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■新時代の生産性綱領 ―生産性運動20周年にあたって―
      (昭和50年3月1日 財団法人 日本生産性本部)

新時代の生産性綱領 ―生産性運動20周年にあたって―

昭和50年3月1日
財団法人 日本生産性本部

はじめに
   生産性運動の歴史はすでに四半世紀を越え,わが国においてもここに満20年を経過した。 この間,国の内外にわたる経済活動や社会環境の姿は一変した。
   わが国で生産性運動が発足した当時の国民的悲願は,自立経済の達成にあり,これには動 かし難い国民の合意があった。そのため,初期の段階にはもっぱら海外の物的技術ならび に経営管理技術の導入に全力を注ぎ,先進国化への道を邁進することが可能であった。そ の結果,昭和30年代から40年代にかけて重化学工業化を軸にして推進された高度成長路線 は,出発の当時には予想さえしなかった強大な経済力を日本に定着させた。しかしながら ,海外から高い評価を受けた日本経済の高度成長も,その上に推進された生産第一主義や 輸出至上主義の路線によって,ようやく世界経済の秩序に重大な影響を及ぼすに至り,海 外の対日批判が表面化した。
   高度成長路線は,また,国内にも種々な問題を惹起するに至った。すなわ ち,国民総生産の極大化をめざした重化学工業化の過程は,産業公害問題や環境問題など, 従来は顕在化しなかった外部不経済の問題を提起するとともに,経済の不均衡発展,分配の 不公正など,いくつかのひずみを露呈するに至った。さらに昭和45年からの石油輸出国機構 (OPEC)の値上げ攻勢は,これら国内的問題をいっそう悪化させるに至った。このようにして, 高度成長路線は内外から許容されなくなり,安定成長への転換は必至となった。それは量的 偏重から質的重視への転換を意味する。
   われわれは,運動の出発にあたって「生産性運動三原則」を宣言した。今日 的にこれを評価しても,"雇用の増大"は量的には満たされたとはいえ,生きがいの中で豊かな 生活を保障する雇用は,かかって今後の課題といってよい。"労使の協議協力"も長足の進歩を 遂げたものの,参加間題や産業レベル,国民レベルにおけるパートナーシップの強化は,今後 の成熟にまたなくてはならない。"生産性成果の公正分配"についても安定成長期に入った今日, 国民各層の合意の上に立った公正分配の問題は,福祉社会のあり方と関連して,これから本格 的に検討すべき領域である。
   このように,生産性運動は社会経済の質的側面に視点を移す段階を迎えたが, そのことは決して量的側面を無視したものではない。経済成長なくして,福祉の財源も公共部 門の充実も期待できない。質.量不可分の性格を備えているのが生産性運動の本質である以上, これからの経済活動においては,従来にもまして重要な位置づけがこの運動に与えられなくて はならない。換言すれば,将来に向けて今こそ国民の各界各層が産業の生産性向上に全力を傾 注して,国際競争力の確保に努めるとともに,新時代の国際秩序の形成に積極的に参加する時 である。
   すでに生産性本部は,昭和45年の創立15周年に記念宣言を採択し,「三原則」 を踏まえて5項目からなる「生産性運動の新目標」を天下に声明した。経営革新と人間尊重,組 織と情報への参加,最適雇用の促進,高福祉の実現,国際連帯の増進がそれであり,運動のあり 方について今日を予見していた。
   その後,時代はさらに激動の5年間を推移した。昭和46年に始まった国際通貨 不安と一昨年来の深刻なインフレ,そして同年10月の石油危機を頂点にして国際,国内の経済 は大きく混乱,動揺し,従来に経験のない試練の過程であった。
   今やわれわれは前人未踏の社会経済の建設を義務づけられている。しかも価値 観は混乱し,その中で多元的意思決定の社会を迎えている。今日の難局を打開する方途は,混乱 の中からではなく,至難の道程ではあっても,利害の異なる社会諸集団が大同において協力する ところしか生まれない。このように事態を認識する時,われわれが原点に返って直視すべきは, 生産性の理念であり,それを踏まえて質.量の両側面から新局面に即した生産性運動を総力を結 集して推進することである。
   運動の20周年にあたって,われわれが「生産性綱領」を世に送るのは,新時代の 生産性理念を再確認したうえで,生産性運動の方向づけを明らかにしようとするがためである。

第1部 生産性理念の展開
   生産性という言葉は,物的生産性,付加価値生産性,企業の生産性,国民経済的 生産性など,さまざまの測定基準によって表示されるが,われわれはこの際,生産性運動の中核 理念である「生産性」の基本的な意味を明らかにしておきたい。

