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トップページ > 生産性新聞 > 働きすぎ日本人の実像 > 先進国水準にほど遠い日本の労働時間


先進国水準にほど遠い日本の労働時間   2008年4月15日号

   日本の労働者は、相対的に見て長時間労働であり、したがって様々な問題がある。

   図はILO(国際労働機関)の研究者による推計だが、日本はこれら先進国の中でも図抜けて長時間労働者の割合が高い。またアメリカ、イギリスなどのアングロ・サクソン諸国では、日本ほどではないが、大陸欧州諸国に比べると、長時間労働者の比率が高い。これらの国は、伝統的に労働時間に対する規制が弱く、いわゆる市場経済原理が強い国である。日本は、市場経済原理で見れば、アングロ・サクソン諸国より弱いのだが、それらの国よりも長時間労働者の割合が高い。このことから、日本の労働時間は先進国の中でもある意味で異常な状態にあるといえる。

   フルタイム労働者だけで見た場合、欧州諸国とは歴然たる違いが生じる。欧州と日本の公式統計から筆者が推計したところ、年間の総労働時間は、日本2028時間に対して、イギリス1791時間、ドイツ1728時間、フランス1623時間という違いがあった(2005年)。イギリスと237時間、ドイツと300時間、フランスとは実に400時間以上の違いがあるのだ。

   これらの日本と欧州との違いは、主に所定外労働時間(残業など)と年次有給休暇の取得日数の違いである。また一部には、所定労働時間(週休2日制)の違いもあるだろう。アメリカでは残業が多いと言われているが、フランスやドイツなどの大陸欧州諸国では、残業はさほど多くない。残業手当が出ないサービス残業などはほとんどない。日本の公式統計では、サービス残業が明確にわからない。もし、サービス残業を入れたら、さらにこれらの違いはひろがる。

   年次有給休暇の取得日数も、大きな違いだ。大陸欧州諸国は、最低でも年間25日くらいの年次有給休暇を、すべてのフルタイム労働者が持っており、かつそのほとんどを消化する。だから夏休みは最低でも2週間になる。日本は年間で8日しか取得されていない(平均)。もちろん会社によっては特別休暇という形で年次有給休暇に追加される休暇もあるが、同様の追加的な休暇は大陸欧州諸国でも普通にある。だから年間30日、40日などという有給休暇が当たり前になる。

   さらに、違法であるが、規模の小さい企業などでは、法定労働時間を守っていないケースも多々あると推測される。労働基準法では、一部の例外を除き、週40時間を法定労働時間としているにもかかわらず、筆者が調査してみると、例外となっている業種や規模以外の会社に勤務している労働者が、週48時間などとなっていることが多い。

   このように、日本の労働時間は、様々な面から見て、先進国水準にはほど遠いのが現実である。

   ただ一点、国民の祝日だけは世界一多い(15日)。しかし国民の祝日に忙しい接客業に従事する人も多く、全「国民」の祝日にはなっていない。
図:週に50時間以上労働している雇用者の比率(%)

【筆者略歴】

労働政策研究・研修機構 主任研究員 小倉一哉氏

1993年早稲田大学大学院商学研究科博士課程単位取得退学。早稲田大学助手、日本労働研究機構を経て、2007年から現職。著書に「エンドレス・ワーカーズ」(日本経済新聞出版社2007)など。

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