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<事例・下>チームマネジメントへの挑戦 2009年2月25日号
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部長チームでマネジメント力を鍛え合う
A社自動機事業部の部長がめざしたのは、社員が自律的に仕事を進め、問題解決ができる組織です。それを実現するために「部長研究会」を自分たちのマネジメント力を鍛え合うトライアルの場にしました。
彼らの挑戦を支援するために、私は「マネジメントの達人になるためのシート」を提供しました。恥ずかしくなるような名前ですが、めざす組織像を実現するために部長が実行すべき項目と、実行の進捗をチェックする欄から成る表です。個々の現状と得手不得手に合わせて項目を選んで実行し、研究会でお互いにふり返るというサイクルを繰り返していきます。
最初は全員が「部下と対話をする」という項目を選択しました。部下の自律性を醸成するうえでは不可欠の部長への信頼感を高めるための働きかけですが、一見取り組みやすそうに感じられたのでしょう。しかし、いざ実行となると意外に難しく、私に具体的なやり方のアドバイスを求める部長もいました。
こうした部長の姿勢の変化は、部下たちの変化にもつながっていきます。残業が問題になっていたある部では、部員たちが自発的に話し合って従来あいまいだった業務上の役割分担を明確にしました。それによって仕事の効率化が進み、結果として残業時間が減っていきました。
そんな中、ある出来事が部長研究会で話題になりました。製品開発の試作直前のデザインレビューの場で、ある担当者から図面の検証が終わっていないという報告があったというのです。当然、開発日程は後ろにずれ込みます。もちろん、スケジュールは決定していて、チェックシートで管理され、担当者もさぼっていたわけではなく、頑張ってやり抜こうとした結果でした。
部長たちの議論は、「リーダーは何をやっていたんだ」「上が怒らないから凡ミスが無くならない」といった「上司の怠慢」説から始まり、「能力が低い」「5年目なのに成長してない」といった「部下の問題」説へと展開します。担当者の上司にあたる部長が、顧客からの改造要求を手伝っていた、実験用治具が行方不明で手間取っていたなど、彼の置かれていた状況を説明しても、「リーダーの問題だ」「赤信号を出さなかった奴が悪い」と追及のほこ先は個人に向けられて、「上司の怠慢」と「部下の問題」の間を行ったり来たりします。
それでも彼らは、根気よく「なぜ」の問いを深めていき、「悪い情報を言いにくくしている我々にも問題があるかもしれない」と本質に迫っていきました。その結果、「悪い状況はすぐに上司に言う、上司も真摯に聴く」というルールを担当者全員に伝え、いかに早く問題を見えるようにするかを部内で話し合うことになりました。もしも表層的な議論で終わっていれば、単に管理項目を増やすという的外れの対策で部下の負担を重くし、上司への信頼感が失われ、ますます問題の解決は遠のくことになったでしょう。
問題のとらえ方で解決策は変わってきます。一般的に、問題は複数の立場の利害対立によって起こることが多く、一方だけが問題ということはほとんどありません。最終的に部長たちは、問題を「上司と部下との信頼関係の無さ」ととらえて解決策を考えました。率直に何でも話せる部長同士の信頼感とマネジメントについて深く考えられる時間の確保が、本質的な問題解決を可能にしていったのです。チームとして部長のマネジメントが機能したひとつの側面です。(次回も続く)
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【筆者略歴】
スコラ・コンサルト プロセスデザイナー 長野 恭彦氏
大手電機メーカー勤務を経て現職。幅広い業界の企業風土改革に関わる。
著書に『ここから会社は変わり始めた』(共著、日本経済新聞社)。
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