公益財団法人日本生産性本部 トップページ 研修・セミナー コンサルティング 調査研究 書籍・手帳
ご購読のお申込

生産性新聞とは
広告掲載案内
生産性新聞の提言「主張」
おすすめの本
会議・研修案内

月3回発行・購読料7484円

知っておきたい労務管理
ビジネス現場で役立つ心理学
中小企業の商売繁盛のツボ
人事のための内部統制講座
働き方改革で組織力向上
〜ワークスタイル最前線〜
ワイワイガヤガヤ経営品質
働きすぎ日本人の実像
職場のメンタルヘルス問題解決のしかけ
新入社員は現場で磨く
〜カーリング型社員の育て方
トップページ > 生産性新聞 > 知っておきたい労務管理 > 労基法上の労働時間とは何か


労基法上の労働時間とは何か   2007年5月25日号

●不払残業賃金(サービス残業代)過去最高額69億円

   労働基準行政は、企業の安全義務違反を認めた電通過労死事件の最高裁判決以降、サービス残業(後に当局は「賃金不払残業」と改める)に対する取締りを重点施策としてきた。厚生労働省は、2002年10月から2004年3月までに「賃金不払残業で72億円を是正支払」させたと公表し、更に2003年12月には「K社がサービス残業代65億円を支払う」との報道がなされた。

   何万人の社員を抱える大企業の2年間の不払賃金は数10億円という規模になり、次から次に是正指導の結果が公表され、2005年3月には「T社がサービス残業代69億円を支払う」という過去最高額の記録が公表された。人事担当者は、次はどこかと不安が募る。

   賃金不払残業を徹底的に取り締る労働基準監督官の姿勢は、今も変わることなく続けられてはいるが、時間外労働に対する指導に接し企業の側に労働時間の管理について戸惑いがある。始業・就業の時刻をめぐり、どこまでが労働時間なのかという疑問である。

●三菱重工長崎造船所事件の最高裁判決の衝撃

   2000年3月9日、三菱重工長崎造船所事件最高裁判決は、長い間論争されてきた労働基準法上の労働時間とは何かを明らかにした。

   判決いわく「労働基準法上の労働時間とは、『使用者の指揮命令下に置かれている時間』をいい、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かにより客観的にさだまるものであって、就業規則等によって決定されるものではない」として、作業に着手する前の安全〓等の脱着時間を労働時間と認定し、会社に時間外労働に対する割増賃金の支払いを命じたのである。

   「客観的にさだまるもの」とは、当事者間の合意によるものではなく実際に労働に従事した時間ということであり、監督官が指導する「実労働時間」の根拠とするところである。
 
●臨検監督の実態
 
   労働基準監督官による予告なしの事業所への立入調査という臨検は、労働基準法第102条により与えられた特別司法警察官としての権限に基づき行われるもので、拒んだり、偽りの報告をすれば、6か月以下の懲役という刑事罰を科すことが出来る宝刀だ。

   労働者保護の立場から労働Gメンとして法違反に目を光らせている訳だが、労基法の労働時間規制は、第2次産業を中心とした工業社会時代に求められた規制であり、第3次産業が中心となる情報化時代の労働時間規制になじまない面がある。働くことを美徳とする日本的な価値観と、労働を悪と考え労働からの解放を善とする欧米の価値観との違いもあり、新しい労働時間法制をめぐり労使の溝はなかなか埋まらないでいる。

【筆者略歴】

社会保険労務士 加納明夫氏

加納人事労務研究所所長。主な著書に、「小さな会社の総務・経理・労務の仕事」(ぱる出版監修)、「中小企業のための公的助成金大活用ガイド」(ぱる出版)、「特集『パートタイマーと退職金制度』調査」(中退共)共著。
事務所ホームページhttp://members.ld.infoseek.co.jp/kano_roumu/

ご購読のお申込



▲ページTOP
(c)COPYRIGHT JAPAN PRODUCTIVITY CENTER. ALL RIGHTS RESERVED.