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茶の湯道具 高桑の事例(下) 2007年9月5日号
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今回は、前回に引き続き、茶の湯道具高桑(以下高桑氏)の具体的な取り組みをみていきます。その前に高桑氏の会社の経営が順調であることを紹介しておきます。というのも、本連載では、良い経営ができているから商売繁盛するわけで、一時的な商売繁盛が良い経営とはいえないこと、また良い経営とは、売れ筋商品を追いかけることや値引きで一過性に顧客をつかむことではないと強調してきました。その実例として今回の高桑氏の取り組みを見ていただければと思います。
高桑氏とは3年前に出会ったのち、昨年2〜3月にも矢巾町商工会主催の「経営革新研修会」で再会しました。その場で、前回お話したように高桑氏は地元をはじめ全国にお客様を持っていましたが、その数はさらに増加し、財務的にも順調で、高桑氏自身がこうした経営の成果に満足していることを把握することができました。
では、高桑氏はなぜこうした経営を行うことができるのでしょうか。それは、高桑氏が「とにかく売ろう、儲けよう」ということよりも、「お茶を楽しみ、お茶の文化に触れ、心豊かな生活を送っていただきたい」との強い思いを持っているからです。だからといって、こうした崇高な思いを立てることや、ビジョン、経営理念を経営計画書に盛り込むことが重要と言っているのではありません。むしろ筆者が言いたいことは、ビジョンであれ、経営理念であれ、その中でお客様に届けたいモノやコト、つまりは提供する価値を明確にして、それを実現するために、何を、どのような方法で行うかが重要であるということです。
もちろん、高桑氏は、財務業績をないがしろにしているわけではありません。過去2回お会いしたときに感じましたが、高桑氏ほど売上、粗利、販管費、営業利益などの経営データを事細かに、しかも経年変化で把握されている方はいませんでした。また、顧客数や得意先の購買履歴などを詳細に把握していました。
高桑氏は、主に茶器の仕入れとその販売を行っていますが、それ以外にも「京都でお茶を楽しむツアー」や「若手茶器作家の養成」なども手がけています。その理由は、高桑氏が目指しているのは、「単に茶器を仕入れて販売する、それも顔の見えないお客様に」ということではなく、「茶器に触れ、お茶の歴史や伝統を知っていただきながら、お茶の文化や風土に触れ、お茶を楽しみ、心豊かに日々過ごしていただく」という思いがあるからです。
そのために実際にお茶に触れる体感ができる場所にお客様をご招待したりしています。さらには、若手茶器作家の育成や新しい感性を盛り込んだ茶器の創作にも取り組んでいます。
このように、たったひとりで、それも地方の小さな町で茶器を扱いながら、順調に顧客を増やし、財務的にも申し分なく、様々なことにもやりがいを持ちながら、チャレンジしています。
高桑氏は、規模が大きいわけでも、トレンドを追っているわけでも、ハイテクを駆使しているわけでもありませんが、こうした経営を目指すべきではないでしょうか。そのためには、顧客に届けたいモノやコト、つまりは提供する価値を明確にして、それを実現するために、何をどのようなやり方で行うのか、その適切さを大事にすべきだということです。
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【筆者略歴】
Performance Excellence Associates
(パフォーマンス エクセレンス アソシエイツ)
代表 坂本 崇氏
業績向上コンサルタント。
問題解決やコーチングのような思考とコミュニケーションの各種スキルを活用して、外資系大手コンサルティングファームから中小企業や行政組織まで、ビジネス能力の向上を経営力アップに無理なくつなげ組織の業績向上を実現している。
ホームページ http://www.e-management.jp/
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