政府の推進してきた「e-Japan戦略」は、「新IT改革戦略」へと引き継がれた。2005年までの努力の結果、わが国のIT化は大きく進展し、インターネットは、ブロードバンド比率において世界で2番目の普及率を誇り、その速さと価格も世界に誇る水準になるなど、目覚ましい成果を上げた。
その一方で、利用者からの視点、国民満足度、情報格差、医療、教育分野などの利活用、中小企業向け、セキュリティ、防災、災害時対応、国際競争力、国際貢献においては、依然として多くの宿題が残ってしまった。
今後それらの課題を解決するためには、新改革戦略ではITの構造改革力を生かしていくことが期待されているが、国・都道府県・市町村それぞれの役割を明確にするとともに、さらには行政と企業・民間団体の力と住民の持つ力の相乗効果が上がるようなあり方を模索していく必要がある。推進の担い手である地方自治体を取り巻く環境は、三位一体と地方分権化によって、地理的環境、社会インフラの差、予算の制約、人材難などから厳しさと格差を一層増していくことは間違いがない。交付金や補助金たよりの行政から脱皮し、「自治体経営の質」とそれを支える人々の力量が問われているといっても過言ではない。そして情報化は、以上のことをさらに加速する可能性がある。ITをツールとしての自治体の新しいあり方の模索はまだまだ始まったばかりなのである。本来、電子政府・自治体は、今までの仕事のあり方を、庁内業務においても企業や住民との関係においても、そのプロセスを一変するはずなのである。
今回取り上げる「先進自治体等のチャレンジに学ぶ」の連載は、e-Japanの新しいステージへのスタートに当たり、困難な状況の下で今までのあり方を脱皮しようと電子自治体構築に向けて果敢に取り組んでいる各自治体の情報化リーダー・実務家の方々の汗と努力を一つの「ベスト・プラクティス」としてとしてベンチマークをしていこうとするものである。また、このシリーズのあとには、電子自治体の課題克服のために全国を飛び回っている研究者など叡智や新しいアイディアを紹介したいと考えている。
例えば、ベストプラクティスに学ぶということは何かを具体的に紹介すると、情報化成功への最後の鍵は、各地の意欲的な自治体のリーダー実務家と住民たちが、制約だった課題を解決し、価値創造が行ったことに素直に学ぶことであろう。既に制約を克服した自治体は、次の段階の「電子自治体化」への新しい挑戦に入っている。今後各自治体は、先駆者の失敗やそれを克服したプロセスやその後の成功に積極的に学ぶべきであろう。まずそれには、職員の仕事と情報リテラシーに係わるスキルの向上が必須のこととかんがえる。例を横須賀市にとれば、「電子市役所推進戦略」を定めそれに基づき、職員の仕事と情報リテラシーに係わるスキルの必要な要件を定め、電脳仕事人(H8〜10)」や「電脳マスター(H10〜13)」養成塾、「電脳経営塾(H14)」などの情報化研修や、外部の団体が実施する情報セキュリティ研修への職員派遣を行い徹底的な、職員の能力開発を行ってきた。また、西宮市においても、全ての情報化システムや「道知る兵衛」の開発など、新しいGISなどの活用を市の職員独自で行うような能力を開発し、中越大地震のときには、阪神淡路大震災の時のナレッジと情報の活用について支援の手を瞬時に差し伸べるようになるまで力量を高めてきたのである。 自治体情報化の成功は、職員と住民そしてコラボレーションができる企業や民間NPOの力量を相互に高めていくことこそが、急がば回れということである。平成18年には、約1,800団体になりつつある自治体が、各自治体の特性(イネーブラ)と環境、めざすビジョンを確かめた上で、相互に学びあって研鑽できるような場が構築されていくことが望まれていることを今回の連載で紹介していきたい。
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