2020年 年頭会見

年頭所感

日本生産性本部は2020年1月8日(水)、ホテルニューオータニにて、2020年正副会長年頭会見を開催し、年頭所感を発表しました。 茂木友三郎 日本生産性本部会長は生産性運動65周年を迎えるにあたって、持続可能な経済社会の実現にむけ、運動を推進する決意を語りました。

会見に出席した佐々木毅副会長(元東京大学総長)、神津里季生副会長(連合会長)、大田弘子副会長(政策研究大学院大学特別教授)、 遠山敦子副会長(トヨタ財団顧問)、有富慶二副会長(ヤマトホールディングス元代表取締役社長)、野中孝泰副会長(全労生議長)は、 それぞれ2020年の重要課題について問題意識を述べました。

会見の動画をご覧になれます

「生産性運動六十五周年を迎えるにあたって」

令和の時代の幕が開けた。

本年は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される。われわれは、新しい時代にふさわしい、世界に開かれた、信頼と活力ある社会を実現し、次の世代に引き渡していかなければならない。

世界に目を向ければ、地球温暖化等の深刻化する環境問題の解決やデジタル技術の進展に伴う経済社会の急速な変化への対応は、世界共通の課題となっている。また、自国第一主義的な空気が強まり、これまで築いてきた国際秩序や枠組みが機能不全に陥るリスクが一層高まっている。グローバリズム、市場経済、民主主義という共通の価値観に綻びが生じている。こうした動きが国際社会にどのような影響を及ぼすか、本年はいままで以上に注視する必要がある。わが国は責任ある発信をすべき時期にきている。

翻って日本では、世界でいち早く高齢化を伴う人口減少社会に突入した。膨大な財政赤字や持続可能性が憂慮される社会保障制度など、平成の時代に積み残された、多くの課題に直面している。桂太郎内閣を超え、憲政史上最長となった現政権は、改めて、目指すべき国の将来像と、任期中に実現を目指す課題と政策の優先順位を明確にし、国民に丁寧に説明する責任がある。

また、平成時代に先送りをしてきた諸課題に取り組むためには、与野党を超えた、改革を進めるための超党派の基盤を再構築すべき時期に来ている。民主主義が適切に機能するためには、政権交代可能な責任野党の存在も不可欠である。政党改革のみならず、国会改革や行政改革など、統治構造のさらなる改革も、もはや喫緊の課題である。

(生産性運動六十五周年の取り組み)
本年、生産性運動は、六十五周年の節目を迎える。われわれ、日本生産性本部は、二年前の二○一八年三月、設立当時に匹敵する覚悟で、生産性運動を再起動する決意を固め、「人口減少下の新たな生産性運動の基盤整備」を旗印に、三か年(二○一八年度から二○二○年度)からなる中期運動目標を掲げた。

われわれは、三か年の第一次中期運動目標の最終年度にあたる本年、「生産性運動六十五周年」を、日本の生産性改革の推進に向けた具体的な発信と実践活動の年と位置づけ、以下、取り組む。

本年三月二日開催の「生産性運動六十五周年記念式典」にあたり、「生産性白書」を公表する。この白書を軸に、国民各界各層が、今後の生産性改革のあり方について課題の共有と解決に向けた議論を行う基盤づくりに取り組み、合意形成活動を推進する。その一環として、全国生産性機関と連携し、全国各地で生産性に関する議論を喚起する。

また、六月を目途に「社会ビジョン委員会」において、「人口減少モデル」への産業構造・社会構造の転換を図るためのビジョンを発信し、国民的合意形成の基盤づくりに着手する。本年秋には、「日本サービス大賞」の第三回表彰式を開催し、革新的な優れたサービスを表彰し全国に普及促進することにより、高い成長余力を持つサービス産業の底上げに努める。

本年十月には、ミュンヘンにて日独経営者会議を開催する。世界の先進国が一様に生産性上昇率の低下に悩んでいる現状を踏まえ、日米欧の経営リーダーによる生産性を軸とした「対話」「交流」「共同研究・調査」の枠組みの構築をめざす。

このような活動を踏まえ、われわれは、十月二十六日及び二十七日の両日、各界に参加を呼び掛け、「生産性運動六十五周年記念生産性大会」を開催する。本大会では、重要な政策課題から企業経営に関わる実践課題まで生産性の切り口から幅広く議論を行い、日本の生産性改革の推進に向けて世論喚起をはかる。

以上の活動を通じ、われわれは、生産性運動三原則を基軸に、持続可能な経済社会の実現に向けて生産性運動を推進し、未来への責任を果たす。

2020年1月8日
公益財団法人日本生産性本部
会長 茂木 友三郎

新年互礼会

年頭会見に続き、2020年新年互礼会を開催しました。 茂木友三郎 日本生産性本部会長の主催者挨拶で始まり、各界から1,500名を超えるご出席をいただきました。

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