツ・アッカーレン村、大山町のイスラエルのキブツなど)や研修で派遣する。地域活性化アドバイザーの派遣など。リーダーの見極めと、推進実行者の選定がこの段階。

3)イノベーションの創造(第3段階)
  地域からのイノベーション提案に対し、人・モノ・金の初期投資の支援を行う。
また、公的調達、規制緩和などのこの段階。初期投資の支援の行うわけであり、第3段階までの各指標をクリアしているか、十分に吟味する必要がある。

4)イノベーションの普及(第4段階)
  イノベーションのアイデア(初期投資)はそのまま成功するケースは稀である。成功しない理由を明らかにするための調査やマーケット分析の作業を支援する。それによって成功へ向けての軌道修正を行っていくが、事例によっては10年以上もの年月をかけており、息の長い支援が必要である。

5)ビジネスモデルの確立(第5段階)
  確立されたビジネスモデル(金が回る仕組み)を加速していくために、IT導入の検討をおこない、ITの導入の支援を行う。

6)イノベーションの拡大(第6段階)
  IT活用方法を見直し、さらにビジネスを拡大するためのIT活用方法を検討。