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トップページ > 生産性新聞 > 知っておきたい労務管理 > 雇い止めと解雇権濫用法理の適用


雇い止めと解雇権濫用法理の適用   2007年3月5日号

「期間満了を理由に雇止めすることは信義則上からも許されない」(東芝柳町事件)

●解雇権濫用法理の類推適用

   前回まで、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、無効とする。」(労基法18条の2)ということをみてきた。

   有期雇用契約において契約期間中はやむを得ない事由による以外解雇は出来ない。「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる」(民法628条)。この「やむを得ない事由」とは、当事者が予見しえず当事者の責めに帰することができない事実の発生及び当初の契約内容に当事者を拘束することが極めて過酷になった場合とされ、これを「事情変更の原則」と呼び、よほどのことがない限り認められた例はない。

   では有期雇用契約において期間満了による契約の解除(更新の拒絶)の場合はどうか。契約期間2カ月の基幹臨時工が、5〜23回更新後に雇止めされた事件で、最高裁は「本件労働契約は期間満了ごとに更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたものであり、その雇止めには解雇に関する法理が類推適用される」(東芝柳町事件【最一小判昭49・7・22】)との判断を示し、雇止めを無効とした。この判決によって、有期雇用契約の雇止めにおける解雇権濫用法理が確立された。

●有期雇用契約の4類型による雇止めの可否

   平成15年、政府は増大するトラブルを未然に防止するため「有期雇用契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」を策定し、有期雇用契約を4類型に分類し雇止めの可否を示した。

   4類型とは、(1)純粋有期契約タイプ(代表例/亜細亜大学事件)(2)実質無期契約タイプ/東芝柳町事件(3)期待保護(反復更新)タイプ/日立メディコ事件(4)期待保護(継続特約)タイプ/福岡大和倉庫事件であった。

   「期待保護」とは、「期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態」ではないが、雇用期間がある程度継続することが期待されるとして、「2カ月雇用を5回更新した臨時員につき、更新拒否をするに当っては解雇法理が類推適用される」とした日立メディコ事件(最一小判昭61・12・4)において、前述の濫用法理に新たに加えられた要件である。判決は、「終身雇用下のいわゆる本工を解雇する場合とはおのずから合理的な差異がある」として雇止め有効とした。確定まで15年を要し、その負担は計り知れないものであった。

●21回更新された非常勤講師の雇止め

   インド人のヒンデュー語非常勤講師が21回更新された後、雇止めが行われた亜細亜大学事件(東京地判昭63・11・25)では、学校が毎年12月に翌年の講師委託の通知書面を交付し、他の2大学での非常勤講師の就労実態があったことも考慮され、「拘束の度合いもきわめて薄く、期待する合理性も認められない」と雇止めが有効とされた厳格なタイプである。

【筆者略歴】

社会保険労務士 加納明夫氏

加納人事労務研究所所長。主な著書に、「小さな会社の総務・経理・労務の仕事」(ぱる出版監修)、「中小企業のための公的助成金大活用ガイド」(ぱる出版)、「特集『パートタイマーと退職金制度』調査」(中退共)共著。
事務所ホームページhttp://members.ld.infoseek.co.jp/kano_roumu/

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