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「経営資源を知ること」について考える   2008年3月5日号

   今回は、「経営資源を知ること」について考えていきます。経営資源といえば、ヒト、モノ、カネがすぐに思いつくでしょう。よく大企業には優秀なヒトがいて、最新の機械や装置(モノ)があって、カネも潤沢で、所詮、中小零細企業にはろくな資源がないといった、ないないづくし的な発想になってしまうこともあります。

   しかし、正しく経営資源を考えることができていればこうした発言にはならないはずです。まず、「経営資源=結局はヒト」の考えに関しては、あまりに漠然としており、どの会社にもあてはまるので、自社の経営資源を考える上で、適切とはいえません。そうではなく、例えば、ルートセールスで提案型営業の販売会社であれば、顧客の真意や目に見えていない課題に踏み込んでいくコミュニケーション能力を持った、人当たりのいい人物が、自社の経営資源である、と考えることが大切です。

   また、モノに関しては、最新の機械や設備か否かという以前に、モノが自社の顧客にどういった価値を提供する上で不可欠なものであるのかを考えることが大切です。そうでなければ、「ランニングコストが低い」、「時間あたり生産数量が多い」、「不具合が少ない」などの考え方に終始してしまいます。例えば、売れゆきに柔軟に対応するため、一つのラインで簡単に仕様変更ができ、何種類もの製品の製造が可能な生産設備が自社の経営資源である、と認識することもできます。

   最後に、カネに関しては、多くあるに越したことはありませんが、むしろ、どう調達してどう使うか、要は使い方が重要です。例えば、モノ作りを行う会社であれば、生産設備などの投資がどのくらい発生し、減価償却も含め、どの程度の期間で回収が見込めるのか、また、ランニングコストはいくらかかるのか、こうしたことは最低限必要でしょう。

   しかし、最近ではメーカーでありながら生産は外部に任せて、自分たちは顧客の要望に合う提案型営業を行ったり、メンテナンスやアフターサービスで顧客に貢献するといった会社も存在しています。そのため、必ずしも、生産設備への投資やランニングコストばかりを考える必要はありません。むしろ、考えるべきは、顧客価値を向上させるため、どの分野を優先して投資をしているか、ということです。

   また、自社の経営資源の一部となり、顧客に価値を届けるビジネスパートナーに関しても考えるべきです。「だれと一緒になってビジネスを行うか」、これは非常に重要な問題です。顧客への価値提供を最大限発揮するために、自社が行うべきことはなにか、自社でやらなくてもいいことは何か、こうしたことを明らかにし、むしろ、どのビジネスパートナーに頼めば自社が顧客に提供できる価値が最大になるのか、を常に考えるべきです。

   最後にこうした経営資源をより活用してするために、経営の視点で自社を見ていくことの大切さを付け加えておきます。「モノづくり=日本」とよく言われますが、その一方で、「技術で勝って、経営で負ける」といったことも同時に言われています。これは、技術はあるのに経営力がない、または経営力が乏しいということを指しています。

   筆者自身、様々な会社に経営支援を行う際、「経営、そんな難しいことは分からない」とか、「目の前にあることで手一杯」などと言われたこともあります。これは「商売=日々の仕事」、「経営=なにか特別で難しいこと」と分けて考えているように思われます。そうではなく、価値を生み出していると思う自社らしい仕事の仕方や会社運営の取り組み、また、それらのベースにある考え方こそが大切なのです。


【筆者略歴】
Performance Excellence Associates
(パフォーマンス エクセレンス アソシエイツ)
代表 坂本 崇氏

業績向上コンサルタント。
問題解決やコーチングのような思考とコミュニケーションの各種スキルを活用して、外資系大手コンサルティングファームから中小企業や行政組織まで、ビジネス能力の向上を経営力アップに無理なくつなげ組織の業績向上を実現している。

ホームページ  http://www.e-management.jp/

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