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日本版SOX法への対応「評価と文書化」   2007年10月5日号

   多くの上場企業においては、日本版SOX法の施行に向けて、「当社の内部統制は有効である」と評価できるように、目下、内部統制の整備・構築が行われている。ここで、「内部統制が有効である」とは、内部統制に「重要な欠陥のない」状態をいい、「重要な欠陥」とは、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性のある内部統制上の欠陥や不備のことを指す。

   さらに、日本版SOX法では、上場企業の経営者が適正で信頼できる財務報告を作成するために必要な内部統制が有効であるかについて自ら評価するだけでなく、その評価結果について外部の監査人による監査を受けなければならない。

   経営者が自己評価し、その評価結果を外部の監査人にチェックしてもらうということは、単に、「当社には○○という内部統制が存在しており、有効です」と主張するだけでは足りない。外部の監査人に評価結果のチェックを受ける以上、経営者による内部統制の評価手続が、文書などの記録として残されているということが必要になる。

   ふだん会社の業務に携わっていない外部の監査人が経営者による内部統制の評価結果が適正であるかを判断するにあたっては、財務報告に関係する内部統制システムに組み込まれている各業務プロセスの流れ、どの業務プロセスに勘定科目に重大な誤りが生じるなど財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼすリスクが潜んでいるのか、さらには、こうしたリスクに対して具体的にどのような統制手続が講じられているのかといったことが文書の形で、その業務に携わったことのない人でも容易に理解できる程度に説明できていなければならない。

   わが国の大企業は終身雇用を原則としているため、一度就職するとその会社で長期間働き続けるという社員が多く、また、米国などと比べて個々の社員のレベルも相対的に高い水準にある。そのため、どうしても「あの人が経理を見てくれている以上、間違いはないだろう」という具合に、担当者任せの業務管理に陥ってしまいがちである。

   日本的な担当者任せの業務管理が必ずしも悪いというわけではないが、「内部統制を評価し、その結果を外部の監査人にチェックしてもらう」ということになると話は違ってくる。

   担当の管理責任者以外には、業務の全体的な流れや財務報告に重大な影響を与えるリスク、これらのリスクの顕在化を未然に防ぐための措置などをわかっている人がひとりもいないというのでは、外部監査人の客観的な目で会社全体の業務プロセスを眺めた場合、「内部統制は有効である」と評価することは困難だからである。

   日本版SOX法は、社内の主要な業務プロセスを文書化することによって、社外の第三者でも、業務プロセスの流れや業務に潜んでいるリスク、その対策がわかるように、内部統制を目に見える形で表現することを要求しているのである。

【筆者略歴】

弁護士・米国公認会計士 佐藤孝幸氏

弁護士・米国公認会計士・公認内部監査人・公認金融監査人。『実務契約法講義(第2版)』(民事法研究会)など著書多数。

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