わが国の生産性運動は,ここに10周年を迎えた。この10年は,奔流の如き技術革新によって,世界の経済が,成長とともに変容を迫られた重大な時期である。
   日本生産性本部は,この間,経営の近代化,近代的労使関係の確立,中小企業の体質改善,アジア諸国との生産性交流等の諸事業を通じて,日本産業の近代化とアジア諸国との協力に努力してきた。
   いまやわが国産業は,世界有数の設備能力を保有し,数年間に生産と貿易の倍増を実現して,先進産業国のグループに加えられるに至った。とはいえ,高度成長は,一方に幾多の立遅れ,矛盾,混迷を孕み,開放経済の進行とともに,漸くそれが表面化しつつある。
   このような「ひずみ」の是正こそ,生産性運動が,今後挑戦すべき最大の課題であるといわねばならぬ。
   生産性運動の精神は,進歩を確信し,たゆみなき前進と改革にたち向う不屈の信念である。従って,これは,進歩と改善を願うすべての者の共通の精神でなけれぱならない。
   日本生産性本部は,設立10周年を迎えるにあたり,日本経済の安定と進歩のために,決意を新たにして,各界の協力の下に,次の如き運動方向に邁進することを宣言する。
1.技術の進歩,国際環境の激変の中にあって,本部は経済界と協力して,経営近代化の基本である人的能力の開発,先進経営管理の導入とその日本的消化,日本独自の経営管理の優れた分野の発展に努力する。
1.企業が社会的一大勢力となるとともに,労働組合もまた社会の秩序を形成する大勢力となった。経営者と同様に,その行動に社会的責任が加重されることは,当然の帰趨である。労働組合は,経済発展と,国民生活向上の一方の担い手としての地位を確認し,技術革新に正しく対処していかねぱならない。これらの分野の近代化にあたって,本部は,生産性を媒体とする教育と実践活動を通じて,積極的に協力する。
1.労使は,新時代におけるパートナーとして,善意と信頼に基づく互助の領域を開拓しなければならない。本部は,労使協議制の一層の活用をはかり,長期労働協約の締結,産業レベルにおける労使協力等,安定的関係の樹立に努力する。政府もまた,今日にかける労働組合の社会的地位を正しく評価し,政策立案,実施に,協力者として参加を求め,やがてわが国においても,経済政策の根幹となるべき所得政策樹立の国民的基盤を培養することを期待する。
1.中小企業は,多くの問題を包蔵しており,政府並びに大企業の責任において打開すべき課題も多々あるが,本部は,中小企業者が,その低生産性を自らの責任において克服するために,人材の育成,経営の近代化に役立つ諸事業を拡充する。
1.アジア諸国との協力に当って,政治的制約を超えた各国共通の目標である生産性運動が,もっとも効果的であることは,すでにアジア生産性機構の設立以来経験してきたところである。本部は,アジア生産性機構と協同して,この運動の発展のために一段の努力を払う。
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