第7回 経営コンサルタントを突き動かすもの

■経営コンサルタントを突き動かすもの

1996年に外資系の監査法人から日本生産性本部の経営コンサルタント養成講座を経て経営コンサルタントになって26年が経過した。この間に企業のコンサルティングに対する抵抗感はずいぶんと薄れてきたように感じるが、日本生産性本部が経営コンサルティングを行っているということは意外と知られていない。

それもそのはずで、日本生産性本部は専属経営コンサルタントが47人の中規模ファームだ。私が転職してきた頃も大体40人前後だったので、入れ替わりはあるが、ほとんど増えていない。他のコンサルティングファームがどんどん大きくなっているのに、なぜ、日本生産性本部は経営コンサルタントを増やしてこなかったのか?それは、自分たちが事業規模を大きくするのではなく日本の企業の生産性向上のために活躍する経営コンサルタントを養成する、という使命を持っているからだ、と理解している。

本連載の初回でコンサルティング部の前田貴規部長が述べている通り、1958年に「中小企業コンサルタント指導者養成講座」(現経営コンサルタント養成講座)を開設し、65年間にわたって約7000人もの経営コンサルタントを養成してきたのだ。また、国家資格である中小企業診断士養成も2007年度から行っており、昨年度の29期生までで800人近くの人が資格を取得している。

productivity 3Principle.jpg350万社もある日本の中小企業の生産性向上を自分たちだけではできるはずもないので、一緒に活動してくれる仲間を増やそうとしているのだ。ちなみに、専属経営コンサルタントが日本生産性本部と結ぶ契約書の中で「日本生産性本部経営コンサルタント倫理規定」の遵守が求められている。一般企業でいうところの「行動規範」で顧客の守秘義務の保持や依頼者の長期、持続的利益を優先的に考えて行動することなどが記載されているのだが、一番初めに書かれているのは「生産性運動の三原則に基づき、生産性向上の推進につとめなければならない」ということだ。つまり①雇用の維持拡大②労使の協力と協議③成果の公正な分配だ。だから私は26年間、生産性運動の三原則を常に意識して経営コンサルティングを実施してきた。

また、日本生産性本部の専属経営コンサルタントは全員経営コンサルタント養成講座や中小企業診断士コースを卒業する。

そして、生産性運動の三原則は最初の講義で必ず学ぶので日本生産性本部の経営コンサルタントの共通の想いとして脈々と引き継がれている。47人の専属経営コンサルタントは先輩、後輩ではあるが、上司・部下ではないため上下関係はなく、お互いに独立している。それぞれ職歴や専門分野も異なり、個性的な経営コンサルタントが多いが、根本の想いではつながっている。

たとえ一緒に仕事をしたことがない人でも、私は同僚の経営コンサルタントを全員尊敬している。経営コンサルタントは毎日毎日何かしらのアウトプットをしなければならないため、みなクライアントのために必死に頑張って自分自身を成長させている。決して逃げないし、どんなときも前向きだ。何かわからないことを一つ聞くと十返ってくる。

偶然入った日本生産性本部というコンサルティングファームだが、職員もそれぞれが置かれた立場で、生産性運動の三原則を念頭に熱い想いを持っている。日本生産性本部の職員の一人ひとりの支えがあって初めて私は自分のコンサルティングに思う存分専念することができており、本当に心から感謝をしている。

コンサルタント紹介

主席経営コンサルタント

加藤 篤士道

早稲田大学商学部卒業後、監査法人にて勤務
日本生産性本部経営コンサルタント養成講座を修了、本部経営コンサルタントとして、企業の診断指導、人材育成の任にあたる。
(1967年生)

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