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外注業務に関する不正を防止する   2008年3月15日号

【事例】
   X社では正規雇用者を大量に採用するため、新規に人事管理・給与計算ソフトウエアの開発を外注することになった。ソフトウエアに疎い人事担当マネージャーは、ソフトウエア開発を部下のA氏に任せきりにしていたところ、A氏は、過去にソフトウエア会社を経営していた知人B氏と共謀し、その知人が持っていた休眠会社Y社を外注先とする契約書を作成し、X社からY社へ多額の外注費を支払わせた。外注費は、A氏、ソフトウエアを開発したB氏およびその仲間で山分けしていた。

【解説】
   外注業務や購買業務は、会社がお金を支払う側に立つため、不正の誘惑も多い。特に、事例のようなソフトウエアの開発など高度に専門的能力を必要とする業務については、「自分はソフトには疎いから」ということで、この方面に詳しい部下に任せきりにしてしまう管理者も少なくない。企業不祥事や不正の多くは管理者の業務に関する認識不足が影響している。たとえ外注業務の詳細はわからなくても、以下のポイントを抑えるだけで、相当程度不正や事故を防ぐことができるはずである。

   1.社内規程の策定と見直し

   まずはこれらの業務にかかわる社内規程の策定・見直しから始める必要がある。外部委託管理規程、購買管理規程などを整備し、「発注の際には、必ず2社以上から見積りをとる」、「外注先や仕入先から接待を受けない」など外注委託や購買管理の方針や手続を明確にしたうえで、各担当者へ周知徹底させる。

   2.職務の分掌

   仕入れ・発注担当と支払い担当を分ける、請求書と納品書、検収報告書との照合は発注担当者以外の者が行うなど職務の分掌を図る。職務の分掌によって、必然的に内部チェック、内部けん制が機能するようになる。

   3.実地検査

   随時または定期的に、実地棚卸しを実施することも重要である。なお、在庫商品の実地棚卸しは在庫管理担当者以外の者が行わないと意味がない(職務の分掌)。在庫が外部倉庫に保管されている場合には、外部倉庫から定期的に確認状をとり、実在性を確認することも必要である。

   4.記録と保存

   業務委託契約書、発注書、作業報告書、検収書、追加発注書など、取引関係書類をもれなく作成し、適時に入手・保管することを徹底する。

   5.管理者によるコントロール

   発注責任者が、担当者と外注先や仕入先との関係を把握することも大切である。担当者との打ち合わせも部下任せにしないで、内容はよくわからなくても、時折、部下と一緒に顔を出すだけでもよい。また、特に、ソフトウエアの開発といったような人的サービスにおいては、発注内容と実施作業内容の妥当性について発注責任者が検証したり、プロジェクト別損益実績を検証することによって業務の妥当性を測り、不正の早期発見に努めることも重要である。

【筆者略歴】

弁護士・米国公認会計士 佐藤孝幸氏

弁護士・米国公認会計士・公認内部監査人・公認金融監査人。『実務契約法講義(第2版)』(民事法研究会)など著書多数。

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