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「競争状況を知ること」について考える   2008年2月5日号

   今回は、「競争状況を知ること」について考えていきます。「あなたの会社の競合とはどこでしょうか」。そもそも、これまでにこういったことを考えたことがあったでしょうか。例えば、小売業を営んでいて、「同じ街に大きなディスカウントスーパーが誕生してから、さっぱり売れなくなった」など、自分の商売に影響が及んでからようやく思いつくようになったかもしれません。しかも、「大手は品揃えが豊富で、しかも安く、うちなんかではとうてい太刀打ちできない」と、言い訳めいた逃げ口上が聞こえてきたりもします。

   こうした見方や考え方であれば、それは非常に表面的に競合を捉えているにすぎず、対策の打ちようもありません。

   もしかするとすでに競合している、また、これから競合関係になっていくであろう、一見競合とは思えないような相手が潜んでいるかもしれません。なぜなら、最近では同じ業界ではなく全くの異業種の会社が真の競合であったりするからです。

   例えば、郊外に自前で店を構えている本屋の競合とはどこでしょうか。大手の本屋でしょうか。一見そう思えるかもしれませんが、果たして、それだけでしょうか。筆者自身、東京の郊外に住んでおり、近所に個人で店を構えているそれなりに大きな書店があります、しかし、その本屋で本を買うことはほとんどなくなりました。なぜなら、筆者は、単に本が買えるということではなく、筆者が欲しい本を薦めてくれたり、本の内容を簡単に説明してほしいということを本屋に期待しているからです。残念ながら近所の本屋ではそうしたサービスはありません。本屋は徒歩2分ほどのところにあり、よく新刊の本を見に行ったり、様々なジャンルの本を買っていたのですが、その本屋はおそらく筆者の顔すら認識していないでしょう。

   今や筆者が本を購入するのは、アマゾンに頼りきっています。その理由は、本の推薦や、本の内容の簡単な説明というサービスがあるからです。ちなみに一度チェックした本であってもそれに関連すると思われる本を紹介してくれるなど、使い勝手はとてもいいのです。

   つまり、筆者の近所の本屋における顧客への提供価値は「様々な本が買えること」である一方、アマゾンは「顧客の求める本の紹介や本の内容説明」となります。

   このことを企業規模やシステム化のせいにしてしまうのは早計です。なぜなら、やはり筆者の自宅近くには個人商店の酒屋ながら、大手流通酒販の台頭にも負けず顧客の支持を得て好調にビジネスを展開しているお店があるからです。そのお店はちょうどコンビニほどの面積しかありませんが、地下はワインセラーとなっており、見たこともない銘柄のワインが陳列されています。一階には珍しい日本酒や焼酎でいっぱいです。この酒屋は、安売りをするわけでも、高価なものだけを扱うわけでもなく、顧客の好みや食事との相性、また、お酒を飲むシチュエーションを聞いていろいろなお酒を薦めてくれます。場合によっては試飲もできます。

   お分かりでしょうか、この店は「酒に関する目利きのよさ」や「顧客の好みに合う酒を薦めること」を顧客への提供価値としているのです。ちなみに、その店の近くに古くからあった個人酒店はなくなってしまい、やはり近所にあった大手流通酒販店もいつの間にか、撤退していました。

   このように、「競争状況を知ること」を考えていくと、単に同じ業界同じ商売をしているからということではなく、まず、顧客への提供価値は何かを明らかにし、それをもとに競合と思われる企業と比較してみる、こんなふうに考えることが大切です。


【筆者略歴】
Performance Excellence Associates
(パフォーマンス エクセレンス アソシエイツ)
代表 坂本 崇氏

業績向上コンサルタント。
問題解決やコーチングのような思考とコミュニケーションの各種スキルを活用して、外資系大手コンサルティングファームから中小企業や行政組織まで、ビジネス能力の向上を経営力アップに無理なくつなげ組織の業績向上を実現している。

ホームページ  http://www.e-management.jp/

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