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専門業務型裁量労働制とは   2007年8月25日号

●業務遂行手段及び時間配分に関し具体的な指示をしない

   週40時間労働制が施行された昭和63年、政府は労働時間の弾力的運用として変形労働時間制を導入すると共に「労基法第38条の3」を設けて裁量労働制を整備した。

   裁量労働制は、「研究開発の業務その他の業務であって、業務の性質上その遂行の手段及び時間配分の決定等に関し具体的な指示をしないこととするものとして労使の協定で定める業務」【趣旨】(昭63・1・1基発1号)とされた。平成6年の法改正で対象業務が「政省令で定めるもの」【同趣旨】へと格上になった。

   創設当初は、例示の業務として「研究開発、システムエンジニア、編集者、デザイナー、プロデューサー」の5業務の他、労使協定で定めれば他の業務も適用可能であったが、審議会での労使の論議の難航を反映し政省令による限定列挙以外は違法となった。

   さらに、平成11年改正による「企画業務型」裁量労働制の創設により「専門業務型」裁量労働制と改名され、現在では全部で19種の専門業務が指定されるに至っている。

●労使協定に定めた時間、労働したものとみなす

   労働時間の「みなし」とは、反論を許さない「法による擬制」であると前回述べた。

   「専門業務型」裁量労働制の場合、「労使協定において、該当する業務を定め、当該業務に必要とされる時間を定めた場合には、労働者は当該協定で定めた時間労働したものとみなされる。」【専門業務型裁量労働制における労働時間の算定方法】(昭63・3・14基発150号)

   この「労使協定で定めた時間」は、「1日当たりの労働時間を協定する」【1か月単位のみなし労働時間の協定】(昭63・3・14基発150号)と通達されたが、「裁量労働制は、1日及び1週の法定労働時間の特則として設けられている制度なので、1日のみならず、1週間の労働時間についてみなし時間数を設定できると解すべきである」(「労働法第6版」菅野和夫著)との厳しい批判が寄せられた。

●みなし労働時間は所定労働時間か否か

   この制度のポイントは、「1日当たりの労働時間」の協定にある。所定労働時間か平均的労働時間か、第一線の監督官は対象業務の平均的労働時間を指導の目安としていが、法定労働時間を大幅に超える「みなし時間」を指導される事案が散見される。

   例えば、相手側の都合により待ち時間など労働密度の薄い時間を余儀なくされる長時間業務の場合、平均となる時間が10時間を超えるケースでは月45時間の限度時間を超え、「臨時的なものに限る」とされる特別条項の趣旨にも反する。

   労働時間の短縮は、労使協定による「1日当たりの労働時間」により実質的に左右される。

   政府は「労使合意の原則」のルールを最大限に尊重すべきではないだろうか。

【筆者略歴】

社会保険労務士 加納明夫氏

加納人事労務研究所所長。主な著書に、「小さな会社の総務・経理・労務の仕事」(ぱる出版監修)、「中小企業のための公的助成金大活用ガイド」(ぱる出版)、「特集『パートタイマーと退職金制度』調査」(中退共)共著。
事務所ホームページhttp://members.ld.infoseek.co.jp/kano_roumu/

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