第4回:人間関係重視の企業風土~オフィスラボ(2025年12月5日号)

2010年設立のオフィス・ラボ(本社=東京・中央区日本橋本町)は、働く環境づくりのノウハウからデザイン性、コストバランスまで考え、企業によって様々な「オフィスの在り方」を提案する。オフィス・店舗移転からレイアウト変更に伴う内装工事・施工監理や移転後の運用、アフターフォローまで、トータルでオフィス移転のプロデュースを行っている。
経営視点を持った5年後10年後を見越した最適なデザイン提案や、業界経験豊富な確かな工事力などで得られた強固な信頼関係は圧倒的なリピート率の高さ(80%以上)につながっている。
また、企画設計・デザイン業務まで実務経験豊富なデザイナーが多数在籍しており、個別で案件を担当するためスピーディーかつ正確な提案が可能となっている。

設立15周年記念パーティーの模様

日本生産性本部では、粟井一矩・同本部主任経営コンサルタントが、今年4月から8月にかけて、同社のミッション、ビジョン、バリューの策定を支援するために、「MVV策定プロジェクトチーム」(社員7人が参加)のファシリテートとマネジメントを行った。
策定支援では、プロジェクトメンバーに対して、優れたミッションの条件や他社事例の紹介などを行い、社内アンケート調査の分析、社長や部長の意見の集約なども行った。社内アンケート調査やヒアリングを行った結果からは、「お客様」「価値」「提案」「空間」などの語から「オフィスを通じて価値を届ける」という意識が読み取れることや、「信頼」「関係」「上司」など、人間関係を重視する風土が高いこと、「成長」「スキル」「挑戦」など、前向きな変化への意欲が表れていることなどがうかがえた。 
最終的には、ミッション(使命、存在意義)は「人を想い、『はたらく場』に真価と笑顔を」、ビジョン(目指す姿)は「『また一緒に仕事がしたい』と言われるベストパートナーになる」、バリュー(行動の軸・価値観)は「感謝から始めよう」「思いやりを形にしよう」「期待を超えよう」「変化を愉しみ、前へ進もう」「共に成長しよう」と定められた。

「笑顔あふれる場所であるべき」~
渡邉晃一郎・オフィス・ラボ代表取締役社長の話

渡邉晃一郎・オフィス・ラボ代表取締役社長

「お客様に常に寄り添い、支え続ける最良のパートナーでありたい。お客様のために、真摯に働く社員を幸せにしたい」という想いで、私は2010年に弊社を創業した。
企業の成長、変革、成熟、すべての局面においてお客様に常に寄り添い、支え続ける最良のパートナーでありたいと、独立系企業を貫き、「オフィス専門のコンサルタント」としてお客様の目線でよりよいオフィスづくりを心がけてきた。おかげさまで創業以来、毎年増収増益を重ねている。
これまでは、私についてきてくれたメンバーが中心となって私の想いを理解してくれていたので、会社のミッション、ビジョンといったものを改めて策定する必要性はなかった。だが、創業から15年が過ぎ、これからの事業拡大や社員の増加を考えると、会社の共通言語を明文化していく必要があると思い、次世代を見据えてMVVを策定することにした。
オフィスは、働く現代人にとって1日の大半を過ごす場所であり、生産効率や利益に直結する「経営装置」そのものだ。情報発信や新しいものを生み出す「場」である。製造業で言えば工場、付加価値を生み出す場だ。そのためには、オフィスは経営者のビジョンが明確に発信され、社員一人一人が能力を最大限に発揮でき、いきいきとした笑顔あふれる場所であるべきだと考えている。
常に新しいオフィスの在り方をイメージし、いかなる経営課題にも真摯に向き合い、求められる以上の価値を提供する。私たちが目指すのは、お客様に、社会に、真に貢献し続ける企業である。
今後は現在30億円程度の売上を100億円にしていきたい。オフィス移転、オフィスリニューアルに加えて、移転に伴うネットワーク構築の領域や、オフィスで必要なものをお届けする領域、オフィス自体を構築する領域、ビル本体のリニューアルの領域など、まだまだやれる領域はたくさんある。そのために、社員に資格取得を奨励し、1級施工管理技士などの有資格者を増やしていきたい。

浸透している創業マインド~
粟井一矩・日本生産性本部主任経営コンサルタントの話

プロジェクトチームのファシリテートとマネジメントにおいては、7人のメンバーと一人一人対話することを重視した。各自の想いや本音を聴くために、プロジェクトの後に、全員と個別の1on1ミーティングを行った。
最初に訪問したときに皆さんの笑顔や温かい歓迎の姿勢が印象的だった。社長は日頃、「『ありがとう』で結ばれる企業を目指す」と言っているが、それが非常に浸透している。数名いる創業メンバーが15年経った今も幹部として活躍されており、創業のマインドや創業から大事にしてきたことが社員全体に浸透する助けとなっている。
会社全体が人を大切にしていて、社員もまじめな人が多い。取引先も大切にしており、これらが好業績の要因の1つではないかと思っている。今後も、顧客、メーカー、デザイン会社、施工会社といったいろんな人をつなげていくことで、「当社にしか提供し得ない価値」を追求してほしい。
私は、優れたミッションの条件は5つあると思っている。第1に外向きである(顧客視点)こと。「われわれの顧客は誰か。顧客にとっての価値は何か」を起点にし、「シェアナンバーワンを取る」といった内向きの目標ではなく、顧客に何を提供するかを示すこと。顧客に価値を提供できないと会社は存続できない。
第2にシンプルで明確であること。誰にでも伝わる、簡潔で記憶しやすい表現であること。複雑なスローガンや抽象的な言葉ではなく、行動につながる言葉であること。優れた会社はやるべきことが明確で実行力が高いが、うまくいっていない会社は計画や施策はたくさんあるが実行に移されない。シンプルにやるべきことを実行していくことが経営の唯一解だと思っている。
第3に実行可能であること。理想論ではなく、実際の行動や意思決定に指針を与えるもの。組織のすべての活動が、このミッションと結びつくように設計されていること。
第4に長期的視点で不変であること。時代が変わっても組織の核として残り続けるものであること。
第5に鼓舞する力があること。社員が「自分たちの仕事は意味がある」と感じられるような情熱と誇りを持てる言葉であること。例えば「経常利益を上げ続ける」という言葉には鼓舞する力はない。


◇ 記事の問い合わせは日本生産性本部コンサルティング部、電話03(3511)4060まで。
◇ 過去の連載も掲載している、生産性向上のヒントが見つかる情報サイト「生産性navi」もご覧ください。(おわり)

コンサルタント紹介

主任経営コンサルタント

粟井 一矩

慶應義塾大学商学部を卒業後、株式会社キーエンスに入社。9年間のコンサルティングセールスおよびチームマネジメント経験を経て、本社の販売促進部門でグローバルの営業企画とマーケティングに2年間従事したのち、欧州の現地法人に事業責任者として7年間駐在。駐在期間中は事業責任者として、営業・マーケティングの戦略立案と実行、技術部門の立ち上げ、人材採用・人事評価および制度設計などに従事。日本生産性本部経営コンサルタント養成講座を修了。本部経営コンサルタントとして、企業の診断指導、人材育成の任にあたる。

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