1.生産性理念と福祉
   生産性運動は,従来,人間社会の福祉の増進を目標としてなされる経済活動に かかわる運動である。福祉(Welfare)のもともとの意義は,「満足すべき状態」であって,人間 の精神的.物質的な幸福.しあわせに通ずる言葉と考えられる。したがってそれは,客観的.経 済学的富を対象とする狭義の経済的福祉のみでなく,人間の主観的活動を対象とする福祉をも広 く包含する人間として満ち足りた生活を含意する概念である。社会の各成員は,いずれも,こう した人間として満ち足りた生活,いわゆる「人間らしい生活」を営むという本源的な要請ないし 人権を等しくもっている。
   経済活動は,社会におけるこのような福祉の増進を目標とし,有限な資源の最適 配分,経済価値の生産の増大とその公正な分配とを任務とするものであり,生産性はこの経済活動 の任務達成の度合いを示す理念である。
   経済活動は,たんに経済価値を生産する活動だけではなくて,産み出された経済 価値の分配をも含むものであることを知らねばならない。価値の生産と分配とは,経済活動におい て相互前提の関係にある。すなわち,社会現象としての経済活動が一回限りの過程ではなくて,連 続的,反復的な過程であることはいうまでもない。このような過程として経済活動においては,経 済価値の生産とその分配とは,相互に他を前提とする関係にたつのである。価値の分配が価値の生 産を前提とすることはいうまでもないが,他面,価値の連続的生産が可能であるためには,生産さ れた価値が社会に公正に分配されることを前提とする。もしそうでなければ,連続的価値生産は攪 乱され停止するであろうからである。それゆえ価値の生産とその公正な分配とは,経済活動におい て相互前提関係にたち,そしてまた,経済活動の担うべき二つの大きな社会的使命である。
   生産性という理念は,以上に述べたところで明らかなように,本来,福祉の増進を 目標としてなされる経済活動の中核に据えらるべき理念である。

2.生産性理念と人間主体性
   生産性が人間社会の福祉の増進を目標とする経済活動の基本理念であることは以上 に述べたが,それはまた企業のすべての構成員の人間主体性の確認を前提として初めて成りたつもの であることを強調しておきたい。
   ここに人間主体性とは,すべての人間は,それぞれ問題を探索し,発見し,解決す る主体すなわち意思決定の主体であるという人間の本性を意味するのである。
   生産経済活動の単位体(すなわち組織体)である企業の構成員は,出資者,労働者, 経営者てあり,この三者は,資本提供職能,労務提供職能,経営の組織職とそれぞれ異なる職能の 担い手であり,しかも相互に人間として平等の立場にあって,職能的協働体系を形作っている。こ の三者の間には人間としての主体と客体,支配と隷属,目的と手段という関係はあるべきものでない。 この三者の間には,職能の相違はあっても,企業の各構成員の人間主体性は,等しく確認されなけ ればならない。
   さきに述べたように,ここにいう人間主体性とは,意思決定の主体,すなわちこの 意味における意思決定の自由をもつという人間の本性であるが,企業の各構成員がそれぞれの職能 遂行における意思決定の主体であることは,同時にまた意思決定の結果についての責任を負うもの であることを閑却してはならない。民主社会においては自由と責任とは表裏一体をなすものであっ て,責任を伴わない自由はありえないからである。
   経済活動における価値の生産は,企業を構成する各成員の,こうした意味での人間 主体性を前提とした,各成員の協働の成果と考えられるべきである。
   こうした生産性の理念は,価値生産における企業構成員の人間主体性を前提とし, これを含有する人格的概念であって,物的,非人格的概念としての「生産力」とこの点において区別 されねばならない。

3.生産性の概念
   生産性の基本的な意味は以上に述べたとおりであるが,従来,生産性の概念として, 各種の生産性概念が用いられている。これを大別すれば,技術的概念としての生産性と経済的概念と しての生産性となる。

1.技術的概念としての生産性
   生産性は,ふつう,産出高と生産要素の投入高として理解されている。このばあい 投入される生産要素は,設備,原料,労働などから成るが,産出高とこれらの投入された諸要素の 一つとの比を表わしたばあいに,それは当該生産要素の生産性といわれる。なかでも投入労働量 (員数,時間数等)を採ったばあいの労働生産性は,重要な指標としてしばしば用いられる。
   このような種類の生産性の意味するものは,技術的合理性の原理である。この原理 は,相対的最少の手段(犠牲,費消)をもって行為することを要請する。すなわち産出高と投入高と の比(またはその逆数)として表示される生産性は,生産活動における技術的合理性を示す指標とし て,またその限りにおいて,意味をもつものである。
   技術的概念としての生産性は,さらに物的生産性と経済技術的生産性とに区別される。
   物的生産性は,産出物量と投入労働量,投入エネルギー量など,単一の投入生産要 素量との比であるが,それは如実に当該生産要素費消の技術的合理性をあらわす。
   経済技術的生産性は,一定の生産高にたいするすべての生産要素の投入量を,総合的 統一的貨幣価値をもって表示したものである。それは,最少費用の原理または往々に「節約の原理」あ るいは「経済原則」と称せられるが,本質的には,技術的合理性をあらわすものにほかならない。

