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■人的資源管理コラム
「大学教職員の賃金制度の特徴(第1回)」<2010/11/15>
私立大学の帰属収入は入学金や授業料など学生納付金による収入が約8割を占めていますが、少子化による受験生・学生の減少で財務上の困難に直面している大学も少なくありません。前回のグラフでも分かるように、大学および短期大学における人件費比率および人件費依存率は、ここ10年間いずれも上昇傾向にあり、特に短期大学でその傾向は顕著に見られます。
消費収支計算結果(下表)から見ると、その要因が浮かんできます。下表のデータから分かるように、学生納付金の減少に伴い帰属収入も減少してきています。一方、消費支出は急激に増加をしており、平成20年度の時点では帰属収入と消費支出がほぼ同額となっています。




これを平成13年度=100とした指数で見ると、グラフのようになります。
まず、図表3では、消費収支が帰属収入の伸びを大幅に上回って伸びていることが分かります。帰属収入は平成16年度までは、学生納付金の伸びとほぼ重なっていましたが、その後、学生納付金の伸びをこえています。外部資金獲得などの経営努力の結果が出てきているといえます。しかしながら、平成20年度に学生納付金の伸びが下がると、帰属収入の伸びを下がっており、依然として帰属収入に占める学生納付金の比重が大きいことが分かります。また、帰属収入の伸びと人件費の伸びがほぼ同じであることもこのグラフから分かります。
消費支出の6割近くを占める人件費の伸びを見ると図表4のようになります。さらに、人件費のうち、教員及び職員に分けると、いずれも伸びていること、職員に比べて教員の人件費の伸びが大きいことなどが分かります。


大学の教職員の賃金は、その特徴として下方硬直性の強い、右肩上がりの年功型賃金となっていることです。そのため、毎年、定昇があり人件費は右肩上がりに増加していくことになります。帰属収入の伸びが鈍化する一方で、賃金体系が年功的ということは、大学の収入に関わらず固定費的に人件費が膨張していくことになります。そのため、大学の経営にリンクした、変動費型の賃金等処遇制度の整備をどのように進めていけばよいかが重要な経営課題となってきているのです。

(日本生産性本部大学人事戦略クラスター上席主任研究員 東狐 貴一)


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