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非正社員の労働時間   2008年7月25日号

   第五回までは、正社員を対象とした調査結果に基づいて書いた。しかし今や雇用労働者の3割強が、パートタイマー、契約社員、派遣労働者などのいわゆる非正社員である。したがってこれらの人々の動向についても紹介する必要があるだろう。

   パートタイマーは、本来、フルタイマーほど労働時間が長くないという意味である。しかし日本ではその意味合いは若干異なる。労働時間が正社員とほとんど同じ「パートタイマー」という人もいる。なぜなのか?端的に言えば、日本では正社員とはある種の身分であり、他の身分と比べて異なることが多い。正社員とパートタイマーで見れば、賃金、昇進、退職金など至る所が異なる。もちろん、仕事の内容や責任の重さ、転勤があるかどうかなどでは、正社員とパートタイマーでは異なる。だから賃金に差があって当然だという考え方もある。しかし本当にそうか。仕事の内容も労働時間の長さも正社員とほとんど同じなのに、時間給では正社員の六割くらいという「パートタイマー」もかなりいる。納得できないパートタイマーも少なくない。

   厚労省の大規模調査を再集計したところ、1999年と2003年の間に、非正社員の残業頻度が増えていることがわかった。正社員で残業をした人の割合は、男性が62・9%から67・1%へ4・2ポイント、女性が50・4%から62・2%へ11・8ポイントほど増加しているのに対し、パートタイマーでは男性が12・6%から41・6%へ29ポイント、女性が15・5%から34・5%へ19ポイント増加していた。不景気で正社員になれずパートタイマーになった人が多かったとはいえ、正社員ではないのに残業がある人が増えたのである。

   本来、非正社員の仕事とは、正社員に比べて仕事量やスケジュールが明確になっているはずだ。またそれは非正社員の人に仕事をお願いする正社員の責任でもある。ところが、非正社員の人も残業をするのが当たり前になってきている。

   UIゼンセン同盟の調査(2006年)では、女性独身パートの10・6%がサービス残業を「頻繁にした」と、26・2%が「たまにした」と回答しており、一カ月平均10・2時間であった。そもそも残業があることがおかしいのに、サービス残業をするのがある意味通常のことになっており、一カ月10時間もやっている。時給800円なら8千円のもらい損だ。パートタイマーの収入という意味では、少額とは言えないだろう。

   自分の権利だけを主張しないで相手に配慮するのは日本人の美徳でもある。しかし、パートタイマーが月に10時間のサービス残業というのは、美徳では済まされない気もする。例えば週に3日、月12日の出勤だとしたら、平均的には一日当たり約50分のサービス残業があることになる。所定労働時間が5時間とか6時間で1時間近くもサービス残業だと想定すれば、これは美徳で済む話ではない。もしかしたら、制服に着替えて職場に配置されるまで時給が計算されないとか、労働法上問題のある時間管理がされていないだろうか。また、パートタイマーであっても一定の勤務日数以上の人には年次有給休暇が付与される。これも法的権利だ。最低限の基準が守られているかどうか、チェックする必要がある職場はかなりあるのではないだろうか。

【筆者略歴】

労働政策研究・研修機構 主任研究員 小倉一哉氏

1993年早稲田大学大学院商学研究科博士課程単位取得退学。早稲田大学助手、日本労働研究機構を経て、2007年から現職。著書に「エンドレス・ワーカーズ」(日本経済新聞出版社2007)など。

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