2.経済的概念としての生産性
   経済的概念としての生産性は,人間社会における経済の本質的目的にかかわらしめた 概念である。経済とは何か,また経済の目的は何か,ということについては,種々の表現が可能であろ うが,ここでは,経済とは社会の福祉の増進のために有限な資源の最適配分を目的とする活動であると 理解しておきたい。
   このためには,経済は,社会における経済価値産出の増大をはかるのみでなく,さらに この産出された経済価値を社会的に公正に分配することを,その基本的な課題とするものである。このば あい公正とは,基本的には平等を意味するが,それは画一的な均等ではなく,社会成員の能力差,貢献度 差を包摂した概念であり,その具体的基準は社会における各成員の合意によって決定される。
   経済的概念としての生産性は,経済活動のこの本質的課題が達成される度合いを示す概念 であり,それは技術的概念ではなくて,社会福祉の増進にたいする経済活動の貢献の程度を示すものである。
   経済的概念としての生産性は,技術的概念としての生産性を排除するものでなく,これを その中に包摂するより高次元の生産性概念である。なぜならば,技術は経済がその目的を実現するための 方法(how)の問題の解決者としての役割をはたす,という意味において,技術的概念としての生産性は経済 的概念としての生産性の実現を支えるものであり,その基礎をもたらすものだからである。

4.生産性概念の発展
   古典的な自由経済では,生産者の行動はもっぱら自動的な市場価格機構を通じて導かれ, 経済価値の生産と分配が価格機構によって自動的に調節されることが可能であった。それゆえ,政府の経 済にたいする姿勢はレッセ.フェールたるべきであり,事実またそうであった。また,個々の企業家は, 利己心のおもむくままに行動し,利潤最大化に努力することが,彼の任務であった。このばあいには,経 済の目標である社会の福祉の増進,したがってまた資源の最適配分という理念は,政府および企業家の意 識にのぼる必要はなかったとみてよい。したがってこの段階では,企業家は最少手段の原理または最少費 用の原理としての技術的生産性の向上だけを意識して行動すればよかったのである。
   ところが,寡占段階に入った現代経済では,市場価格機構は,需給の自動調整機能を失な い,従来のようなレッセ.フェールの政府の姿勢では,各種生産部門間の不均衡と所得分配の不公正をもた らし,社会福祉の増進を阻害するに至っている。ここにおいて,経済がその目的を達成するためには,経済 にたいする政府の働きかけを必要とするに至った。しかしこの経済への働きかけは,自由経済の原理そのも の,ないしは自由企業制度そのものを排除することを意味しない。それはあくまで自由企業制度を基調とし ながら,政府の積極的行動によって,価格機構を補完し,有効競争の秩序を維持することを目的とするもの である。このため政府は,独禁政策,租税政策,財政投資政策,金融政策,産業政策,社会福祉政策などに よって経済に積極的に働きかける。
   同時にまた,企業はその規模が巨大化し,企業行動が社会に及ぼす影響はきわめて広範に わたるに至った。したがって企業はその行動原理のなかに,社会における経済の目的を自覚的に採り入れ ざるをえなくなっている。すなわち生産経済の個別単位たる企業は,経済価値の生産と分配の場として, その価値産出の増大をはかるのみでなく,産出価値を社会的に公正に分配し,もって社会福祉の増進に寄与 することが,企業の基本的な社会的使命であることを,その経済理念のなかに明確に採り入れざるをえなく なっている。
   こうして現代経済においては,経済の目標たる社会福祉の増進に貢献することを意味する 生産性の理念,つまり経済的生産性の概念が成立してくるのである。技術的概念としての生産性から経済的 概念としての生産性へのこの発展は,こうして古典的自由経済から寡占経済段階への経済の進展という歴史 の流れの針路に照応するものであり,これは生産性概念の量から質への進展といってよいであろう。

第2部 生産性運動の今後の課題
   現段階における生産性理念の内容,ならびに技術的生産性から,これを包摂する,より 高次の経済的生産性概念への展開の必然性については,第1部において明らかにした。
   さて,国民総生産(GNP)の増大のみをめざして高度成長をとげて今日に至ったわが国経 済は,いまや国内的にはこの高成長路線の見直しを余儀なくされ,高福祉社会への指向,経済の安定的 均衡発展への路線が強く要請されているとともに,対外的には,わが国が,国際社会の一員として,わ が国経済の役割に関する正しい認識に立って,これからの新しい国際経済構造とこれにもとづく新国際 分業秩序の形成にたいするよき貢献をなすことが,世界から求められている。
   内外経済のこうした新たな段階に対処して,生産性運動は,さきに述べたような生産性 概念を運動の中核理念とし,全国民の理解と支持のもとに,つぎのような課題を積極的に推進しなければ ならない。

