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在宅勤務制度導入時の留意点   2007年12月15日号

   Q.当社では部分的に在宅勤務制度の導入を検討しているが、人事管理上特に留意すべき点は何か。

   A.少子高齢化が進む中、いかに優秀な人材を確保することができるかが企業の成長力を左右する時代になった。

   このような中、出産・育児、介護などで通常の勤務が困難な場合にも仕事が続けられる在宅勤務制度を導入する企業が増えてきている。本稿では内部統制の観点から在宅勤務制度を導入するうえで人事担当者が特に留意すべき点を概説する。

   (1)在宅勤務時間中の職務専念義務

   従業員は、就業時間中、会社に対して職務専念義務を負っているが、この点は在宅勤務者においても異ならない。在宅勤務を導入する目的のひとつが労働生産性の向上にある以上、在宅勤務制度を導入したら社員の生産性が低下したというのでは元も子もない。在宅勤務であるから、管理者が勤務中の仕事ぶりを日常監視することができない。そこで、従業員との信頼関係を前提に契約で拘束することになる。在宅勤務者については個別の雇用契約を結ぶのも一案であるが、そうでなければ、在宅勤務者のための職務規程を作成し、その中に、「在宅勤務者は勤務時間中は業務に専念する義務を負い、在宅勤務場所に業務と関係のない第三者、親族、ペットなどを立ち入らせてはならない」「在宅勤務者は、勤務場所に業務を遂行する上で必要のない機器、備品等を持ち込んではならない」といった事項を規定する。企業によっては在宅勤務の申請書類の中に、自宅の見取り図を添付し、どこで勤務するのかを明確にしているケースもある。

   (2)秘密情報、個人情報の漏洩防止

   在宅勤務者からの機密情報や個人情報の漏洩を防止するため、まず会社が業務に使用するパソコンを貸与する。万一、在宅者の自宅に泥棒などが入り会社が貸与したパソコンが盗まれたりしても、中の情報が漏洩・流出しないようにパスワードをかけるなどセキュリティを厳重にすることが必要である。さらに、貸与したパソコンにウイニーなど会社がパソコンに取り込むことを禁止しているソフトウエアを取り込んでいないかを定期的にチェックすることも必要であろう。自宅の私物パソコンであれば、かかる規制は困難であるが、会社が貸与したパソコンであるから可能である。

   情報はパソコンを通して漏洩するとは限らない。仮に配偶者や親など在宅勤務者と同居する者が同業他社の社員であった場合、わざとではなくても、うっかり家にあった顧客リストを見てしまったなどということがあり得る。在宅勤務を許可する場合には、親族や同居人に同業他社の関係者がいないかという点についても申告させ確認するべきである。

   その他、在宅勤務を始めるにあたっては、通信回線等の整備にかかる初期費用、経常的に発生する通信費や事務消耗品費の精算など経費処理の点で細かい取り決めを整理しておくことも大切である。

【筆者略歴】

弁護士・米国公認会計士 佐藤孝幸氏

弁護士・米国公認会計士・公認内部監査人・公認金融監査人。『実務契約法講義(第2版)』(民事法研究会)など著書多数。

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