わが国の生産性運動は,多大の成果をおさめて,ここに15年を経過した。この間,わが国経済は,国際的にも例をみない高度成長を達成し,海外の注目を集めた。
   高度成長の道程は,新たな経験の連続であった。産業.雇用構造の変化と,経済の国際化は著しく,オートメーションは生産方式を革新し,輸送の高度化は流通の相貌を一変した。近時におけるコンピューターの急速な発達は,知識と情報の意義を飛躍的にたかめ,経営の革新を迫った。かくて高度成長は,高福祉,最適雇用の社会への展望を可能にし,生産性の新たな次元が開かれようとしている。とりわけ,アジアの一角におけるこの達成が,アジアの諸国民に,未来への確信を促した意義は大きい。
   しかしながら,われわれは高度成長の過程で,いくたの社会的ひずみを経験した。物価の高騰,公害の増大は,国民生活にとって由々しい脅威となり,人心の混迷もまた,この成長と関連なしとしない。現代社会の特質は,高度の技術水準と大規模に組織された機構にあり,これらは,高度生産性社会の実現にとって,不可欠の要素であるが,技術の革新と組織の巨大化は,人間疎外をひきおこす危険性を内包している。この弊害を克服するためには,何よりも人間尊重の精神に基づき,参加の原則を,すべての組織に適用しなけれぱならない。
   一方,目を国際社会に移すとき,まず,先進諸国の間においては,流動的な国際経済環境を安定路線へ導き,人間と文化の国際交流を進めて,人類未踏の新社会建設に努めることが肝要である。また,発展途上の諸国に対しては,その開発と発展を助長することが急務であり,先進諸国に課せられた責務は極めて大きい。
   究極において,生産性は人間のものである。生産性運動も,人間における正義の実現と,自由と平等の伸長,連帯の強化へと発展させなけれぱならない。この自覚に立てぱ,いまや生産性運動は,人間の進歩に対する不動の信念と,激動に挑む断固たる決意を示すべきときである。従って,運動の課題はいよいよ深く,いよいよ広くあらざるをえない。
   かかる見地から,われわれは1970年代への出発に当って,生産性運動の3原則を踏まえ,高度生産性社会の実現を目ざして,新たに運動の5つの目標を,以下のとおり確認し,生産性運動の一層の発展を期する。
1.経営革新と人間尊重
   新時代に対応する技術の開発と経営の革新は,人間尊重の原則をつらぬくことによって達成される。教育は,これを実現する必須の方途である。
1.組織と情報への参加
   生産性向上の具体的展開は,すべての構成員がその役割に応じて,組織と情報へ参加することによって推進される。
1.最適雇用の促進
   進歩を希求する精神の涵養と人間能力の関発は,生産性向上の源泉であり,その実現を通じて,各人の能力は最適に活用,発揮される。
1.高福祉の実現
   生産性向上の成果は,豊かな社会の実現と,富の公正,福祉の向上を期して,社会的に配分される。
1.国際連帯の増進
   開発途上国の発展と高生産性諸国間の協力は,相互理解と連帯への具体的行動によって展開される。
   ここに,日本生産性本部創立15周年ならびに生産性年間発足に際し,宣言する。
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