1.新しい有効競争秩序の確立
2.新しい企業観の確立
3.参加制度の確立
4.資源の有効利用
5.技術開発の積極的推進
6.分配の公正と福祉の増進
7.国際経済の新秩序形成への参加

1.新しい有効競争秩序の確立
   古典的な自由経済では,産業は多数の小規模の企業によって構成され,各企業は, それ自体では市場に影響力をもつものではなかった。各企業の行動は,市場価格機構を通じて導か れ,均衡的競争によって経済の調和が自然に実現されえた。ところが寡占市場では,このような均 衡状態にある競争ではなく,ビック.スリーとかビック.フォアといった大企業によって産業が支 配され,大企業間の競争が展開される。現代経済はこうした寡占経済の段階にあり,そこでは企業 が価格決定力をもつから,かつてのように市場価格機構を媒介とする資源配分の客観的基準は失わ れ,それ自体の中に過度の独占への傾向を内包し,経済の目的である資源の最適配分が過度の独占 によって阻害される因子をはらむに至った。
   したがって,国家は,自由企業制度を基調としながら有効な競争秩序を確立する ために,経済に働きかけなければならなくなっている。有効競争秩序とは,寡占経済において実現 可能にして実質的効力をともなう競争のことである。それは,古典的な自由競争への復帰を理想と するのでなく,寡占経済における価格機構の欠陥を補完して,経済の目的を実現することを使命と する。この有効競争の秩序の確立によって初めて,産業部門間の均衝的発展と富の公正な分配,す なわち経済における資源の最適配分が可能となる。
   この有効競走の秩序は,具体的には「企業の市場占有度」,「一産業における企業 数の多寡」,「価格,生産制限等に関する共謀の有無」,「新規企業による市場参入の可能性」など の形式的側面にたいする規制だけでなく,「製品および生産過程の改善が絶えず行なわれるような競 争が展開されうるか」,「コストの大幅な削減に見合った価格引下げが実現されうるか」,「成果の 公正な分配が行なわれうるか」といった実質的な競争の成果をも同時に考慮し,総合的視野に立って 求められなければならない。
   現代経済において,このような新たな競争の秩序が確立され維持されるためには,独 占禁止ならびに公正取引に関する国家の政策の現実的な展開が必要である。独占禁止法,公正取引法は ,有効競争の確立のかなめであり,寡占経済段階における経済憲法ともみられるべきものである。
   新しい有効競争の秩序は,経済的生産性の増進のための基本的な基盤であり,枠組で ある。生産性運動は,この新しい有効競争秩序の確立に積極的に寄与しなければならない。

2.新しい企業観の確立
   生産性概念の新しい展開,つまり経済的生産性の成立は,古典的自由経済から寡占経 済段階への経済の歴史的進展に照応するものであった。この経済の歴史的進展に即して,同時にまた 企業観も変化し,寡占経済段階においては,新しい企業観が成立せざるをえない。
   すなわち,産業が多数の小規模企業によって構成されていた古典的自由経済の段階で は,企業とは企業家の私的所有物であり,その資本利益獲得のための手段であるとみられていたといっ てよい。
   ところが寡占経済の段階に入った現代では,企業とくに大企業は,もはや企業家また は資本家だけの私的な所有物といった存在とはいえず,その存在と盛衰が,社会に広汎に分布している 投資家,債権者,労働者,取引先,地域社会,政府など,もろもろの社会集団の利害.安危に密接かつ 甚大な影響を及ぼすものとなり,いまや企業は,社会化された制度,客観的な存在となっている。した がって,ここに新しい企業観が古い企業観にとってかわることが要請されるに至ったのである。
   新しい企業観とは何か。一言でいえば,現代企業が一個の独立した自主的な個体である と同時に,社会経済の一環として社会的な存在である,ということの認識である。
   企業が一個の個体てあるという性格の中でもっとも重要な特質は,企業の自主的.自 律的な主体性である。すなわち企業は,その経済的活動をなすにあたって,それ自体に決定しうる「自 由」をもつということである。この点において,現代企業はあくまで自由経済の原理を基調とするもの とみなければならない。
   他面,企業が社会的存在であるということは,企業が,社会経済の一環として,経済 価値生産の増進と公正な分配によって,社会全体の福祉の増進に貢献する,という企業の社会的任務を 反映する存在性格である。
   企業を社会的存在としてみるばあい,企業をめぐって存在する前記各種の社会集団は, それぞれ固有の立場にもとづき,企業を場として影響力を働かせる。企業におけるそれらの相互交錯関 係は,きわめて複雑であり,時として相対立し相剋する。まさに企業は,有力な諸集団の要請の輻点で ある。
   しかし,各集団は,相互に異なる立場をとりながら,企業の存続発展のために,協力 せざるをえない関係にある。もしも諸集団のそれぞれが,たんに自己の集団の利益だけを考え,他集団 の立場を無視するならば,企業それ自体の存立を危くし,ひいては自己の存在を否定することになるか らである。ここに諸集団は,相互に異なる立場に立ちながら,企業の社会的使命を自覚して,その実現 に協力せざるをえないゆえんのものがある。同時に企業自身もまた,企業の社会的使命を自覚的に経営 理念の中に採り入れ,企業をめぐる諸集団の利害を総合調整することによって,その協力関係を積極的 に形成しなければならない。経営者は,まさにこうした企業の調整機能の現実の担い手である。近時多 くの人びとが指摘する「企業の社会的責任」という観念ないし経営理念は,こうした企業の社会的存在 性格を反映したものにほかならない。
   企業の社会的責任は,企業が,価値生産の増大と公正な分配を媒介として社会の福祉の 増進に寄与すべき責任であり,それは今日とくに労働者,消費者,地域社会住民等にたいする責任とし て現われる。
   労働者にたいする責任は,雇用の安定と労働条件の改善向上の責任である。ここにいう 労働条件は,第1に賃金給与および利潤分配などの金銭的給付のみでなく,企業内の福利厚生給付を含む 諸条件をも含み,この面の改善向上に肝要である。さらに労働条件は第2に,労働時間および作業環境等 の諸条件を含み,これら諸条件の改善適正化が要請される。こうした労働条件の改善向上は,企業内に おける労働者にたいする生産性向上とその成果の分配の問題として,したがって労働者にたいする企業 の社会的責任として,採りあげられなければならない。
   消費者にたいする責任が,より良質の財貨.用役をより低価格で提供することによって, 生活水準の向上を可能なものとすることにあることは明らかである。とくに販売政策において誇大広告, 不当表示,強引な商法等消費者の利益に反する行動があってはならない。
   地域社会住民にたいして果すべき責任は,正の給付と負の給付に分けて考えられる。前 者は,給与,地方税とくに固定資産税等による地域社会の購買力の増大ならびに教育.学芸等地域社会の 文化的向上のための金銭的および非金銭的貢献であり,後者の負の給付とはいわゆる産業公害である。 いうまでもなく,企業は,地域社会住民にたいして正の給付を増進し,負の給付を防除し,もってその 福祉に貢献する責任を果すべきである。
   いまや現代企業は,その社会的責任を自覚して新しい企業観に徹し,社会の福祉の増進 を目標とするような企業行動が,社会的に強く要請されていることを深く銘記しなければならない。

