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職場のメンタルヘルス不調は、(1)勤怠状況の変化、(2)業務パフォーマンスの変化、(3)行動や様子の変化など、「いつもと違う変化」を招きます。早期発見、早期対応を適切に行うには管理監督者の働きが重要です。管理監督者は「部下のいつもと違う変化に気づいて」、「声をかけて話を聴き」、「健康管理スタッフにつなぎ」ます。
勤怠状況はメンタルヘルス不調の影響によって敏感に変化します。遅刻や欠勤、早退など、最初は月に数回でも、週単位、月単位で見ると徐々に異常が出てきます。残業や休日出勤が不釣り合いに増えることもあります。急な休みや、昼過ぎまで連絡の無い休みが増えたときには要注意です。
メンタルヘルス疾患の多くでは集中力や判断力が低下します。そのため、仕事の能率が悪くなる、ミスが増える、仕事の結果がなかなか出てこなくなる、上司への報告や相談が遅れるなど、業務パフォーマンスの低下がみられます。
業務パフォーマンスの低下は、そのことが新たなストレスとなって本人を苦しめます。会社に申し訳ない、自分が情けない、自信が無くなったと悩み、突然退職を申し出るケースもあります。
職場での行動や様子では、業務中にぼんやりしたり、表情や行動に元気がなくなったりという変化が見られます。感情の起伏が激しくなって、ふだんでは考えられないような暴言を吐いたり、同僚や顧客とトラブルを起こしたりすることもあります。機械の取り扱いを誤って事故を起こすことや、服装や髪型などが乱れて不潔になることもあります。
このような「いつもと違う」変化に気づいたら、まずはそのことを指摘し、部下の話を聴きます。
「最近遅刻が多いようだけど、どうしたの?夜はちゃんと眠れてるの?」、「最近は残業が多いけど、どうしたの?疲れはとれてる?」、「仕事の報告が遅れ気味だけど、何かあったの?」と、具体的に声をかけるとよいでしょう。
「いえ、大丈夫です。何でもありません」と部下が話をしてくれない場合は、もう1、2週間様子をみます。その後も「いつもと違う変化」が続いているのであれば、「先日話をした件だけれど、今も続いているね。どうしたの?」と、再び声をかけます。
部下の話を聴くときには、一方的に批判したり決めつけたりするのではなく、「共感的な態度」を持つように心がけてください。共感的な態度とは、相手の言っていることに完全に納得できなくても、「なるほど、相手はそう考えているのだな」と相手の立場に立って受け止めることです。
こうした話の聴き方は「積極的傾聴」と言われ、管理職に求められる重要な技能のひとつです。
「いつもと違う様子の変化」の背景には、メンタルヘルス不調が隠れていることがあります。話を聴いて、背景に病気がありそうだと感じた場合、あるいは、病気かどうか自分には判断できないと感じた場合には、速やかに健康管理スタッフに相談して、治療の必要性や職場での対応についてアドバイスを求めてください。
ただし、すべてのケースの原因がメンタルヘルス不調にあるとは限りません。夜ふかしが遅刻の原因かもしれないし、仕事で難しい問題にぶつかっているのかもしれないし、家庭の事情があるのかもしれません。産業医面談の結果「病気ではない」という意見が返ってくることもあります。その場合には、上司として通常のルール通りに対応します。
職場のメンタルヘルス不調を早期に発見するには、管理監督者が「いつもと違う」部下の様子の変化を敏感に察知し、適切に対応することが重要です。いつもと違う変化に気づくためには、「いつもの様子」をしっかり把握しておくことが求められます。
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【筆者略歴】
中外製薬 統括産業医 難波克行氏
99年岡山大医卒。内科医を経て産業医資格を取得し、05年岡山大学大学院博士課程修了。精密機器メーカー産業医を経て、08年から現職。 ブログ「ELECTRIC DOC.」 http://e-doc.no-ip.com/
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