日本生産性本部労使協議制常任委員会(委員長中山伊知郎)は昭和32年に設置され,わが国労使関係の近代化をはかるため,各種の調査研究ならびに普及啓蒙活動を行ない,ここに10周年を迎えた。この間わが国経済は著しい成長をとげたが,労使関係もまた変化と進歩を示した。
   昭和20年代の混乱と葛藤の時代から,30年代に入って労使は問題解決のルールづくりに努力した。その結果40年代の労使関係は安定化の方途をたどっている。
   もとより安定化に貢献した要因は多いが,とくに労使間の協議があずかって力あった。当委員会が眼目としている「労使間の意思疎通」「相互信頼の倍養」は労使協議制の精神に裏付けられ,その普及率は80パーセントを越えた。
   生産性運動の3原則にのっとり労使協議制の普及と活用を提唱してきた当委員会は,これまでの産業別の労使関係の在り方を追求して,石炭,鉄鋼,繊維,私鉄,公共企業体,自動車,紙パルプの労使協議制について調査研究を行ない数次にわたって提言を行なってきた。また一般の企業の労使に対しては,労使協議制の基準案を作成し,企業内労使が活用できるモデル案を示した。これらの諸活動ならびに労使の努力を通じて,労使協議制を育成する土壌がようやくつちかわれた。
   しかし,当委員会の「労使関係白書」が指摘するように,資本の自由化を中心とする経済の国除化に対処して,企業.産業においては,体質強化,再編成が進められ,また経済変化にともなう産業ならびに雇用構造の変化がひきおこされ,それらは労使関係に多大の影響を及ぼしている。このなかにあって,労使は残された課題をかかえながら新局面を打開する必要に迫られている。労使協議制の積極的活用が叫ぱれる所以はここにある。
   当委員会は10周年を迎えるにあたり,労使協議制の一層の発展をはかる立場からあらためて次のことを宣言する。
宣言
1.「あらゆる機会に,あらゆる段階」の労使協議を!
   労使関係は相互信頼を基盤とする。信頼は,信頼をうるにふさわしい実績づくりが不可欠であり,そのためには労使の協議こそ必要である。したがって労使は手続きや形式にこだわることなく,労使間のできるだけ多くの事柄をあらゆる機会と段階で話し合うことが要請される。
1.「生産性向上の方法について」労使が研究協議を!
   労使は生産性向上には協力,その成果の配分には公正の原則が適用されなくてはならない。とくに生産性向上の方法について労使が対等の立場で研究協議することがILOの勧告をまつまでもなく重要である。そのためには労組は経営に対する理解を深めるとともに,みずからのレベル.アップをはかり,経営はまた労組を真のパートナーとして尊重することを配慮しなければならない。
1.「政府もまた国の諸政策」に労使協議の精神を!
   国の諸政策を策定するにあたっては,国民各階各層の意見が反映されることが望ましい。労組は今やその力の充実とともに産業政策の確立に努力している。経営は資本の自由化体制づくりに懸命である。これらの真摯な努力が国の諸政策にくみ入れられることは経済発展はもとより国民福祉向上につながる道である。
   以上の3点を産業界労使,政府関係各位が検討されることを要請する。われわれはまた労使協議制の一層の普及と正しい発展のために努力することを宣言する。
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