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千葉夷隅ゴルフクラブの事例(上)   2007年7月15日号

   今回から二回にわたって、商売繁盛経営を実践している会社、それもバブル崩壊とともに、その経営のずさんさや過当競争ぶり、また資本力を活かした外資系企業の進出に注目が集まっているゴルフ業界のなかで地方にあるゴルフ場を例にあげていきます。

   今回、取り上げるのは、千葉県の夷隅郡大多喜町にある千葉夷隅ゴルフクラブです。同ゴルフ場の場合、千葉県のゴルフ銀座ともいえる茂原エリアに位置しており、近隣で20をも超えるゴルフ場がひしめき合っています。そういった中で同ゴルフ場は、来場者数エリアトップを記録し、また、国内でも優れたサービスを提供する組織として、また、顧客視点の高い経営の取り組みが行われている組織として表彰を受けるなど、その実績は日本国内でも非常に高いものとして評価されています。

   筆者自身、同ゴルフ場では全くの初心者としてコースに出ましたが、フロントやキャディさんの対応のよさ、レストランの食事の美味しさ、こうしたものをゴルフ場全体として成り立たせている従業員の皆さんの決して出過ぎることのない気遣いのある対応や連携のよさに感心しました。ただ、筆者にはゴルフに対する造詣も力量もほとんどないため、残念ながらコースレイアウトのよさやグリーン管理のよさについては判断することができませんでしたが・・・。このあたりはご了承いただきたいと思います。

   同ゴルフ場は高額なプレーフィーやサービス料を取っているわけでもなく、ゴルフ業界に精通したスタッフを数多く抱えているわけでもありません。むしろ、普通の料金で、地元に住んでいる従業員が高いサービス提供を実現しているそんな組織です。

   では、なぜ、こうしたことができるのでしょうか。その仕掛け人は、加藤元総支配人でした。加藤氏が総支配人に就任されたときに、こんなことを考えられたそうです。そもそもお客様がゴルフ場を選ぶ理由として、「立地条件」「サービスの良さ」「納得できる料金」を挙げられる。でも、うちは立地が悪い。なぜなら、都心から車で1時間40分、電車と車を乗り継いだとしても同じぐらいの時間がかかる。となれば、「立地条件」は捨てて考えなければ勝ち目はない。それに、バブル経済崩壊という大きな社会情勢の変化でお客様は安さを重視しているが、単に安ければいいということではなく、クオリティーの高いサービスを期待している。だから、「サービスの良さ」を基本に、立地条件にサービスを加味した「納得できる料金」の提供ができるように改善、改革を進めていくようにしよう。

   サービスということを考えた場合、サービスは人的要素に依存するため、そのクオリティーにバラツキがあり、不良サービスやクレームの把握が困難であるとの特徴がある。また、サービスは、ある、ないといった客観的評価のできる「機能的サービス」と良い、悪いといった主観的評価に依存する「情緒的サービス」に大別できる。そうすると、「仕事をやらされている」などといった、やらされ感からではなく、「自分たちで仕事をリードしてやっていく」といった主体性を尊重したマインドの育成を柱にして、まずは全員が「機能的サービス」を提供できるよう徹底し、次に、お客様個々のご期待にお応えできる「情緒的サービス」を提供できるようにする。そして、さらに機能的・情緒的サービス内容の継続的改善、向上により、お客様のご期待を上回るサービスを提供することを目標にしよう。

   さて、こうして、サービスで勝つゴルフ場を目指していくこととなった同ゴルフ場、しかし、サービスで勝つと言っても、それはどのゴルフ場においても共通のことだし、一体どのように進めていけばそういったことができる組織になるのでしょうか。また、どんな取り組みを仕掛けていくのでしょうか。その具体的な内容を次回、見ていきます。


【筆者略歴】
Performance Excellence Associates
(パフォーマンス エクセレンス アソシエイツ)
代表 坂本 崇氏

業績向上コンサルタント。
問題解決やコーチングのような思考とコミュニケーションの各種スキルを活用して、外資系大手コンサルティングファームから中小企業や行政組織まで、ビジネス能力の向上を経営力アップに無理なくつなげ組織の業績向上を実現している。

ホームページ  http://www.e-management.jp/

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