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制定なるか、労働契約法   2007年3月15日号

「就業規則による労働条件の変更に道を拓く」

●労働契約法制定の幕が開けられた

   2月2日、労働政策審議会は、労働契約法案要綱と労基法改正案要綱を厚生労働大臣に答申し、労働時間法制(ホワイトカラー・エグゼンプション制度)を除き今通常国会へ提案されることになった。この連載が掲載される頃には、労働契約法の国会審議が始まっているのではないかと思う。

   労働契約法制は、繰り返し述べてきた個別労働紛争の増大を背景とし、個別労働紛争解決促進法によるあっせん及び労働審判法による審判等の裁判外紛争解決手段(通称「ADR」)により未然に個別の労働紛争を防止する基本的ルールを明確にするための法制化である。

   前述のあっせん申請件数は、約6900件(2005年)となり仮処分を含む労働裁判件数の3000件(同年)を倍する実績となっている。余談だが、社会保険労務士法が改正され同法の紛争解決のあっせん代理権が付与され、本年4月より国家試験合格者に「特定」資格が認定され、弁護士の隣接法律専門家として紛争代理業務ができるようになった。紛争予防に加え、ADRの担い手の役割が期待されるところである。

  ●解雇の金銭解決は見送られた
 
   個別労働相談の実態は、解雇、労働条件の引下げ、職場いじめ・嫌がらせ、退職勧奨、出向・配転などの順となっている。懸案であった解雇の金銭解決の制度、使用者の解雇が無効であっても金銭補償と引き換えに解雇を有効とする制度の導入は、今回見送られた。労働条件分科会における「解雇無効の判決が出ても職場に戻れない仕組みは理不尽である」という労働側の強い反発を配慮したのではないかといわれている。

   「解雇は合理的な理由を欠き、社会通念上相当でない場合は無効とする」というルールは、平成15年の労基法改正で新設されたが、法違反による刑罰主義ではカバーできない領域のため、「労働契約についての包括的な法律を制定すべき」(国会の付帯決議)に基づき、今回労働契約法に移行されることになった。この法律は、労働基準とは別の労働契約に関するルール(民事紛争防止)のため、罰則は設けられていない。

●最大の論点は、就業規則の変更の効力

   「労働契約法の本当に重要な争点は、就業規則の効力に関する規定を労基法から移し、その法的性質と労働条件変更の効力を明確にするための提案である」(角田中大教授・社労士東京会「会報」新春特集)。確かに、法案要綱は、労働者と合意することなく労働条件を変更できないと契約の原則を述べたあと、一方的に変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ変更が合理的なものであるときはこの限りでないと明確にしている。労働契約の自由・対等の原則が述べられながらも、それが制限される法律でもある。

【筆者略歴】

社会保険労務士 加納明夫氏

加納人事労務研究所所長。主な著書に、「小さな会社の総務・経理・労務の仕事」(ぱる出版監修)、「中小企業のための公的助成金大活用ガイド」(ぱる出版)、「特集『パートタイマーと退職金制度』調査」(中退共)共著。
事務所ホームページhttp://members.ld.infoseek.co.jp/kano_roumu/

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