3.参加制度の確立
   近代における企業の大規模化,生産の機械化,組織の官僚化は,企業において労働する 人間を主体性をもった存在としてではなく,「物」と視る傾向すなわち人間疎外の現象を生ずるに至った。 この人間疎外の現象を克服して,労働者の人間性を回復し,企業内における労働者の生きがいをとりもど すことが,重要な課題となった。企業における労働者または労働組合の参加の問題の核心は,ここにあると いってよい。
   参加の意義は,第1に,労働者が主体性をもつ存在として,労働者自身の創造性の発揮,問 題解決のための能力の自己啓発を促し,もって生産成果の向上への意欲を喚起するとともに,第2に,賃金 給与,福利厚生,労働環境の改善等,生産成果の分配に関して,労使相互の平等な立場に立つ対話と合意に よって,その公正を確保することを可能にすることにある。上記の 2点は,福祉を目標とする生産性向上を 意味し,したがって参加制度を確立しこれを推進することは,生産性運動の不可欠の一環である。
   企業における参加制度を確立し推進するためには,経営者および労働者はともに平等な 立場において,相互の信頼と理解とにもとずき協働の姿勢をもって臨むことが必要である。すなわち経営者 と労働者または労働組合は,それぞれ,立場ないし利害を異にし,固有の要請をもつことは当然であるが, 集団的エゴイズムに陥ることなく,企業の社会的使命の実現という相互の責任を自覚して,これをそれぞれ その行動の中にとり入れ,企業を場とする協働の秩序を形成するように努力しなければならない。この双方 の努力によって初めて,自由と責任にもとづく民主的秩序が企業において形成されるのである。
   参加方式としては,団体交渉方式と労使協議制方式とがあるが,前者はわが国ですでに法 的に制度化され,後者については,日本生産性本部がその創立当初来提唱し,現在すでに広く普及している。 この労使協議制は,わが国においてもっとも適当した方式であり,今後ますますその拡大をはかるとともに, その充実をはかるべきものと考えられる。
   この労使協議制のもとに,労使間で協議さるべき事項は,職場レベルにおいては,例えば, 生産方式.作業方法等の変更,要員計画,安全衛生等であり,企業レベルにおいては,例えば,雇用.配転 等の要員計画,教育,訓練計画,生産計画,労働環境対策等にわたる。なお,企業レベルの参加の問題とし ては,監査役への労働者代表の参加の問題が将来の展望として考えられるが,当面は十分な研究を要する。
   労働者の参加は,企業レベルにおいてだけでなく,産業レベルでも展開さるべきであり, 今日すでに,産業別労使会議の形で発足している。そこでの協議事項は,公害.安全問題の点検と地域住 民への対応,新しい産業政策の推進,労働条件の決定の諸要因に関する事項である。
   さらに国民経済レベルにおいては,労働者,経営者,学識経験者の三者のほかに,消費者, 地域住民の代表を加えた全国民的協議体が組織され,政府による政策形成の補完的機能を果すことが展望さ れるが,これについては,すでにこのような見地に立って設置され,諸般の活動を行なっている社会経済 国民会議の一層の充実と発展が期待されるところである。

