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今回も前回に引き続き岡野工業の経営に焦点を当て、その具体的な考え方や取り組みをみていきます。同社の経営に対する考え方や取り組みの中に、商売繁盛経営を実現するための様々なヒントやポイントを見てとることができます。しかし、同社もこれまでの経営において必ずしも順風満帆だったとは言えません。岡野社長の著書の中でもそのことに触れています。例えば、開発に没頭するあまりある年には年収が3万5千円しかなかったといったこともありました。でも、岡野社長のすごいところは、そうしたうまくいかなかったことを必ず振り返り、「うまくいかなかった、なんでそうだったのか、これからどうすればいいのか」と考え続け、考えついたことを着実に実行していくことだと思います。こう言うと、「そんな当たり前のことは、誰でもやっている」と思われるかもしれません。しかし、本当に会社の取り組みやあり様を経営的な視点から振り返り、その後に活かしていると自信を持って言えるでしょうか。
そもそも、岡野社長が先代から経営を引き継ごうとしたのは、「儲からないビジネスモデルからの脱却」という動機からです。それまでは金型屋であった岡野社長の問題意識は、「金型屋はプレス屋の下請けで、最終メーカーからプレス屋が取ってきた仕事を回されるだけだ。そもそもの発注額やプレス屋の中間マージン、最終メーカーの要望等が分からないなど、不透明なことだらけで、金型屋はプレス屋のいいなりで自由がきかない」ということでした。しかも、こうしたプレス屋と金型屋の上下関係は業界では当たり前のことで、先代からも「この関係を崩すものではない」ときつく言われていたそうです。
しかし、こうした時期に超合金の金型の登場による環境の変化、つまりそれまでは磨耗により取替需要のあった金型が、今後、取替需要が期待できなくなることを危機感としてとらえ、いずれ金型屋は先細りしていくとの考えに至って、プレス屋でもできないようなことに取り組みはじめます。このようにして業界における構造的な問題や自社の位置づけ、また、今後起こるであろう環境の変化から、将来のありたい姿をイメージし、その実現に向けて取り組んでいったということです。
同社のホームページをみて、最初に目に付くのは、「金属加工のなやみ問題解決します」というキャッチです。また、岡野社長はことあるごとに「どこもできないと言われた仕事を持ってきて」、と言い続けています。つまり、「金属加工において、いまだどこもできないようなことを技術的に解決しましょう」という自分自身の言葉をホームページや書籍等の媒体を通じて発信し続けています。見方を変えれば、金属加工でどこもできないと断られてしまって困っているお客さんに、その問題をうちが解決しますよとアピールしているわけです。このように、うちがお客さんに提供することはこんなことですよと示せることは、商売繁盛経営にはとても大事なことです。なぜなら、お客さんに当社はこのように役に立ちますよとのメッセージを送ることで、具体的に提供する価値を分かってもらうことができるからです。何でもやりますは、何もできないということなのです。
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【筆者略歴】
Performance Excellence Associates
(パフォーマンス エクセレンス アソシエイツ)
代表 坂本 崇氏
業績向上コンサルタント。
問題解決やコーチングのような思考とコミュニケーションの各種スキルを活用して、外資系大手コンサルティングファームから中小企業や行政組織まで、ビジネス能力の向上を経営力アップに無理なくつなげ組織の業績向上を実現している。
ホームページ http://www.e-management.jp/
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