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メンタル不調の特徴と職場での対応 2008年3月15日号
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現在、日本の多くの職場でストレスフルな状況が続いています。メンタルヘルス不調は、どの職場でも起こりうる問題です。この連載では職場のメンタルヘルス不調への対応について、現場担当者のヒントになる内容を提供していきます。
メンタルヘルス不調の特徴は、回復までの期間が長いことです。このことが現場での対応をとても難しくしています。「うつ病はこころの風邪」というフレーズがありますが、実際に風邪をひいて熱を出しても、会社を1日休む程度で、数日もあれば完治します。ところがうつ病の場合は、会社を休む期間が3カ月ほどかかります。職場復帰後も業務パフォーマンスが回復するまで、6カ月から1年以上もかかるのです。
うつ病とは「電池が切れた状態」になることです。「生きるためのエネルギーが低下(枯渇)した状態」とも言われ、意欲や活力の低下、食欲不振、不眠、頭痛、めまい、胃痛などの症状を伴います。職場では「集中力や判断力が低下し、仕事が手につかなくなる」という症状が見られます。
うつ病は早期に発見して適切に対応すれば必ず回復する病気です。治療の基本は休息と内服薬ですが、空の電池を充電するには長い時間がかかります。回復を急ぎすぎると、すぐに電池が切れて症状がぶり返すので注意が必要です。
職場での対応について、営業部門に勤めるAさんのケースを見てみましょう。
Aさんが初めて産業医面談に訪れたのは、ある年の6月のことでした。かなり疲れている様子で、表情もぱっとしません。
「3月頃から、すごく疲れるようになって、少し休めば良くなると思っていたんですが、
5月頃からひどくなって…」
「身体がだるく頭痛も続いたのですが、病院では特に異常はないと言われて…」
「夜もなかなか寝られず、寝不足のせいか、集中力が続かなくて…」
「上司に『大丈夫か』と聞かれたので、体調のことを話したら、産業医面談を受けるように言われて…」
「最近は仕事がほとんど手に付かない状態です。本当に自分が情けなくて、会社に申し訳なくて…」
絞り出すような声で話していたAさんは、そこで黙り込み、ポロポロと涙をこぼしはじめました。
話を聴いた後、上司にも同席してもらい「病院で治療を受け、しばらく休む必要がある」と話し、今後の対応について相談しました。
Aさんは病院を受診し、間もなく休むことになりました。その後も毎月面談を行い、体調や自宅での過ごし方を確認し、回復に向けてのアドバイスを行いました。奥様と一緒に面談することもありました。
3カ月後、Aさんはかなり元気を取り戻したので、上司や人事と職場復帰のプランを作成しました。当面は負荷を調整しやすい業務についてもらい、半日勤務からスタートして、徐々に時間を延長しながら約1カ月でフルタイム勤務に戻ることになりました。
Aさんは10月から出社を開始しました。その後も産業医面談を継続して行い、体調や状況の確認、病気に関連したストレス要因の振り返りなどを続けました。
翌年4月、Aさんは以前と同じ営業職に復帰しました。体調が安定してきたため、産業医面談も9月で終了しました。今後は主治医の指示のもと、薬を少しずつ減らしていくそうです。
Aさんの場合、回復までに1年近くかかりましたが、うつ病のサインに上司が早めに気づき産業医につなげたこと、段階的な職場復帰を行ったこと、専門スタッフによるフォローを続けたことによって、スムーズに職場復帰ができました(次回は、メンタルヘルス不調の早期発見、早期対応のコツをご紹介します)。
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【筆者略歴】
中外製薬 統括産業医 難波克行氏
99年岡山大医卒。内科医を経て産業医資格を取得し、05年岡山大学大学院博士課程修了。精密機器メーカー産業医を経て、08年から現職。 ブログ「ELECTRIC DOC.」 http://e-doc.no-ip.com/
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