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監督または管理の地位にある者とは   2007年4月15日号

●「名のみ管理職」の悲哀

   労務管理シリーズの第2期として、労働時間法制について考えてみたい。今回は、労基法において労働時間の規制の適用を除外されている「管理・監督者」を取り上げる。

   2000年10月、中央労働基準監督署は、東京・中央地域に本社を置く40社の人事担当に面談し、管理・監督者について実態調査を行った。調査の目的は、中央労働基準審議会の提言「サービス残業解消に向けての積極的な取組(事業場への臨検監督)が課題」(同年11月)に対して、管理・監督者の適合性の判断基準を明らかにすることにあった。その内容は、翌年3月に新聞報道され「平均4割が管理者と位置づけられ、部下なし、権限なし、賃金の逆転現象あり」という実態であった。続いて、同署は、大手企業を対象とした「労働時間管理等」説明会を開催(対象上場企業800社中400社が参加)し、監督指導の10事例を示し、今日全国の労働基準監督署が総力を挙げる「賃金不払残業」の取締を宣言した。背景となったのは、遺族への損害賠償を認めた電通過労死事件の最高裁判決(2000年3月)と監督官庁に対する世論の批判であったと謂われている。

  ●経営者と一体的立場にあるものの意

   労働基準法第41条は、「労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次のものには適用しない」とし、第2号に「監督若しくは管理の地位にあるもの」を掲げている。その範囲について解釈例規は「一般的には部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあるものの意であり、名称にとらわれず実態に即して判断すべきものである」(昭63・3・14基発第150号)としている。

   静岡銀行事件(静岡地判昭53・3・28)は、「調査役補(支店長代理相当)に昇格後も出勤簿に押印し、通常の就業時間に拘束され出退勤の自由がなく、上司の手足となって部下を指導してきたに過ぎず、経営者と一体となって経営を左右する仕事には全く携わっていない」とされ、割増賃金と同額の附加金(労基法第114条)の支払を命じられている。

●タイムカード打刻が免除されるも、労働時間の自由裁量権なし
 
   唯一控訴審が争われた日本コンベンションサービス事件(大阪高判平12・6・30)では、「参事、係長、係長補佐の地位(マネージャー職)にある原告らの業務は、いずれも他の従業員と変わることがなく、タイムカードの打刻が免除されていたとはいえ、労働時間について自由裁量を有していたと認められない。また労務管理に関わっていたとはいえ、部下からの勤怠の届出に承認を与えるという程度のもので、経営者と一体的な立場で重要な職務と責任を負担していたとは言えない」と判示した。さて、「経営者と一体的な立場のあるもの」という適用除外について厳格な解釈は、法による保護を必要としない高額の報酬を得ているものという趣旨に解すると、新たな判例が出てもよいのではないかと思う。

【筆者略歴】

社会保険労務士 加納明夫氏

加納人事労務研究所所長。主な著書に、「小さな会社の総務・経理・労務の仕事」(ぱる出版監修)、「中小企業のための公的助成金大活用ガイド」(ぱる出版)、「特集『パートタイマーと退職金制度』調査」(中退共)共著。
事務所ホームページhttp://members.ld.infoseek.co.jp/kano_roumu/

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