4.資源の有効利用
   わが国経済の高度成長は,海外からの豊富かつ低廉な資源,エネルギーに支えられて初あて 可能であった。ところが,石油危機を契機として資源保有国における資源ナショナリズム抬頭は,資源.エネ ルギーの価格高騰と量的確保の制約をもたらした。したがって,わが国経済の今後の発展のためには,国民 経済的にもまた個別企業においても,資源の有効利用を図ることが喫緊の課題とされている。すなわち国民 経済的問題としては第一に産業構造の合理的編成,第二には流通部門の合理化が,個別企業の問題としては コスト低減が,とくに緊急な課題となろう。

1.企業におけるコスト低減
   企業における資源の有効利用は,良質の製品を低コストをもって生産し提供することであ り,そのためには,とくに次のような方策が必要とされる。すなわち,新製品の開発,原材料の節約,省 力化のための新しい生産方式の導入,新しい販路の開発,経営規模の適正化,企業間の合理的組織化など, 物的技術ならびに経営管理技術の向上によるコスト低減の諸方策があげられる。
   このような諸方策は,企業における技術的ないし経済技術的生産性の向上を意味する。

2.産業構造の合理的編成
   わが国経済は,天然資源に恵まれていないために,この点についての海外依存度が大であ ると同時に経済の維持.発展のためには輸出を重視せざるをえない。したがって,わが国経済は,世界経済 の構造的変化に対応して,国際経済の一員として新しい国際分業秩序に参加していかねばならない。
   こうした条件下において,わが国の産業構造は,従来の重化学工業を中心とする資源.エ ネルギーの多消費型産業構造から転換する必要がある。幸いわが国は,国民の知識水準が高く,勤勉な労働 力と高水準の技術をもっている。したがって,これからのわが国の産業構造は,長期的にみて,いわゆる単 純労働依存型産業や中間財型素材産業への依存度を可能な限り低め,高加工度の技術集約型.知識集約型産 業のウエイトを高めなければならない。この問題は,わが国経済全体として産業部門間における資源の最適 な配分を実現するためにもっとも重要であり,企業ならびに産業はこの問題の重要性の認識のもとに,積極 的にその行動を展開することが緊要である。同時に政府においても,国民的コンセンサスを得て産業構造の 長期ビジョンを確立し,適切な誘導政策を通じてその実現を図る必要がある。

3.流通部門の合理化
   産業構造の高度化に関連して,資源の有効利用の見地から今日とくに必要な問題は,流通 部門の合理化,その生産性の向上があげられねばならない。
   流通は,生産と消費とを媒介するものとして,経済の循環過程のなかで重要な役割を担って いる。にもかかわらず,わが国の流通機構には非効率的.前近代的な要素が温存されており,このことが物 的流通の合理化を遅らせている。
   こうしたわが国の流通活動を合理化するためには,流通部門における経営規摸の適正化, 流通チャンネルの短縮化,配給センターの拡充,取引形態の標準化などを通じて商的流通の合理化を図って いかねばならない。
   同時に物的流通の面においては,とくに重要な問題として,荷造.包装の省資源.標準化, 配送の計画化,輸送手段の専門化,荷造作業の自動化.省力化,保管設備の合理化,さらにこれらを総合す る物的流通のシステム化を図る必要がある。このためには,個々の企業のみならず,物流に関する関連企業 間の協同化を推進すると同時に,政府による道路,港湾などの物流基礎施設の整備,物流システム化のため の財政的援助,その他適切な行政指導が望まれる。

5.技術開発の積極的推進
   技術開発は,資源の有効利用を図るための基礎であるとともに,豊かな社会の実現,福祉 の増進のための条件である。したがって技術開発は,生産性運動における中心的課題として,これを積極的 に推進しなければならない。技術開発にあたってとくに重要なことは,高加工度技術,新資源開発技術,公 害防除技術の開発と,そのための技術開発体制の確立である。

1.高加工度技術の開発
   産実の発展において主導的役割を演じてきたものは常に革新技術であった。そのさい主役を 演じたのは,外国からの導入技術であった。しかし諸外国はわが国にたいして,もはや技術輸出の門戸を閉 ざしつつある現在,自主的技術の開発が大きく要望されている。
   とくに,産業構造の転換のためには,知識集約度の高い産業を発展させるための知識集約 型高加工度技術の開発を積極的に推進しなければならない。知識集約型高加工度技術の開発とは,技術の 専門化,標準化,自動化,多品種生産におけるモデュラー.プロダクション,弾力的オートメーションの 生産方式,経営相互間の技術の組織化などの技術開発を意味する。知識集約型高加工度技術の開発を推進 するためには,とくに中小企業の技術の近代化が必要である。

