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<事例・中>チームマネジメントへの挑戦 2009年2月5日号
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何が部長を自分たちの問題に向き合わせるのか
今回はA社自動機事業部の部長たちが「マネジメントができていない」という自分たちの問題と向き合うプロセスを見ていきます。
「事業部長が直接、部下に指示しているのが問題だ」マネジメント改革の取り組みに関する部長向けの説明会で、禁句ともいえる言葉が飛び出しました。
何人かの部長がすでに同じような不満を口にしている、「この場の発言は門外不出」と安全が保障されている、気軽な自己紹介で緊張がほぐれた…。これらの要因が場に対する安心感を高めていたからです。
このような状態は単なる不平不満の発散で終わるか、問題解決につながるかの分岐点です。「事業部長に問題提起しますか?」私からの問いに部長たちは最初、逡巡していました。しかし、私も含めて誰がいつどのように伝えるかの作戦を相談し合った末に、自分たちが話し合いの場で事業部長に直接、気持ちを伝えることになりました。
2週間後、事業部長も出席してマネジメント改革について話し合う場がありました。そこで話そうと準備はしたものの、部長たちに不安の色は隠せません。私は緊張を和らげることを心がけ、マネジメントに関する話題を提供して自由な議論を始めました。しばらくして一人の部長がようやく口を開きました。「もっと自分たちを信頼して仕事を任せてほしい」「私たちを通り越して部下に指示をすると現場が混乱する」。事業部長が応えます。「自分では指示しているつもりはまったくない。君たちの立場がなくなってしまう。自分がその立場ならば腹が立つだろう」。そんなやりとりが続いた後、「天地神明に誓ってそういうことはしない。ただ、僕も現場の状況は知りたいので話は聞きたい。そのときは、君たちにも伝えるよ」
この事業部長の言葉に部長たちの表情が緩み、場の空気が変わりました。そして、一人の部長の「俺たちは事業部長に言いたいことを言ったけれど、下からどう見られているかな」という発言から「きっと言いたいことがたくさんあるだろう」「俺たちは本来やるべきことをやれていない」といった内省的なやりとりになりました。事業部長が自分たちの不満を受け入れたことで“自分の問題に向かわない言い訳”が崩れたのです。そこから、事業部長と部長、そして部長たちの関係にも変化が生まれ、マネジメント本来の課題を抱えた部長どうしの「自分たちの問題に一緒に取り組む」連帯が芽生えました。
個人の抱える問題は、自らその問題に向き合うことで初めて解決されます。「自分の問題に向き合う」ためには、問題に気づいているか否かにかかわらず、“自由に話せる安全地帯をつくり、心の不安定状態をつくる”ことが必要です。周りの私たちにできるのは気づくための条件をつくることであり、誘導したり突き詰めたりすると失敗します。
この部長たちの議論は、その後も「部長研究会」という場を設けて続けられることになりました。目的は、(1)部下へのマネジメント能力をあげる(2)事業部全体の問題を協力して解決する、の二つです。次回は、自分たちの問題に向き合えた部長たちが、マネジメントチームとして自分たちの問題を自分たちで解決していくプロセスを紹介します。(次回に続く)
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【筆者略歴】
スコラ・コンサルト プロセスデザイナー 長野 恭彦氏
大手電機メーカー勤務を経て現職。幅広い業界の企業風土改革に関わる。
著書に『ここから会社は変わり始めた』(共著、日本経済新聞社)。
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