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「自律的な部長チーム」が立ち上がって歩き始めるまで 2009年5月15日号
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これまでの4回はA社の事例を通じて、@部長がチームになるA自分たちの問題に向き合うBチームでマネジメント力を高め合うC全体最適で部門の問題を解決していく、の四つのプロセスを紹介してきました。今回は、自分がある事業部の部長だと仮定して、部長同士がチームになるまでの@、Aのプロセスについて整理します。
ミドルが主体的に協力し合う自律的なチームになれば、ミドルの成長とともに実質的な変革ができると私が確信したのは、15年ほど前に某自動車メーカーの開発部門の部長たちの動きに触れてからです。部長たちは、公式の会議とは別の場で各々が感じる疑問を率直に話し合い、そこで創った課題に取り組むようになっていきました。
例えば、ローテーション制度。人材育成が目的であるにもかかわらず、評価の低い社員がたらい回しにされている現状を問題視した部長同士で話し合い、No.1社員の育成を目的として、お互いの部のNo.1社員の交換を始めました。また、設計プロセスのネックになっていたパイプとハーネスという車の動脈部の設計の仕方を複数部署で話し合って合理化したり、設計者をユーザーやディーラーに駐在させたりと、業務改善を超えた仕事の仕方の変革につながっていったのです。
これらはいずれも、「部」という機能単位のトップが「つながる」ことによって可能になった根本的な問題解決のケースです。それ以来、あちこちでミドルの自律的チームを支援してきました。
1.自分の問題意識からスタートする
仮にあなたが、事業部でいろいろと問題が起こっているが、その原因が「部長会議が形骸化していて部長も言いたいことがあるのに発言が少ない」「事業部の変革が急務だけど部長同士の連携が弱い」「部下である課長が会議でもほとんど発言しない」「方針を出しても課長同士が連動しない」などにあると、認識しているとします。そして、この状況を打開するために、「部長のマネジメン力を上げたい、そのために部長同士で話し合いたい」と考えます。
こういう場合はまず、あらかじめ事業部長に問題意識とやり方を相談しておきます。後々、事業部長の協力が必要な場面が来ますので、人間的に苦手な部分があっても、目的や「なぜ、そのために話し合う時間を確保することが必要か」など、大事なポイントは共有しておきます。加えて、「定期的に報告する」「必要があれば参加をお願いする」などのルールを共有し、「当面は見守ってください、いざという時にはお願いします」と頼りにしている気持ちを伝えておけば事業部長も安心です。
2.自分から不満を語り、弱さを見せる
当面の目標は、事業部全体の問題に対して、部長である自分たちが「自分たちにも問題がある」と認識することです。それには、お互いに率直な話し合いができる必要があります。つまり、現実の問題に対してお互いに踏み込んだ話ができる、おかしいことを「おかしい」と言える安心感が保障されている状態です。これは自律的なチームとしてうまく機能するための条件でもあります。
手始めには、部長全員で集まる場をつくりますが、公式の会議の後などが流れとして自然に乗りやすいかもしれません。あらかじめ「じっくりと話し合う場」という主旨を伝えて、会議後に時間をもらえるようにお願いしておきます。大義名分が必要であれば、事業部長から部長全員に背景と目的などを語っていただくのもひとつです。
最初は、とにかく腹の中に溜まっている不平不満を吐き出すことが肝心です。5〜6時間ぐらいは必要でしょう。一番いいのは一泊二日で集中して吐き出すことですが、何回かに分散せざるを得ない場合、間隔は1週間以内にします。
部下への不満、上司への愚痴、他部門への文句など何でもありです。部長同士がお互いへの不満を出し合えればスゴイことです。あなたは、行きがかり上、進行役を引き受けることになると思いますが、あくまで当事者のひとりです。率先して不平不満を吐露します。波風が立つのは当たり前、逆に収拾がつかないくらいでいいのです。「こんな愚痴を言っていても意味がない」と混乱を避けようとすると、その後の話し合いの形骸化が加速します。ひとりが腹を割ることができれば、連鎖的にホンネのひとつやふたつは出るのが人間です。
そして、一通り不平不満を吐き出したら、「俺たちにも問題はあるか?」「俺たちの何が問題なのだろう?」と、皆に向かって自問自答するように問いかけます。自分以外のことを吐き出した後ですから、残っている自分たちの問題に向き合えるはずです。ここでも、あなたが自ら自分の問題、自分の弱さを見せることが場の流れをつくります。「上に言いたいことが言えなかった」「こんな仕事を抱えて困っている」などです。
ここまでくれば、協力して問題解決に向かえるチームが自分で立って歩き始めています。
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【筆者略歴】
スコラ・コンサルト プロセスデザイナー 長野 恭彦氏
大手電機メーカー勤務を経て現職。幅広い業界の企業風土改革に関わる。
著書に『ここから会社は変わり始めた』(共著、日本経済新聞社)。
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