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■キャリアコラム:今改めて大学の就職力を問う=第3回= (2011/01/06)
    大学生が急増する中での就職活動
来春卒業予定の大学生の就職内定率が57・6%(10月1日現在)と、2000年前後の就職氷河期並とされた昨年同時期よりさらに4・9ポイントも低下したことが伝えられた。
不況によって求人数が減少していることが原因だと考えがちだが、そればかりではない。大学生の数が急増しているのだ。大学進学率は、1989年(平成元年)の36・3%から20年で53・7%へ増加し、大学卒業者数は、約40万人から約50数万人へと、10数万人も増加している。
一方、求人数は直近の数年間について言えば「超売り手市場」だったバブル期を上回る水準となっている。求人の増加を上回るペースで、大卒者が増加したのだ。大学を出れば、なにはともあれ、そこそこ知られた企業のホワイトカラー職に就けるなどという時代は完全に過去のものになった。子弟を大学に進学させる親たちはこのことを肝に銘ずる必要がある。

「新入社員の質の低下」の背景
採用する企業の側から見れば、選び放題の買い手市場ということだ。しかし、採用担当者たちは新入社員の質の低下を嘆く。一様に「若者ダメ論」を述べることが多い。これには二つのことが関係している。
一つは就職活動の長期化によって、学生が落ち着いて勉強する時間が失われたこと。大学は学生の確保に必死で、そのためには就職状況をよくすることが早道とばかりに入学当初から就職対策をあおる。就職活動は三年の夏から始まり、内定が得られなければ四年までずれ込む。これが専門課程が始まる時期に重なる。
最近は入試を経由しないで入学する学生が増加したため、高校レベルの知識がきちんと身についていないことが珍しくない。そのうえ、就職活動中心の学生生活。日本の大卒者の多くは、大卒者の国際規格を満たしていないと思われる。
もう一つは、毎春の新入社員意識調査のとりまとめの際に指摘していることだが、豊かな時代に生まれ育った最近の若者は、働く動機づけが不透明になってしまい、マネジメントが難しいのだ。新しいマネジメント手法の開発が急がれるのだが、これといった方向性を発見している企業はまだ少ない。

新興国留学生が人気
そんななか、中国をはじめとする新興国の留学生が企業に人気だという。日本人の大卒者より、はるかに質もよく、また真面目によく働くからだという。新興国は日本の高度成長期のような状況にあるので、若者たちは、かつての企業戦士的な意識をもっている。
一足先にこの状況を迎えたのが大相撲の世界だろう。3K的な環境が日本の若者に不人気となり、モンゴルをはじめとする外国の力士ばかりが目立つようになった。それは国際化という流れでもあるが、日本の若者の特質を活用する努力も忘れないでほしい。

(ライズコーポレーション代表取締役、日本生産性本部就職力センター研究主幹・岩間夏樹)


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