公益財団法人日本生産性本部 トップページ セミナー コンサルティング 調査研究 書籍・手帳
ご購読のお申込

生産性新聞とは
広告掲載案内
生産性新聞の提言「主張」
おすすめの本
会議・研修案内

月3回発行・購読料7484円

ビジネス現場で役立つ心理学
中小企業の商売繁盛のツボ
働き方改革で組織力向上
〜ワークスタイル最前線〜
ワイワイガヤガヤ経営品質
働きすぎ日本人の実像
職場のメンタルヘルス問題解決のしかけ
新入社員は現場で磨く
〜カーリング型社員の育て方
ハイ・サービスへのみち!
ミドルマネジメントの限界を超える チームマネジメントのすすめ
トップページ > 生産性新聞 > 働きすぎ日本人の実像 > 休暇〜もう一つの長時間労働〜


休暇〜もう一つの長時間労働〜   2008年8月5日号

   日本人の労働時間が世界的に見て長い主な原因の一つは、恒常的かつ長い残業である。しかしそれだけではない。夏休みに典型的な、「長期休暇」というものが普及・定着していないことも大きな原因だ。

   大企業を中心に、多くの特別休暇がある。夏季、年末年始、GWに加えて、結婚、出産、弔事、病気などは当たり前、アニバーサリー、ボランティア、自己啓発、転職のため、はたまた失恋休暇まで設置した会社もあるとか。

   ところが、何か本末転倒なのである。これらの休暇は原則的に法定外であり、あるかないかは会社によってまちまちだが、労働基準法には、すべての雇用労働者に対して付与される「年次有給休暇」というものがある。詳細は省いて、年間20日くらいあることが通常だ。ところが、この法定休暇である年次有給休暇をどのくらい取得しているかというと、年間7〜8日というのが平均的な姿だ。しかも今年取らなかった年休は、来年度末に時効が消滅するから、2年間有効なのだが、それでも年間7〜8日というのは変わらない。そもそも今年やっと7日間休んだ人が、翌年急にその倍も休みを取れるとは思えない。こうして勤続が延びるほど、時効消滅する年次有給休暇が無意味に累積される。

   仮に毎年、年次有給休暇を10日取らなかったとする。勤続10年で100日。1カ月の出勤日を20日としたらまる5カ月分である。まる5カ月間、本来なら来なくても同じ給料なのに、余計に出勤していることになる。日給換算すればもっとわかりやすい。1日1万円で100万円だ。景気の良いときの一回のボーナス分くらいを、まるまる会社に寄付しているようなものである。法定休暇を全部取らないのに、法定外の休暇の種類だけはたくさんある。本末転倒とはそういう意味である。

   休暇はフランス語で「ヴァカンス」になる。筆者は、どんなに短くても2週間以下の夏休み(ヴァカンス)を見たことはない。条件のよい労働者の場合、4週間なども異例ではない。8月はまるまる夏休みで、まったく働かないなんてことが可能だ。「フランス人は休みすぎだ」などと揶揄する他国の人もいるが、「フランス人が4週間で自分は3週間しかないから」が理由だったり、日本と比べれば大陸欧州諸国は似たり寄ったりである。

   休暇にお金をかけない、社会的なインフラだけでなく、都会と地方の知人同士で短期的に居住空間を交換するといった、ヴァカンスの過ごし方にも慣れている。休暇文化の違いだろうか?でも一言。フランスのヴァカンスの拡大は、第二次大戦後である。「宗教観」などという言葉を持ち出す必要はないと筆者は考えている。日本は「働く文化」はあっても、「休む文化」はあるのだろうか。休むことは何か恥ずかしい、ナイショにしておくようなことなのだろうか。

   もちろん、いきなり4週間も続けて休める日本人はそう多くないだろう。でも、1週間の休みを年に4回取ることは、さほど困難ではない(すでに年末年始、GW、夏季は多くの人が該当しており、あともう1週間という意味で)。

   日本的な休暇の過ごし方を考えなくてはならない。

【筆者略歴】

労働政策研究・研修機構 主任研究員 小倉一哉氏

1993年早稲田大学大学院商学研究科博士課程単位取得退学。早稲田大学助手、日本労働研究機構を経て、2007年から現職。著書に「エンドレス・ワーカーズ」(日本経済新聞出版社2007)など。

ご購読のお申込



▲ページTOP
(c)COPYRIGHT JAPAN PRODUCTIVITY CENTER. ALL RIGHTS RESERVED.