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今年の新人には知識だけでなく、「現場で行動し考えさせる」、「自主性発揮の場」を与えること     (2008年7月15日号)

   これまでの連載で、今年の新人の特徴やそれらに応じた育成のキーワードを書いてきました。今回からは、そういった前提を踏まえて今年の新人育成に役立つ具体的な項目や様々な取り組みを紹介していきたいと思います。今年の新人育成の必要事項を事例とともに説明していくと思っていただければ結構です。

   今年の新人は、「現実を見据えながらも自分らしくやっていきたい」ことを望んでいるのはすでにお伝えしてきているとおりです。こうした特徴をうまく生かしていくためには、3現主義ではありませんが、やはりリアリティー(現実感)が最も大切です。新人の教育というと、とかく研修で座学的教科書的に仕事を教える、となってしまいがちですが、そうではなくて現場、現物、現実に触れさせながら本人に考えさせ、自主性を発揮させるように仕掛けるかがポイントになります。

   例えば、トヨタグループではこの春の新人研修として、入社早々の4月初め(入社式の午後から)から5月中旬までどっぷり現場に浸し考えさせ、改善の基本能力を身につけさせる研修を実施しました。おおまかにいうと、この一カ月半の前半は午前中座学で「トヨタ生産方式」について学び、午後は実際の生産ラインで現場体験を行ない、期間の後半では現場で新人たちが工程改善をフィールドワークして自分なりに改善提案を提出するというものです。

   この研修の模様は、テレビ番組やビジネス誌でも取材されていますので、より具体的な内容については、そういったもので見ていただければと思います。この事例で注目すべきは、たった一カ月半で生産管理や無駄取りの基本を押さえつつ、寝る間も惜しんで改善提案に打ち込んでいる、こうした基本を身につけることと自主性発揮の両立がなされていることです。基本的なこと身につけさせようとして教室に缶詰にして知識を教えてばかりでそれが受け身の姿勢を醸成することになったり、逆に、自主性を発揮させようとして放任的で締まりのないことになっていたりするのはよくあることです。

   こうしたことは製造業だけでなく、サービス業においても重要なことです。特に、サービス業の場合は、お客と接する従業員の心構えや態度、広い意味での心理状態がお客の感じ取る満足に大きく影響しますから、やらされ仕事では質のいいサービスを提供することなんてできやしません。例えばこんな話があります。それまでは、ろくに人に挨拶もしなければ、人の気持ちを察しようともしなかった男子大学生が夏休みに体験したディズニーのアルバイトで見違えるくらいホスピタリティーあふれる人に変わってしまった、というものです。つまり、たった2週間であってもサービスとはなにかを教わりその真髄に触れ、自分で体験し考えることによって、自らが自発性を持った高いサービスの提供者になることができるということです。

   今年の新人は、現実も大事にしながら自分らしさも出していきたいと思っている人たちですから、ここで紹介した事例のように、教育的な側面と自主性発揮の側面の両立を念頭に置き、どちらかだけを大事にする、また、どちらかだけに偏り過ぎないようにすることが大切です。


【筆者略歴】
Performance Excellence Associates
(パフォーマンス エクセレンス アソシエイツ)
代表 坂本 崇氏

業績向上コンサルタント。
問題解決やコーチングのような思考とコミュニケーションの各種スキルを活用して、外資系大手コンサルティングファームから中小企業や行政組織まで、ビジネス能力の向上を経営力アップに無理なくつなげ組織の業績向上を実現している。

ホームページ  http://www.e-management.jp/

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