2.新資源開発技術
   天然資源に恵まれないわが国においては,新資源開発のための技術の開発を重要視しな ければならない。
   これには大陸棚資源,深海底資源,海水溶存資源等の開発技術が含まれる。また新エネ ルギー資源としては,将来は核融合,地熱や太陽エネルギー等の開発技術が考えられるが,当面は原子力 利用の技術開発が焦眉の急務てある。原子力の利用については十分な安全対策と国民の協力のもとに開発 を推進することが重要である。
   また,資源の回収利用や廃棄物の再利用など,資源循環のクローズド化を図る技術が並行 して開発される必要がある。

3.公害防除技術
   人類の生命や安全を脅かす公害が社会的に容認されないのは当然であるが,高度産業社会 の形成過程て現在の産業公害が発生した以上,長期的には全国民的な努力によってこれを解消していくこと は,人類の福祉にかかわる問題であり,それを防除する技術を開発することは生産性運動の重要な課題であ る。
   このばあい,人類が開発した技術によって発生した公害問題は,人類の開発する新たな技 術によってこれを防除できるとの信念と意欲をもって,問題の解決にあたる動態的態度が必要てある。

4.技術開発体制の確立
   技術開発のためには,それを推進する体制を整備,確立しなければならない。技術開発 体制は,まず何よりも関連する諸科学の正しい知識体系が必要であり,関連諸科学を包摂した科学者陣の 研究調査のシステム化を図ることがとくに重要である。またそのためには官民諸機関の協力による組織的 技術開発体制を確立しなければならない。民間の方がより効率性の高い技術開発の領域については,企業 はその技術開発投資を積極的に推進して研究開発体制を充実し,さらに企業集団において共同プロジェク トによる技術開発に努めるべきである。民間の技術開発にたいしては,政府は財政的援助や技術指導を行 なうとともに,開発された民間の技術は,極力政府が買いあげて広く関係方面へ公開することが望ましい。
   政府は,各省庁や中央.地方レベルにおける離散的な研究体制を速やかに組織化して実効 を高めなければならない。さらに政府は,エネルギー資源開発.公害防除技術など新時代に対応する大型 プロジェクトや基礎的な研究およびこれにもとづく技術の開発を担当すべきである。このためには新時代 に即した全く新たな構想のもとに「技術開発センター」を設立し,政府の技術陣営のみならず,学界,民 間の専門家をも集めて研究開発を進めるべきである。
   新エネルギー開発,新資源の開発,公害防除などに関する技術開発で,国際間の連繋を 必要とするものについては,国際的な共同プロジェクト.チームに積極的に参加して,国際的協力のもと に開発する必要がある。

6.分配の公正と福祉の増進
   生産性は,人間福祉の増進を目標とする経済活動の基本理念であることを,われわれは さきに明らかにした。社会における福祉が増進されるためには,経済価値の生産の増大のみならず,その 公正な分配がなされることが,その基礎となる。
   経済活動の産出した価値の分配は,本源的.第一次的に企業レベルで,さらに第二次的に 政府レベルでなされる。まず第一に,企業レベルで,産出価値を付加価値として把握したばあいに,その 一部は企業収益(資本利潤,役員賞与)一部は労働収益(賃金給与,利潤分配,その他労働条件の改善), 一部は公共収益(法人税等,国.地方自治体の税)として,出資者,経営者と労働者と政府とに,公正に 分配されなければならない。
   つぎに,政府が法人税等として企業から受取った価値分配分(公共収益)は,他の租税 収入およびその他の政府収入とともに政府の財政収入となる。政府は,その一定割合を「所得分配の公平」 という社会福祉目的に立って再配分するために,最低生活保障制度,社会的用役の提供,社会的租税政策, 勤労者財産形成政策,雇用安定の政策等の所得再配分の国家政策を積極的に推進すべきである。
   このうち(1)最低生活保障制度は,公的扶助制度,最低賃金制など国民のいわゆるナショ ナル.ミニマムを保障するものであり,(2)社会的用役の提供は,すべての国民に,その地位,身分その他 にかかわりなく,教育,医療,住宅,公衆衛生,生活環境整備などの能うかぎり最良の社会的用役 (social service)を均霑させる政策である。(3)社会的租税政策は高所得と低額所得との差を平準化しよう とする租税政策であり,所得税,相続税,贈与税等における累進税率の適用が,その中心をなすものであ る。(4)勤労者財産形成政策は,勤労者の住宅等の財産形成を促進させる政策である。(5)雇用の安定の問題 は,とくに現在の経済情勢下における労働者の福祉のために,企業にとっても,政府にとっても緊要な課題 である。雇用の安定に関しては,現在とくに次の2点を重視することが肝要と思われる。
   その1つは,雇用の量的増大とともに質的調整(労働の最適配分,最適配置)を重視する ことである。すなわち労働者がそれぞれ自己の能力と希望を生かして,各人の生きがいを最大化できるよ うな雇用を保障することが必要である。
   その2は,失業を事前に防止する予防的雇用政策であり,とくに政府の政策として重視しな ければならない。この点に関してはたんに景気変動のみでなく産業構造の転換に伴なう失業を防止するため に,雇用保険制度,職業転換策,職業再訓練策などの雇用安定政策を積極的に展開することが緊要である。
   以上で明らかなように,社会福祉の増進,そのための公正な分配の施策において,現在, 政府の果すべき役割は,きわめて重要であり,かつ広汎にわたるものといわなければならない。そのさい 政府の各措置は,相互に離散的に行なわれるのでなく,整合性をもち,総体として1つのシステムを形成す るように運営されることが必要である。
   なお,福祉の増進のためには,物価定定と消費行動の変革が必要条件となる。今日の物価 高騰の猛威を抑制しないでは,福祉増進のあらゆる努力は,無に帰することを官民ともに銘記し,その協力 のもとに物価の抑制に能うかぎりの努力を傾注しなければならない。また高度成長期の「消費は美徳」とす る流行思考的消費行動は,安定成長期の「生活の質」を高める財産思考的消費行動へと変革されなければな らない。

