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    ■経営改革関連

■経営改革関連コラム
  コンサルティングの現場から(第1回) 大学の事務業務の改善(2011/02/01)
 大学経営において、学生確保は収入面における重要な経営課題である。費用面では、業務量の増大による人件費の増加があり、苦労されている大学が多くある。大学事務について、組織として効率化を早急に考える必要がある。以下は、大学の事務業務改善のコンサルティングを通して感じたことをお話したい。

■事務量の増加
 大学キャンパスにおける事務業務は、学生やその保護者、OB・OG、行政、教員、法人など多岐にわたる関係者に対して行われている。
 外部関係者からの依頼業務が多く、また年々サービス・レベルの向上を要求されてきており、キャンパスにおける事務量は増加し続けている。
 事務量が増加する理由は、いくつかあるがその1つは、新しい業務がいくつもビルド(誕生)しても、スクラップ(廃止)がないことである。つまり、スクラップandビルドではなく、ビルド、ビルド・・・andビルドとなっている点である。
 本来であれば、事務職員数×業務遂行能力によって、枠として処理可能業務量が決まっているはずである。しかし、この処理可能業務量に関係なく、新しい制度や新たな学校行事などがビルドされているキャンパスでは、事務職員の業務量が多くなり、その結果として残業代など人件費が増大することになる。 
 事務職員の業務増大は人件費の問題だけでなく、経営施策の未実施などにもつながってくる。つまり、日々の業務に追われ、経営計画の施策が実施されない、されても中途半端になっていたり、不十分なまま終わたりしているケースもある。それらが、大学経営にとって大きな問題ともなっている。大学キャンパスにおける業務は、処理可能業務量の範疇におさめることが望まれる。そのためには、業務がキャンパス責任者だけでなく、法人責任者にも業務実態が「見える化」する必要がある。

■実態が見えない事務業務
大学事務は多岐にわたる関係者に対して行われている以外に、以下の問題となる特性がある。
@業務職人がいる
キャンパスには多くの学生や教員がおり、その対応のため事務職員も人数的には多くいるが、配属されてから十年も二十年も同じ業務を担当している事務職員や臨時職員などがいる。
特定業務に精通していることはいいが、他者への引き継ぎができない業務職人がいる。最近はパソコン用データベースソフトも安価であり、簡易にデータベースを構築することができるようになってきている。
そのため、自分で業務データベースを構築して業務効率を上げている例を見ることがある。
しかし、個人が開発したデータベースは他者がメンテナンスすることができなく、担当を替えることは難しく、替えると業務遂行ができないところまできている事務業務もある。

A業務が設計されていない
大学事務においては、学生課や教務課などの組織があるが、外部から新規業務の依頼がくると関連する組織が業務を行う。
どのように処理するのか、何の資料を提示するのかなど手探りで行うこともある。外部関係者も含めて、業務の全体像を知る者はほとんどなく、次々と関係者に業務が渡っていくため、全体最適や所要時間なども考えられていないのが現状である。

上記などの特性から業務実態が見えなく、業務改善が行われてない大学がほとんどである。

■業務改善への取り組み
 業務時間の削減など業務改善を図るには、まずキャンパスにおける業務の全体像を把握する必要がある。
 そのため、学生課や教務課、施設管理などの組織がどのような業務を行っているのかをリストアップすることである。
 ちなみに、過去のコンサルティング実績から判断すると、1つのキャンパスで400〜600本の業務数量があり、キャンパスが違えば同じ業務名でも違う業務の仕方をしていることが多々ある。
 リストアップ後は、個々の業務について業務の流れや掛っている時間、ボトルネックなどの問題点を業務プロフィールとしてまとめることである。
 次に業務を見直すための基準と改善計画を作成する。そして、改善に取り組むこととなる。業務改善活動は事務職員が取り組めるように、改善研修などで改善手法を修得していき、定期的に改善報告会を実施してモチベーション維持を図ることが望まれる。

 今後も学生や保護者など関係者からの依頼はさまざまな要望の多様性もあり、増えることはあっても、決して減ることはなく、より付加価値ある高度なサービス・レベルを求められる。
それによって事務量が増加し、人件費増が大学経営を圧迫することが容易に想像される。それにどう対応していくかが、大学経営として取り組む経営課題の一つである。


公益財団法人 日本生産性本部
学校支援コンサルタント 小林 定夫


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