第12回 「自走状態」構築への支援

私の経営コンサルティング・アプローチは「人的パフォーマンス強化による組織力向上」である。これには「思考プロセスの移転」と「組織・従業員への定着」というアプローチをとっている。 

例えばこれまで「製造現場における原因究明手法の定着による歩留まり向上」、「部下育成システムによる管理職の部下育成の定着」、「戦略思考の活用による経営課題立案と提言」などのプロジェクトに携わってきた。いずれも、「原因究明スキル」・「効果的な部下育成方法」・「戦略的思考」といった「思考プロセス」をクライアントに「移転」し、それが定常的に実践されるよう「定着」させるものであった。このような「思考プロセスの移転」と「組織・従業員への定着」というアプローチによって組織力強化の支援を行ってきた。

■基本思想

「組織力強化支援」の根底に流れる思想は、クライアントのメンバーや職場を「健全かつ効果的に、自力で組織力向上に取り組み続けられるような状態にすること」である。経営コンサルタントがいなくとも、組織特有の使命を果たし続けられるように、自分たちで考え、取り組んでいくようにしたいのである。

■3つのアプローチ

この基本思想をベースに、経営コンサルティングの実践においては、①プロセス伝授、②定着、③ラスティング・バリュー、の3つのアプローチが要となっている。

1つ目の「プロセス伝授」とは、「思考プロセス」をクライアントに移転することである。前提として、クライアントが、自身の業務内容(コンテンツ)の専門家であることを尊重する。しかしながら、コンテンツのみに長けていても必ずしも良い成果につながるとは限らないのである。なぜなら、良い成果につながるような行為・行動は、「専門的なコンテンツ」が「良き思考プロセス」と融合した時に初めて発揮されるものだからである。よって経営コンサルタントとしては、その現場に役立つ「思考プロセス」をクライアントに伝授し、クライアント自らがそれらを確実に実務に適用する(すなわち「業務のコンテンツ」と融合する)ようにしていくのである。


2つ目の「定着」とは、新たに獲得した思考プロセスが、実務で常に正しく行為・行動として発現する状態を指す。この「定着」があって、初めて望ましい組織の成果へとつながるのである。このような「定着」は、「意識」や「モチベーション」といった精神論頼みにすると失敗する。「定着」には、行動科学的な原理を持つ「仕組み」が必要であり、いかにこれらを適切に設計し、望ましい行動の発現と定着につなげるかに掛かっている。

そして3つ目のポイント、「ラスティング・バリュー」とは、経営コンサルタント不在でもクライアント自らによる価値創出が続くようにすることである。一時的なコンサルティング介入であっても、「思考プロセス」が「定着」さえすれば、クライアント自身が価値を生み出しつづけるようにすることが可能である。決して依存させる経営コンサルタントであってはならないと考え、私の支援のほとんどは、期限を定めた有期のプロジェクト型である。


以上、私の経営コンサルティング・アプローチの3つのポイントについて述べたが、とどのつまり、私の経営コンサルティングは「自走状態」を構築するための支援なのである。冒頭で述べた「健全かつ効果的に自力で組織力向上に取り組み続けられる」という「自走状態」を実現することに、今後とも注力していきたい。


コンサルタント紹介

主任経営コンサルタント

筒井 健太

・総合電機メーカーにて部門横断プロジェクトのチーム・マネジメントに14年間従事、管理職まで経験。
・その後、外資系コンサルティング会社にて、パフォーマンス向上のコンサルティングと人材育成支援を行なう。
・日本生産性本部「経営コンサルタント養成講座」を修了後、本部経営コンサルタントとしてパフォーマンス・コンサルティングを中心に活動中。
・国際基督教大学教養学部卒業、ニューヨーク州立大学バッファロー校経営学修士課程修了。
(1970年生)

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