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就業規則のアップデートは行われているか 2007年11月5日号
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日本版SOX法の実施基準では、内部統制の目的として、(1)業務の有効性や効率性の向上、(2)財務報告の信頼性の確保、(3)法令等の遵守、(4)資産の保全の四つが挙げられているが、日本版SOX法は、投資家保護のための法律であるから、直接的には(2)の財務報告の信頼性の確保だけが問題とされる。そうであるならば、財務や経理の担当者だけの問題で、人事労務担当者には無関係かというとそうではない。
内部統制を整備・構築するうえでは、財務報告の信頼性を確保するための内部統制だけを取り出して検討するということは不可能なのであって、やはり上記四つの目的すべてを達成することを念頭に内部統制を整備・構築する必要がある。その意味で、日本版SOX法における内部統制は、財務・経理担当者はもちろんのこと、営業、製造、人事など社内のあらゆる業務部門に直接関係することなのである。
内部統制の整備においては社内規程の整備・見直しから着手することが肝要である。内部統制はプロセスである以上、社員が従うべきルールを確立し、そのルールを周知させ、社員全員が遵守することが基本となるからである。
人事労務担当者にとって最も重要かつ基本となる規程は、就業規則である。特に、わが国では、会社と従業員とが個別に雇用契約書を交わすことが少ないのであるから、就業規則は会社と従業員との契約書にほかならない。日本版SOX法の導入を機会に内部統制の整備・構築という面から、今ある就業規則をもう一度見直すことをお勧めしたい。特に留意すべきは、現代版問題社員に対応できるような就業規則になっているか、つまり、就業規則のアップデートが行われているかということである。
たとえば、高度IT化社会によって、情報の漏洩や不正利用のリスクが飛躍的に高まっている。それにもかかわらず、懲戒処分の事由の中に、「企業秘密を漏洩、不正利用をした場合」が含まれていないといったことはないか、改めて確認する必要がある。
また、最近、精神疾患社員の扱いに苦労している人事担当者が多いが、精神疾患社員を休職させたいという場合、就業規則の休職事由に該当するのかが問題となる。たとえば、「1カ月以上欠勤を続けた場合には休職に入る」と規定されている場合、精神疾患社員の場合、この規定を理由に休職させることは難しいことが多い。
なぜなら、身体的疾患とは異なり、精神疾患は一般に2、3日欠勤したと思ったら、次の日には出勤し、またその翌日欠勤するというようなケースが少なくないからである。
このような場合、前記のような規定の仕方では就業規則の休職事由に該当するのかが今ひとつ明確にならない。こうした事態を防ぐために、就業規則の休職事由に「精神の疾患により労務の提供が不完全なとき」といった項目も付け加えておくといったような検討も必要になろう。
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【筆者略歴】
弁護士・米国公認会計士 佐藤孝幸氏
弁護士・米国公認会計士・公認内部監査人・公認金融監査人。『実務契約法講義(第2版)』(民事法研究会)など著書多数。
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