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ホワイトカラーエグゼンプションの是非   2007年11月5日号

●制度導入の経過

   平成14年12月、労働政策審議会労働条件分科会は、「アメリカのホワイトカラー・エグゼンプション等についてさらに実態を調査した上で、今後検討することが適当」と報告した。

   平成17年5月、連合は、アメリカに調査団を派遣し「日本の労働時間法制は既に相当に弾力化・柔軟化されており、労働時間の長時間化が強く懸念されている」と報告し、制度の導入に慎重な態度を示した。

   平成17年年6月、経団連は、「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」において「年収の額が400万円以上であること」と具体的な賃金要件を公表し、論議となった。

   平成18年12月27日、労働政策審議会は、「『自由度の高い働き方にふさわしい制度の創設』として、一定の要件を満たすホワイトカラー労働者について、一律的な規定の適用を除外する」と答申したが、「なお、労働者代表委員から、長時間労働となる恐れがあることから、新たな制度の導入は認められないとの意見があった」との両論併記を余儀なくされた。

   本年の通常国会に上程予定であった新労働時間法制は、野党から「残業代ゼロ法案」と批判され、時期尚早との政治判断により見送られてしまった。以上の経過から、考えてみたい。

●ホワイトカラーエグゼンプションの現実

   制度導入の是非が分かれるアメリカのホワイトカラーエグゼンプション制度とはどのようなものなのか。アメリカの労働時間法制は、連邦法である公正労働基準法(Fair Labor StandardsAct)において、週40時間を超える労働に対して5割の割増賃金を義務付けるのみで、労働時間の長さの規制はなく、その7条において州法などの適用を肯定し、FLSAと州法により規制される二重構造となっている。

   FLSAは、大恐慌後の失業対策として立法化され、長時間労働の抑制と労働時間短縮による雇用機会の創出が立法趣旨であったが、膨大な数の適用除外が規定されていた。現在、適用除外は、対象職務が(1)管理職エグゼンプト、(2)運営職エグゼンプト、(3)専門職エグゼンプトなどで、法律により割増賃金の支払を義務づけても労働時間の抑制ないし労働時間の短縮によるワークシェアリングの効果があまり期待できない場合に限られるという。制度の適用対象は、労働者の2割前後といわれ、違反に対する刑事罰、民事罰も相当厳しく行われている。

●長時間労働に対する規制の是非

   日本の労働基準法は、工場法の時代から長時間労働に対する規制として立法化され、ワークシェアリングの視点はない。アメリカの制度をそのまま導入すると、欧米との資源の差、価値観が異なるわが国の勤労立国の事情からすると、相当な労使の摩擦が生じるものと思われる。労使の基本的合意がなければ、不幸な制度となる恐れがあり、納得のいく論議が望まれる。

   今回をもって、連載を終了いたします。長い間、お付き合い戴きありがとうございました。

【筆者略歴】

社会保険労務士 加納明夫氏

加納人事労務研究所所長。主な著書に、「小さな会社の総務・経理・労務の仕事」(ぱる出版監修)、「中小企業のための公的助成金大活用ガイド」(ぱる出版)、「特集『パートタイマーと退職金制度』調査」(中退共)共著。
事務所ホームページhttp://members.ld.infoseek.co.jp/kano_roumu/

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