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組織が目指す姿を考える   2007年12月5日号

   今回は、「組織が目指す姿」を考えていくための進め方を解説していきたいと思います。組織も人と同じで、外見は同じように見えてもその生き方は様々です。ただ、人も組織も同様ですが、自分らしく生きているつもりでも、人と同じようなことをして、つまり、人を真似て生きていることも往々にしてあります。もちろん、学ぶべきところには他者に学び、自分の視野を広げたり、考えに深みを持たせたりすることは必要です。しかし、自分とは生まれも育った環境も違う他人を模倣して、本当にその人はハッピーであると言えるでしょうか。たしかに、主体性のない人であればあるほど、人の真似をして、流行に遅れないように生きることで満足感を覚えたりもしますし、人も組織も変わることができるので、そういった価値観自体を否定することはできません。しかし、いつまで経っても「世間並み、人並みにやっていればいい」という考え方はいかがなものでしょうか。

   そもそも、経営をはじめたからには、何かしらの意図があったはずです。それは、「先代が商売をはじめて、そのままやっている」といったことかもしれませんが、自分たちの組織でかたくなに守り続けているものもあれば、時代に応じて変化させているものもあるはずです。

   例えば、以下のような経営幹部の方がいらっしゃいました。その会社は北関東の地方都市にあり地元で運送業を営んでいるのですが、「組織の目指す姿」を明らかにすることを考えていただきました。すると、最初は、「まごころ込めた運送」、「納期(到着時間)遵守」など、運送業であれば、当然と思えるものばかりが出てきました。

   しかし、「そもそもどういった経緯で会社が始まったのか」、「お客さんに期待されていることはどんなことか」、また「お客さんの問題解決をしているのはどういったことか」などの問いかけを考えていただきました。すると最終的に「液体危険物のような運びにくいものを周囲に迷惑をかけることなく安全に、かつ劣化させることなく、品質を落とさず運ぶ」といったものに落ち着きました。

   そうすると、「今、受けている受注には、他の運送会社でもできるものがあり、必ずしも自分の会社らしさが発揮できているわけではない。しかも、大手と比較すると、コスト競争力では太刀打ちできないし、社員も自分たちの会社らしさが分からなくなってきている」といった大事にするべきことと現状のギャップを持つに至りました。

   このように、「組織が目指す姿」を考えるために、過去の経営の経緯や歴史的なものを今一度振り返ることも大切です。

   また、これまでの経営を活かしながら、今の時代に即応するように、「組織が目指す姿」に環境の変化を取り入れていく、そんなやり方もあります。これは、東京で倉庫業を営む会社のケースですが、そもそもその会社は、貸し倉庫として商売をしていました。ところが、昨今の物流の効率化や在庫の軽減化などにより受注は減る一方、業績もジリ貧となっていきました。そこで、改めて「倉庫屋」とは何か、「自分たちが倉庫屋として大事にしていくことは何か」ということを考えはじめました。

   そもそも倉庫の会社のため、モノを預かるわけですが、短期で預かるものもあれば長期で預かるものもある、完成した製品もあれば完成品に組み込まれる部品や製品の原材料もある。それゆえ、いろいろあって難しいと諦めていたら、おそらく今の会社はなかったでしょう。

   しかし、この会社は、こうしたことに陥らず、新たな考え方を見出し、見事、再スタートを切ることに成功しました。それは、これまで営んできた倉庫業というモノを預かるノウハウを活かしながら、今の時代に即応したモノを預かる価値を提供しようということが起点になりました。倉庫業として、どんなものでも預かるのではなく、「明確に保管する必要のあるモノ、つまり、保管しなければならいモノを預かるようにしよう」ということで、目をつけたのが法的に保管義務のある病院で使うカルテや企業の会計帳簿でした。しかも、カルテや帳簿を単に預かるだけではなく、預かったカルテや帳簿を電子データにして保管する。つまり、カルテや帳簿を紙の状態で預かり、預かっている間に電子データにしてお客様に提供しそれも保管しておくというものでした。

   このように、「組織が目指す姿」を考えるために、これまで営んできたことを活かしながら環境の変化に即応していく。こんなふうに考えることも大切です。

【筆者略歴】
Performance Excellence Associates
(パフォーマンス エクセレンス アソシエイツ)
代表 坂本 崇氏

業績向上コンサルタント。
問題解決やコーチングのような思考とコミュニケーションの各種スキルを活用して、外資系大手コンサルティングファームから中小企業や行政組織まで、ビジネス能力の向上を経営力アップに無理なくつなげ組織の業績向上を実現している。

ホームページ  http://www.e-management.jp/

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