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今回からは、商売繁盛経営を体現している組織を取り上げ、商売繁盛経営を行うために必要なこと、また、そうした企業の経営に対する考え方や具体的な取り組みを見ていきたいと思います。今回は、「金属加工のなやみ*竭濶決します」のキャッチフレーズや「人ができないことをする」など岡野社長の発言でもおなじみの岡野工業です。同社は従業員6人、売上高6〜7億円程度の小さな会社ですが、経常利益は1〜3億円程度といいますから、単純に考えると1人1億円稼ぎ最大5千万円儲けている計算です。およそ5%程度とも言われる東証上場企業の平均売上高経常利益率を大幅に上回り、その生産性、収益性については非常に高いレベルにあります。
筆者は同社が今のようにマスメディアに取り上げられるようになる前から注目してきました。それは、その金属加工の技術もさることながら、経営に対する考え方に深く感じ入ったためです。現在同社は「痛くない注射針」がその代名詞ともなっているプレス加工でも有名です。特に「痛くない注射針」はその細さが蚊の針ほどしかなく、これまでの注射のように痛いと感じるのではなく、蚊に刺されたときのように、痒いぐらいにしか感じません。また、同社には、携帯電池やノートパソコンのリチウムイオン電池のバッテリーケースの製品化といった同社の名前を世間に知らしめた深絞りの技術もあります。さらに、社長自身が執筆した著書はすでに何冊も出ており、同社や社長がマスメディアに取り上げられる機会も数多くあります。そのため、日本を代表する町工場といった取り上げ方をされるため、どうしても金属加工の技術にばかり注目が集まります。
しかし、岡野社長は、例えば、リチウムイオン電池のバッテリーケースの加工に関して、「技術的にそんなに難しいことではない。むしろ、当社がある墨田区をはじめ近隣の町工場でもできたはず」と述べています。さらに、「他の町工場は大手の下請けをやり始めて、自分たちの技術を失っていった」とも語っています。
筆者はこれを聞いたときに、茨城県日立市で経営セミナーの講師を担当したときのことを思い出しました。日立市といえば、あの日立グループのまさに企業城下町といった様相であり、なんの変哲もない田舎道が朝夕には出勤退社で大渋滞する、まさに日立グループの工場や下請け、孫受けの工場で成り立っている地域です。その経営セミナーに参加したある企業の経営幹部に、「御社のお客さんやそこからの要求とはどういったものですか」と聞いたところ、「お客さん?要求?そんなことはどうでもよくて、図面が来るからそれに沿って仕事をするだけだ」との回答でした。
さて、この回答をどう思われますか。ここで筆者が感じた違和感がお分かりになりますか。つまり、経営幹部自ら経営的な視点ではなく、通常業務に目を向けて、しかも自ら下請けに徹してしまっていると感じました。
しかし、実はこうしたことはよく起こりがちで、経営幹部と呼ばれる人たちであっても経営のことを考えるよりも現場の社員が担当する仕事のほうを考えたりします。つまり人間は目の前にあること、馴染んでいることに目を奪われてしまうということです。
こうした状態に陥ると、目先の仕事を一生懸命やることに埋没してしまい、経営幹部として考えるべき、商売繁盛経営を実現することとは程遠くなります。では、なぜ同社は目先の仕事に埋没しないのか、筆者が同社の経営に対する考え方として感じたことを紹介しながら、その理由を考えていきます。
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【筆者略歴】
Performance Excellence Associates
(パフォーマンス エクセレンス アソシエイツ)
代表 坂本 崇氏
業績向上コンサルタント。
問題解決やコーチングのような思考とコミュニケーションの各種スキルを活用して、外資系大手コンサルティングファームから中小企業や行政組織まで、ビジネス能力の向上を経営力アップに無理なくつなげ組織の業績向上を実現している。
ホームページ http://www.e-management.jp/
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