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眠りへのこだわり「スーパーホテル」 2008年8月5日号
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出張で必ずお世話になるのがビジネスホテルである。
最近は交通機関が整備され、ゆっくり出張することはない。チェックインが夜遅いことも、また朝早くチェックアウトすることも多い。
裾野が広く、そして忙しく働くこのようなビジネスマンをターゲットに絞ったのが、今日紹介するスーパーホテルである。スーパーホテルは、ハイ・サービス日本300選を受賞した企業の一つである。
私がこのホテルに興味を持ち、お話しを聞くために現地を訪れたのが今年の春である。せっかくだからと思い、前日から出張し、打ち合わせを行った大阪のスーパーホテルの一つに宿泊した。そして意見交換で最初に私が聞いたのが「これで儲かるのですか?」という質問だった。それほどフロントでの対応、温泉大浴場、什器、朝食の全てが行き届いていた。
ただ素晴らしいのは「豪華」という点でないところがポイントである。
それでは、スーパーホテルの素晴らしいところを、これから紹介したい。
スーパーホテルは、「もう一つの我が家」を経営理念に、もともとのマンション事業からホテル業へとシフトした。1997年に博多で第1号のホテルを設立した。チェーン力が集客力になるため、全国の県庁所在地と主要都市に展開し、今では国内100店舗の開設を目指している。
顧客データをITで一元管理し、共有化しているが、接客はフェース・トゥ・フェースで行っている。名前でお客様を呼び、相手の状況に応じてサービスの内容を変えるために、接客を通じてニーズを先読みする。そして「ここまでやってくれるのか」「ここまで考えてくれるのか」という感動を提供できるようにしている。
そのために、従業員一人ひとりがプロとして考える習慣を身につけ、自信を持ち、おもしろく感じ、サービスに個人の味が出せるよう、自律型感動人間の育成を積極的に行っている。そして、会計、ベッドメーキング、リネン、食事等はIT化やアウトソーシングし、そこでできた余裕で、従業員は接客に専念できるようにしている。
これまでのホテルは、豪華で高級感ある施設を追求してきた。
ところが、同社がお客様に徹底して聞いた結果、シンプルな部屋、チェックアウト時の利便性、使いやすさ、ぐっすり眠れる、健康・元気、感動にニーズがあることを認識した。
マンションでも眠れないというクレームが非常に多い。そのため、フロント、宴会などこれまでのホテルが重視してきたサービスではなく、部屋における宿泊を重要視した、これまでにないサービスをはじめた。
ビジネスマンは平均して10時頃にチェックインし、8時頃に出発する。70〜80%の滞在時間は睡眠していることになるので、ぐっすり眠れる事が最大の価値となる。そのためスーパーホテルでは、チェックアウト時に眠れないクレームを受ければ、宿泊料金を返金する。当初は数百万円、現在は50万円程度返金している。うるさいことと、枕のクレームが多かったが、自分に合った枕を選択できるようになったことでクレームが減った。
また「ぐっすり研究所」を大阪府立大学と共同で主宰し、どれだけぐっすり眠れたかの「ぐっすり度」の評価も客観的に行った。
朝食も、健康というコンセプトから、野菜中心の具材も提供している(写真)
このように、スーパーホテルのサービスを見ると、次のようにまとめることができる。
スーパーホテルのベストプラクティスのポイント (1)異業種の視点からホテル業の価値を再発見 (2)IT化とアウトソーシングで接客時間の確保 (3)顧客満足の源泉となる自律型感動人間の育成 (4)産学連携の推進
つまり、お客様のニーズを先読みできるよう、接客時間を最大限に確保し、それ以外を可能な限りIT化とアウトソーシングしている。そして、異業種の視点から、ビジネスホテルの価値を再定義し、サービスの内容や提供の方法、施設設計の最適化を図っている。また、大学との連携を積極的に推進し、結果として高い客室稼働率と顧客満足を獲得している。
次回は、固定客比率を高めるために、販売員の人材育成を積極的に行っているセレクトショップの「バーニーズ・ニューヨーク」を紹介したい。
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【筆者略歴】
産業技術総合研究所 サービス工学研究センター 次長 内藤 耕氏
産業技術総合研究所サービス工学研究センター次長 サービス産業生産性協議会科学的工学的アプローチ委員会委員長
金属鉱業事業団、国際協力事業団、世界銀行グループを経て、現職。著書
・編著に『サービス工学入門』(東京大学出版会)など。
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