7.国際経済の新秩序形成への参加
   国際経済社会は,従来の分業秩序がいまや再編されて,新しい国際秩序形成への過程にあ る。基礎資源不足の国際的顕在化,資源ナショナリズムの抬頭,国際的ブロック化の現象,資源保有国対非 保有国の対立,先進国対発展途上国の対立,旧来の自由貿易体制ならびに国際通貨制度の危機等は,新しい 国際経済構造の形成とこれにもとづく自由と公正を原理とした新国際分業秩序の確立への過渡的現象である。
   わが国経済は,もともと資源の貧弱性と市場の関係から,その存立じたいが国際経済にき わめて大きく依存していることを銘記して,経済における自主的立場を貫き,すすんで新しい国際分業秩序 形成への寄与につとめなければならない。
   このためには,わが国は,貿易および海外投資については,次の点を配慮して行動する必要がある。
   まず輸出は,わが国経済の存立と発展上重要であることはいうまでもないが,さきに述べた 産業構造の転換の方向に対応して,従来の低加工度製品などを中心とした輸出から,高加工度製品,知識集 約型技術.プロジェクトの輸出への重点移行,相手国の経済発展段階,需要構造,政治,社会,文化等,経 済.社会の特殊事情にたいする配慮が必要であり,また輸入に関しては,わが国における産業資源の確保, 食糧の需給度の向上等を考慮して対処しなければならない。
   つぎに海外投資に関しては,とくに発展途上国の工業化と経済成長への積極的な貢献をな すことを国際社会の一員としての責務と考え,資源を保有する発展途上国にたいしては,その資源開発を援 助.促進するための投資をなすべきであり,また資源をもたない発展途上国にたいしては,わが国の低加工 度産業をこれに移譲して現地資本と共同のもとに投資すべきものと考えられる。このばあい,資本のマジョ リティにたいする受入国の要請,受入側国民の雇用および登用の拡大,技術,経営力の移転.定着化の要請, 受入国の労働慣行,取引慣行の尊重等,受入国の要請を十分に考慮した投資行動をとる必要がある。このよ うに海外投資は,相手国の立場に立ち,資金援助,文化交流とともに行なわるべきである。
   以上のことは,国際経済社会の一員としてわが国経済が,新しい国際分業秩序の形成に貢献 し,もって国除経済的なスケールにおける福祉の増進に寄与することを意味する。これはわが国生産性運動の 果すべき課題の一つである。

むすぴ
   生産性運動の基本理念と今後における運動の課題は以上に述べた。内外環境の変化, 価値観の多様化に直面し,新たな社会経済の建設が要請されているとき,この運動はいよいよ拡充, 深化されなくてはならない。もとより生産性運動の発展のためには,企業,労働組合,学界,報道機 関,消費者,地域社会,政府等を挙げての協力が不可欠であり,それによって初めて運動の成果は期 待される。
   生産性本部は,経営者,労働者,学識経験者の三者によって構成される組織であり, 運動推進の中核体として,中央,地方組織を通じて,過去の貴重な経験を踏まえながら,生産性運動に 関する調査研究,教育啓発,労使関係の近代化ならびに国際交流の諸活動を意欲的に促進すると同時に, 生産性運動の展開に関する合意を得るための共通の話合いの場となることを使命とする。その任務は, 今後ますます重要となるものと確信する。




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