公益財団法人日本生産性本部 トップページ 研修・セミナー コンサルティング 調査研究 書籍・手帳
ご購読のお申込

生産性新聞とは
広告掲載案内
生産性新聞の提言「主張」
おすすめの本
会議・研修案内

月3回発行・購読料7484円

知っておきたい労務管理
ビジネス現場で役立つ心理学
中小企業の商売繁盛のツボ
人事のための内部統制講座
働き方改革で組織力向上
〜ワークスタイル最前線〜
ワイワイガヤガヤ経営品質
働きすぎ日本人の実像
職場のメンタルヘルス問題解決のしかけ
新入社員は現場で磨く
〜カーリング型社員の育て方
トップページ > 生産性新聞 > 知っておきたい労務管理 > 解雇権濫用となる普通解雇とは


解雇権濫用となる普通解雇とは   2006年12月5日号

「いささか過酷にすぎ、合理性欠くうらみなしとせず」(高知放送事件)

●個別労働相談のトップは、解雇問題

   厚生労働省は、個別労働紛争について毎年5月に相談件数と内容を公表している。今年は「民事上の個別労働紛争に係る相談内容の内訳は、解雇に関するものが最も多く26・1%、労働条件の引下げに関するものが14・0%、いじめ・嫌がらせに関するものが8・9%と続いている」と報告。最もトラブル、相談が多い事例が解雇となっているのである。

●いつでも解約の申入れをすることができるか

   普通解雇とは、労働者の労務提供の不能または適格性が欠如した場合に行われる雇用契約の解除である。民法627条は「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」と定め、労基法20条は「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない」と制限している。

   しかし、予告をすれば解雇は自由と言うわけではない。労働法は、判例法とも言われ「客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認できないときには、解雇権の濫用として無効になる」(日本食塩製造事件【最2小判昭50・4・25】)という解雇権濫用法理が確立している。

   この法理は、予告をすれば解雇は自由とする民法・労基法の規定を大きく修正する判例法となり、平成15年、労基法は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」(18条の2)と改正された。普通解雇は、合理的理由と社会通念上相当であることが必要となった。

●著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認できない

   普通解雇の事由は様々。成績不良による解雇において「労働能力が劣り、向上の見込みがない、自己中心的などを理由とする解雇が無効」(セガ・エンタープライゼス事件)から、「遅刻、私用外出が多く、上司の命令にも従わない従業員に対する解雇が有効」(高島屋工作所事件)まで是非が別れる。解雇しなければならないほどか、改善の余地はないのか、会社の指導はあったのか、他の労働者と不均衡はないか、等が判断要素となる。

   最高裁は、朝寝坊してニュース番組に穴を開けたラジオ局アナウンサーに対する解雇に対し「普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、解雇権の濫用として無効となる」(高知放送事件【最二小判昭52・1・31】)とし、「相当性の原則」を示した。「解雇をもってのぞむことは、いささか過酷にすぎ、合理性欠くうらみなしとせず、必ずしも社会的に相当なものとして是認することができない」という判断であった。

   解雇という宝刀をいつ抜くのか、自由ではないらしい。

【筆者略歴】

社会保険労務士 加納明夫氏

加納人事労務研究所所長。主な著書に、「小さな会社の総務・経理・労務の仕事」(ぱる出版監修)、「中小企業のための公的助成金大活用ガイド」(ぱる出版)、「特集『パートタイマーと退職金制度』調査」(中退共)共著。
事務所ホームページhttp://members.ld.infoseek.co.jp/kano_roumu/

ご購読のお申込



▲ページTOP
(c)COPYRIGHT JAPAN PRODUCTIVITY CENTER. ALL RIGHTS RESERVED.