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キャリアは自ら創造するもの 2007年12月15日号
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「生きる意味、働くことの意味」を問い直す
有能な人材が企業の成長と発展の鍵を握る。言い換えれば人間こそが企業の財産である。いかに潜在能力がある人材を採用し、育成するか、企業にとって最も重要な課題である。
一方、働く個人にとっても「キャリア」が厳しく問われる時代になってきている。単にどこの大学を卒業したのかではなく、つまり「学歴」よりも、「キャリアの中味」が重要な意味をもつ。あなたは「何ができる人なのか、何が専門性なのか、他の人と違う仕事上の強みとは何か」が問われる。まさに時代は「売れる人材」「高付加価値のある人材」「市場価値の高い人材」を求めており、そこでの個人の課題は、常に仕事を通して、また主体的な自己啓発努力によって、いかに自分のキャリアを磨き、育て、社会に必要とされ・欠かせない「価値ある人材」となるかであるといえよう。
初めから理想の職業、天職といえるものはない。むしろ、自分の努力によって創り出していくものである。働く一人一人は、5年ごとに自分の履歴書をさらに上質なものに書き換えるぐらいを常に意識し、キャリア形成を行ってはどうだろうか。
つまり、30歳の人はこれから自分自身にさらなる付加価値を付け、5年後の35歳になった時、自分の履歴書には何を書き加えることが可能かを具体的に考えながら働くことである。また、50歳で出向が決められている場合などには、50歳の出向時にどのような付加価値のある履歴書を書くことができる自分になれるかを強く意識しながら、日ごろから働くことが必要である。
キャリアは綿密な計画に基づいて形成されるというよりも、「たまたまの偶然」から形成される部分が大きい。社会環境、経営環境が変われば、それに伴い個人のキャリア形成には大きな影響が与えられる。現在の担当職務も「たまたまの偶然」から担当することになったとしても、この「たまたまの偶然」の職務を自分のキャリアの中に強みとして確実に組み込み、「偶然」をいかに「意味あるもの」に転換できるかが大切である。
キャリアはすべて一つ一つの役割の連続性の中で形成されていくものであり、ある日突然天職といえるようなキャリアが生まれるのではない。
キャリア形成の過程には、ひとつも無駄な仕事、経験はないと心得ることが必要であろう。どんな仕事であっても、自分に与えられた「チャンス」と捉え、そこに全精力を傾けてチャレンジしてみることである。キャリア形成の第一歩は、何よりもまず現在担当する職務を一生懸命遂行することを通して、期待される役割と責任を十分に果たすことから始まるのである。その過程においては、必ず身につけることが可能なスキル、知識、経験、人脈があるだろう。中途半端な取り組み、いやいや仕方がなく遂行している状態から得られるものは少ない。
要するに、その時々の置かれた状況や環境において、これこそ自分のキャリアと捉え、積極的主体的に行動することを通して仕事に取り組む姿勢が何よりも必要である。考えているだけではキャリアは決して形成されない。積極的に行動する中からキャリアは開発され形成される。そして、次のキャリア・チャンス(幸運)は、こうした「準備のある人」の所にいつか必ずやってくるものである。すなわち仕事は与えられるものではなく、自分から課題を見つけ、目標に向かって絶えず勉強することを怠らないこと。チャンスも自ら創り出すものなのである。また同時に並行して、自分の専門分野以外のもので自分のキャリアを豊かにする努力も必要であろう。
個人にとってキャリアは、自分の「生きる意味、働くことの意味」を問いなおすことでもある。すなわち、自分は何に価値を置き、何を大切にしながら生き、働きたいのか。最終的に自分が「人生に求めるものは何か」である。
キャリアは自分にとっての生きがい・働きがいにも通じるものであり、自分自身を支える「アイデンティティ」の核に位置する存在でもある。キャリアは必ずしも青年期に決定されるものではない。我々が生きている限りキャリアは生涯に渡って成長・発達し、豊かに変化するものであるといえる。
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【筆者略歴】
法政大学キャリアデザイン学部教授 宮城まり子氏
臨床心理士。専門は臨床心理学、キャリアカウンセリング、生涯発達心理学、産業心理学。日本産業カウンセリング学会常任理事、キャリアデザイン学会理事。著書・論文多数。
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