国際労働機構の目的に関する宣言
   国際労働機構の総会は,その第26回会期としてフィラデルフィアに会合し,1944年5月10日,国際労働機構の目的及び加盟国の政策の基調をなすべき原則に関するこの宣言をここに採択する。
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   総会は,この機構の基礎となっている根本原則,特に次のことを再確認する。
(a) 労働は,商品ではない。
(b) 表現及び結社の自由は,不断の進歩のために欠くことができない。
(c) 一部貧困は,全体の繁栄にとって危険である。
(d) 欠乏にたいする戦いは各国内における不屈の勇気をもって,且つ,労働者及び使用者の代表者が,政府の代表者と同等の地位において,一般の福祉を増進するために自由な討議及び民主的な決定にともに参加する継続的且つ協調的な国際的努力によって,遂行することを要する。
2
   永続する平和は,社会正義を基礎としてのみ確立することができるという国際労働機構憲章の宣言の真実性が経験上充分に証明されていると信じて,総会は,次のことを確認する。
(a) すべての人間は,人種,信条又は性にかかわりなく,自由及び尊厳並びに経済的保障及び機会均等の条件において,物質的福祉及び精神的発展を追求する権利をもつ。
(b) このことを可能ならしめる状態の実現は,国家の及び国際の政策の中心目的でなければならない。
(c) 国家の及び国際の政策及び措置はすべて,特に経済的及び財政的性質をもつものは,この見地から判断することとし,且つ,この根本目的の達成を促進するものであり且つ妨げないものであると認められる限りにおいてのみ是認することとしなければならない。
(d) この根本目的に照らして経済的及び財政的の国際の政策及び措置をすべて検討し且つ審議することは,国際労働機構の責任である。
(e) 国際労働機構は,委託された任務を遂行するに当り,関係のあるすべての経済的及び財政的要素に考慮を払って,その決定及び勧告の中に適当と認める規定を含めることができる。
3
   総会は,次のことを達成するための計画を世界の諸国間において促進する国際労働機構の厳粛な義務を承認する。
(a) 完全雇用及び生活水準の向上
(b) 熟練及び技能を最大限度に提供する満足を得ることができ,且つ,一般の福祉に最大の貢献をすることができる職業への労働者の雇用
(c) この目的を達成する手段として,及びすべての関係者に対する充分な保障の下に,訓練のための便宜並びに雇用及び定住を目的とする移民を含む労働者の移動のための便宜を供与すること
(d) 賃金及び所得並びに労働時間及び他の労働条件に関する政策ですべての者に進歩の成果の公正な分配を保障し,且つ,最低生活賃金による保護を必要とするすべての被用者にこの賃金を保障することを意図するもの
(e) 団体交渉権の実効的な承認,生産性向上に関する経営と労働の協力並びに社会的及び経済的措置の準備及び適用に関する労働者と使用者の協力
(f) 基本収入を与えて保護する必要のあるすべての者にこの収入を与えるように社会保障措置を拡張し,且つ,広範な医療給付を拡張すること
(g) すべての職業における労働者の生命及び健康の充分な保護
(h) 児童の福祉及び母性の保護のための措置
(i) 充分な栄養,住居並びにレクリェーション及び文化施設の提供
(j) 教育及び職業における機会均等の保障
4
   この宣言に述べた目的の達成に必要な世界生産資源の一層完全且つ広はんな利用は,生産及び消費の増大,激しい経済変動の回避,世界の未開発地域の経済的及び社会的発展の促進,一次的生産物の世界価格の一層大きな安定の確保並びに国際貿易の量の多大な且つ確実な増加のための措置を含む実効的な国際的及び国内的の措置によって確保できることを確信して,総会は,国際労働機構がこの偉大な事業並びにすべての人民の健康,教育及び福祉の増進に関する責任の一部を委託される国際団体と充分に協力することを誓約する。
5
   総会は,この宣言に述べた原則が全世界のすべての人民に充分に適用できること並びに,それをいかに適用するかは各人民の到達した社会的及び経済的発達の段階を充分に考慮して決定すべきであるとしても,まだ従属的な人民及び既に自治に達した人民に対してそれを漸進的に適用することが文明世界全体の関心事項であることを確認する。
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