「情報化シンポジウム・イン・東京」開催報告  
 
 利用者ニーズに応える便利で効率的で安心な電子行政の推進を
  「利用者ニーズに応える便利で効率的で安心な電子行政の推進を」をテーマとした「情報化シンポジウム・イン・東京」(主催=日本生産性本部、共催=日本経済団体連合会、市民が主役の地域情報化推進協議会、地方自治情報センター)が去る7月22日、グランドアーク半蔵門で開かれ、電子行政の推進に関心を持つ市民・企業・自治体関係者ら約150名が集まった。電子行政の課題、目指すべき方向や国民IDの導入などについて活発な意見交換が行われた。

北川氏
北川 教授
  シンポジウムでは、松川昌義・日本生産性本部常務理事の開会あいさつに続き、北川正恭早稲田大学大学院公共経営研究科教授が「新しい国づくりに向けたITの役割」をテーマに記念講演を行った。
  北川氏は、「ITを活用した国の作り変えをしなければいけない時期に来ている」「行政効率の視点で見ると縦割り行政による様々な壁を取り除いていく必要がある」「そのためには国民ID制度が必要不可欠である」「政治が信頼をとりもどすためのITの導入が必要である」との見解を述べた。

  記念講演に続き、パネルディスカッションに先立つ基調提起を現状レポート(電子行政の現状と課題)として、榎並利博・富士通総研プリンシパルコンサルタントが現状を報告した。
  榎並氏は「IT革命が実行されず、自治体と税務署、法務局、社会保険事務所など外部との連携は依然として紙ベースで行われており、市町村事務では約1000億円以上の無駄が生じている」「氏名漢字が標準化されておらず、氏名(本人)の特定が容易でない」などの状況を説明した。

パネラー
パネラー
  基調提起の後、「利用者ニーズに応える便利で効率的で安心な電子行政の推進を」をテーマに、経団連電子行政推進委員会委員長の秋草直之氏(富士通取締役相談役)、日本生産性本部情報化推進国民会議委員長の児玉幸治氏(機械システム振興協会会長)、埼玉県鶴ヶ島市長の藤縄善朗氏、自由民主党IT・行政改革推進委員長の村上誠一郎氏(前衆議院議員)によるパネルディスカッションが行われた。進行は、市民が主役の地域情報化推進協議会理事長の須藤修氏(東京大学大学院情報学環教授)。「電子政府・電子自治体の現状と目指すべき社会」、「国民IDが何故不可欠のか」「電子行政の推進をこれからどうするべきか」などを論点に活発な議論が展開された。

  児玉氏は、「行政分野単位での効率化は進んでいるが、国民の目線に立てば、現状では利用者が何度も窓口に出向いたり、同じ情報を違う様式で何度も提出しなければならず、国民にはたいへんな負担や不便がかかっている」と述べ、「縦割りの行政に対して横串を通していくことの必要性」を強調した。また、「新しい時代に対応できる人材を養成していく必要がある。まずはCIO的な人材を急いで養成していくことが必要である」と述べた。

  秋草氏は、「縦割り組織に横串をさすためには強力なリーダーシップが必要である」ことを強調し、「電子行政先進国が実現しているサービスごとに、それをいつ実現していくのかの目標と工程を示して推進していく必要がある」と述べた。また「民間でできることは民間に任せてしまうやり方もある」こと述べた。

須藤氏
須藤 教授
  藤縄氏は、「自治体のデジタル化の前提として、業務の進め方を変えていかなければならないが、その前提の部分に手が付けられていないのが実情である」「国の制度が縦割りになっており、その壁をなかなか突破できない」「そこを変えていくだけで利便性は大幅に増す」ことを強調した。

  村上氏は、「電子政府は、国と社会の効率化、透明性の確保、国民参加、国の競争力強化など国力の強化につながる施策である」「電子政府の推進は行政だけでは無理である。強力なリーダーシップとそれを支える法体系の整備が不可欠である」「社会基盤としてのIDは、IT国家の基盤である」「世界の国々の状況を国民の皆様に良く知っていただくことが重要」と述べた。

  須藤氏は「日本は10年前のフレームで考えている。世界は先を行っており、それに追いつき、追い越す戦略が求められている。そのためには官民の連携が不可欠である」とまとめた。

パネルディスカッション
パネルディスカッション