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キーワードは「目的の明示」「役立ち感」「親近感・身近さ」
 (2008年7月5日号)

   前回、前々回と今年の新人の「安定志向」とその根底にある「将来への漠然とした不安」からくる「つながっていたい欲求」について書きました。今回は、そういった傾向を踏まえて、新人育成を行っていく上で重視すべきことを書いてみたいと思います。

   今年の新人を育てていく上で重視すべきことは、「目的の明示」、「役立ち感」、「親近感・身近さ」、この三つに集約されます。これらは研修のような集団の場であっても、OJTのような個人に対してであっても共通することです。では、なぜ、この三つに集約されるのかということですが、それは今年の新人が「現実も見据えながらある程度自分を出していきたい」といった人たちだからです。これだけではよく分からないと思いますので、さらに説明しますが、人を育てていくためにはその対象となる人の志向や特性を踏まえたアプローチを行うことがとても大切なことです。例えば、論理的かつ現実的な人に「とにかくがんばれ!」的な根性論アプローチを行ってもうまくはいかないでしょうが、その一方で、根性論アプローチがうまくいく人たちもいるわけですから、要は「人を見て法を説け」ということです。

   今年の新人は、第二回でも紹介したように「現実も見据えつつ、自分らしくやりたい、でも、あまり背伸びしたくない」的な志向をもっていて、2、3年前の新人のような「自分の望む条件にかなう、やりたいこと、好きなことをやる!」的な発想とは明らかに異なります。そうすると、今年の新人には、「なぜ、こんな仕事をするのか、それがどう役に立って、自分にどうはねかえってくるか」を常に提示していくことが必要になります。2、3年前の新人であれば、「本人のキャリアアップにつながる」ことを強調する必要があったのに比べ、違うアプローチであることがお分かりいただけると思います。

   今年の新人には「目的の明示」として、なにかにつけて、「なぜ、こうしたことをやるのか」、「なぜ、それをやってもらうのか」などとその目的や意味を説明することが大切です。特に、最近の新人は、「自分の範囲」でしか物事が判断できなかったり、「知っていることイコールできること」と思ったりしがちですから、「たとえ仕事が分業されていたとしても仕事はチームのものとして考えること」、「知っていることとできることは別物であること」をよく伝えることがこれまで以上に重要です。

   「役立ち感」に関しては、これまで「今の仕事がその本人にどう役に立つのか」を説明することなどなかったかもしれませんが、あえて説明することで、今の仕事と自分のつながりや自分にとっての効用がイメージできるようになります。

   最後に、「親近感・身近さ」ということですが、「そんなに高いレベルやすごいことを望んでいるわけではないこと」を伝えることが大切です。今年の新人は「あまり背伸びしたくない」と思っているわけですから、「与えられている仕事の目的を知り」、「今やっていることが自分の将来につながっていき」、「まだそんなにすごいことを望んでいるわけではない」ことを示して、普段やっていることが「現実を見据えて自分らしくやっていくこと」につながることを様々な機会を通じて教えていく必要があります。


【筆者略歴】
Performance Excellence Associates
(パフォーマンス エクセレンス アソシエイツ)
代表 坂本 崇氏

業績向上コンサルタント。
問題解決やコーチングのような思考とコミュニケーションの各種スキルを活用して、外資系大手コンサルティングファームから中小企業や行政組織まで、ビジネス能力の向上を経営力アップに無理なくつなげ組織の業績向上を実現している。

ホームページ  http://www.e-management.jp/

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