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内部統制とはプロセスである   2007年9月15日号

   前回、内部統制とは、(1)業務の有効性及び効率性、(2)財務報告の信頼性、(3)事業活動に関わる法令等の遵守、(4)資産の保全の四つの目的が達成されるために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスであると説明した。ある大手建設会社の社長が「当社はもう談合などしない。各支店を回って幹部に談合をしていないか聞いて回ったら、みんな談合など絶対しないと言ってくれた」といった趣旨のコメントを出していたが、この経営者の発言からは「内部統制とはプロセスである」ということの理解が不足している。

   ここでは、みなさんの身近にある内部統制として食券自動販売機を例に説明したい。

   なぜ、食堂に食券自動販売機を置くのであろうか。

   まず食券自動販売機を置くことによって食堂の従業員が現金を触る必要がなくなる。従業員が現金を触ることができないのだから、従業員に現金を着服される心配がない。食堂のオーナーとしては、ひと安心である。つまり、食券自動販売機は資産の保全という目的に資する内部統制である。

   もう一つ食券自動販売機を置くことによって、従業員がうっかりとレジを通さずに売上金を受けとってしまうということがなくなる。レジを通さずに売上金を受けとれば、結果として、脱税ということにもなりかねない。食堂のオーナーとしては、従業員のうっかりミスによって脱税を犯してしまう(税法違反にあたる)というリスクを防ぐことができる。

   ところで、オーナー自らが切り盛りをしている食堂には、食券自動販売機が置かれることは少ない。むしろ、食券自動販売機は、チェーン店やフランチャイズなどオーナーが直接、お店を切り盛りしていないところに置かれることが多い。これは、なぜであろうか。

   内部統制は、複数の人々が仕事を分担しながら運営されている組織に必要不可欠なものだからである。要するに、内部統制とは、組織の目的を達成するために、同じ組織で仕事をする人全員が守らなければならないルールやしくみのことなのである。

   したがって、内部統制とは、従業員に対し、「現金を着服するな」、「売り上げは必ず記帳するように」と言って回ることではなく、食券自動販売機を設置することによって、従業員が現金を着服することができない、売上げの記帳ミスはあり得ないというシステムをつくりあげてしまうことなのである。これが内部統制システムという言葉もよく用いられるゆえんである。より正確に言えば、食券自動販売機を設置することが内部統制なのではなく、食券自動販売機を設置したうえで、食券自動販売機を利用することなく、顧客から注文を受けてはいけない、現金をやり取りしてはいけないという社内ルールを確立して、各従業員に遵守させてはじめてプロセスとしての内部統制が構築されたといえるのである。

【筆者略歴】

弁護士・米国公認会計士 佐藤孝幸氏

弁護士・米国公認会計士・公認内部監査人・公認金融監査人。『実務契約法講義(第2版)』(民事法研究会)など著書多数。

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