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労働条件変更の第4の道   2007年1月25日号

「再雇用の申出を伴った労働条件変更のための解雇」(スカンジナビア航空事件)

●労働条件の引下げに関するものが14・0%

   個別労働相談は、解雇に関するものが最も多く26・1%、その次が労働条件の引下げで14・0%であった(平成18年5月厚労省発表)。労働条件の変更は、従来3つの方法があるといわれてきた。第1に労働者との同意に基づく合意変更、第2に就業規則による一方的変更、第3に労働組合との労働協約締結による協約変更の道である。

   個別同意が難しく就業規則による一方的変更を行う場合、その是非は不利益変更の法理により「高度の必要性に基づいた合理的な内容のもの」(大曲市農協事件【最3小判昭63・2・16】)に限られてきた。労働協約による不利益変更は、労使自治の立場から変更の合理性が推認される(朝日火災海上保険(1)事件【平9・3・27最1小判】)とされてきたが、労働組合との合意がなければ不可能である。

   そこで、バブル崩壊後のリストラが多発するなかで、第4の道「変更解約告知」というドイツ型の変更ルールが注目を浴び、その是非が裁判所に持ち込まれた。

●変更解約告知とは何か

   変更解約告知とは「新たな労働条件による再雇用の申出を伴った雇用契約解約の意思表示であり、労働条件変更のための解雇」(大阪労働衛生センター第一病院事件【大阪地判平10・8・31】)とされている。

   ドイツでは、勤務地・職種限定の労働契約が多いことから配置転換に伴い変更解約告知が必要であり、労働者が承諾しかねないときは、変更に従ったうえで労働裁判所に訴えることが出来る(ドイツ法の留保付承諾の保障措置)から用いられてきたのである。日本では立法措置がなく、従来その適用は退けられてきた。

●解雇を正当化するに足りるやむを得ないものか

   10年前、変更解約告知について裁判所がはじめて判断した事案が現れた。「労働条件の変更が不可欠で、その必要性が不利益を上回っていて、応じない場合の解雇を正当化するに足りるやむを得ないものが認められ、かつ解雇回避努力が充分に尽くされているときは解雇できる」(スカンジナビア航空事件【東京地裁平7・4・13決定】)との判断基準を示し、新契約を拒否した9名の労働者の解雇を有効としたのであった。

●労働条件の変更ないし解雇に独立の類型は相当でない

   右判決が変更解約告知の是非に関して一石を投じた後、裁判所は「わが国においては、労働条件の変更ないし解雇に変更解約告知という独立の類型を設けることは相当でない。その実質は整理解雇に他ならない」(大阪労働衛生センター第一病院事件・前出)として退け、大阪高裁が容認し、最高裁は上告不受理の決定を行い、事実上変更解約告知について論議を封印してしまったのである。今日、労働契約法制が論議すべき問題でもある。

【筆者略歴】

社会保険労務士 加納明夫氏

加納人事労務研究所所長。主な著書に、「小さな会社の総務・経理・労務の仕事」(ぱる出版監修)、「中小企業のための公的助成金大活用ガイド」(ぱる出版)、「特集『パートタイマーと退職金制度』調査」(中退共)共著。
事務所ホームページhttp://members.ld.infoseek.co.jp/kano_roumu/

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