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内部統制は「儲けるためのしくみ」 2007年9月5日号
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最近、内部統制についての議論が活発になった。その原因の一つは、金融商品取引法により2008年4月からの施行が予定されている、いわゆる日本版SOX法対応のためであろうが、根はもっと奥にある。それは、ここ数年来、内部統制が未整備であるために、企業が業績不振、資金難に陥ったり、最悪の場合には企業が倒産してしまう事例が国内外を問わず相次いだからである。粉飾決算で倒産した米国エンロン社、ワールドコム社、わが国のカネボウ、法令違反で解散を余儀なくされた雪印食品しかりである。こうした相次ぐ企業不祥事が経営者に内部統制の重要性を再認識させたのである。
内部統制とは企業が「儲けるためのしくみ(プロセス)」である。まず経営者がこの点を理解しないと、内部統制の整備・構築はおぼつかない。何となれば、経営者の中には内部統制というと、「コスト以外の何物でもない」と考えている方が少なくないからである。こうした誤解は、不祥事を謝罪する経営トップの記者会見にも表れる、いわく、「利益を重視するあまり、コンプライアンスを軽視する企業体質が・・」である。
内部統制とは企業経営に不可欠の要素である。株式会社が営利を目的とした団体である以上、企業経営の要素に営利目的と相反するものなど存在するはずがない。内部統制の整備・構築も工場の建設といった設備投資と何ら変わりのない企業価値を高めるための投資なのである。
企業価値については、昨今、多くの識者によってさまざま論じられているが、ここでは仮に企業が将来得るキャッシュを不確実性(リスク)で割り引いた値としよう。キャッシュの入りを増やすことも企業価値を高める方法であるが、業績の下振れリスクを減らすことも同様に企業価値を高めることになる。内部統制とは、後者、すなわち、企業にとって業績の下振れリスクを減らすためのシステムである。このように考えれば、経営者としても内部統制の整備・構築に対して、より積極的に取り組むことができるであろう。
ちなみに、企業会計審議会内部統制部会が公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」(いわゆる日本版SOX法の実施基準である)では、「内部統制とは、基本的に、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の四つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対応の六つの基本的要素から構成される」と定義されている。いささか一文が長いので主語と述語だけ抽出すると、「内部統制とは業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセス」ということになる。それでは、このプロセスとはどういう意味であろうか。
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【筆者略歴】
弁護士・米国公認会計士 佐藤孝幸氏
弁護士・米国公認会計士・公認内部監査人・公認金融監査人。『実務契約法講義(第2版)』(民事法研究会)など著書多数。
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