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■生産性運動25周年宣言
      (昭和55年3月18日 財団法人 日本生産性本部)

生産性運動25周年宣言

昭和55年3月18日
財団法人 日本生産性本部

   わが国の生産性運動は,発足以来,25周年の記念すべき日をむかえた。
   この間,国民経済の生産性は,最も先進的な工業国に比肩する高水準に到達した。技術革新の展開は産業構造に,就業構造に,そして日本人の意識構造に,地殼変動にも似た激しい変化をもたらした。企業と労働組合は,このような成長と変動の中心に位置してこれに対処してきた。
   生産性運動は,この過程において,運動本来の武器である情報と教育活動を通じて,変化に適応する精神的風土の培養,科学的経営管理技術の導入・開発普及,労使関係の近代化と,対等の原則に基づく労使協力体制の確立に挺身した。近年,日本経済が,世界的な経済変動に対処して発揮しつつある適応力,企業に蓄積されている強靱な競争意志,労使間に存在する対立のなかの理解は,その少なからぬ部分を生産性運動に負っており,この評価はつとに内外識者の認めるところである。
   生産性運動は不断に前進する。これを主導するものは,われわれの生産性意思である。
    80年代の運動の基本任務は,経済の安定成長と,福祉の質的充実の実現にある。
   経済の安定成長は,高度成長のひずみをただし,インフレーションの魔手を断って,自由社会の基盤たる市場経済の健全な機能を保持することである。しかしながら,自然資源の国際的情況は,各国にみられる資源ナショナリズムの高まりと相まって,安定成長を脅やかしている。一方,現代社会は資源・エネルギー多消費型文明に支えられており,その特質は,欲求の無節度な膨脹,価値観の多様化,行動の放縦化のうちにある。資源の節約は,まさにこのような使いすて文明から人類が生き残るための運命的な課題である。生産性運動が70年代後期から,これを合言葉として掲げるゆえんである。もちろんこの運動は,根深い人間的慣性の流れに抗して,国民生活の進路を転換させようとするものであって,不退転の意志と長期の努力なしには,その実効を期しうるものではない。
   福祉の質的充実は,人間にふさわしい労働と所得の場が,公正な配分のもとに,生涯にわたって保障されてはじめて実現する。現代の産業社会にあって,このことを可能にする最大の能力者は企業であり,その社会的存立と繁栄は,雇用確保の実をあげることによって容認される。
   安定成長のもとでは,成長率の低下はまぬかれず,加えてわが国は人口の急速な高齢化にみまわれる。またコンピューターのハード・ソフト両面における発達は,社会の情報化にむかって「見えざる革命」を進行させている。これらのことは,いずれも雇用環境に重圧を加え,定年延長,中高年者処遇,労働時間短縮,賃金体系調整など,基本的労働条件に根本的な変革を求めずにはおかない。企業と労働組合が深い信頼関係に立ち,互いに英知を尽くして合意の形成に努め,協力して解決に当たるべき喫緊の急務である。
   国際経済に目を転ずれば,そこには暗雲と瘴気がたちこめ,様相は極めて複雑であるが,危機的事態は,国際的には同時的処理を不可避のものとしている。また発展段階を異にするそれぞれの国は,同時的にのみ存立可能であることを思い知らされている。国際経済の新秩序の形成は,こうした観点の上にのみ見いだすことができる。
   運動の前進にあたって,われわれがもつ状勢認識は以上のごとくである。それにどう対処し問題を打開していくかが,生産性運動の成否に深くかかわることを自覚して,目標を次のごとく定め,決意を新たにしてその達成を期そうとするものである。

1.現代の企業が拠るべき行動基準として,収益性と社会性を統合する企業総合社会成果概念を開発し普及する。
2.能力開発と生涯教育の体系を確立し,高齢化社会における雇用確保と経営活性化の実現を図る。
3.経営参加と労使協力によって,共通目標達成の場としての企業運営労使協議会の拡充を促進する。
4.資源生産性原理に徹して,資源最適利用の体系と方法の創造に努める。
5.企業が主体となって,個別科学技術領域における豊富な知識と技能の所有者とを有機的に組織し,研究開発の総合化,高度化を推進するよう協力する。
6.国際生産性交流が国際連帯の精神に立つものであることを確認し,生産性運動によって国際社会の同時的存立の実を発揚する。



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