第5回 当事者意識を忘れず

■当事者意識を忘れず

早いもので「経営コンサルタント」になって四半世紀以上が経過した。私が30代前半頃に経営コンサルタントになった決意表明として考えた「めざす経営コンサルタント像(10か条)」がある。


1.企業経営のKEYのすべてをつかめる経営コンサルタントでありたい

2.トップマネジメントと強い信頼関係を構築する経営コンサルタントでありたい

3.常に成果を上げる経営コンサルタントでありたい

4.地に足のついた経営コンサルタントでありたい

5.〝変革〟のできる経営コンサルタントでありたい

6.独自の経営哲学に基づく揺るぎのない経営コンサルタントでありたい

7.時代の変化を読み、常に向上し環境適応する経営コンサルタントでありたい

8.熱意のある経営コンサルタントでありたい

9.思考力の高い経営コンサルタントでありたい

10.憎めない経営コンサルタントでありたい


振り返れば経営コンサルタントとして実際の経営現場で、この理想とする経営コンサルタント像を目指して必死にもがきながらやってきた。そのように自分なりに思えること自体は私の経営コンサルタントとしての矜持の源となっている。


次に、私が「経営コンサルティング」において、特に重要と思う考え方、視点について述べたい。一つ目は「当事者意識」を持った思考をすることである。経営の当事者の位置に立つことで初めて見えることがあるし、思考の真剣さも違ってくる。クライアントの重要な案件の検討をするときには、「自分が社長だったらどう思うか」の当事者としての視点を持って考えるようにしている。また、成果を出すのはクライアント自身なので、クライアントの担当者にいかに改革の当事者意識を持ってもらうのかということが経営コンサルティング成果に直結する要点と考えている。


二つ目は、財務・事業・組織を「一体的」に捉えて分析し考えることである。企業経営は表面的な分析では分からない本当に捉えにくい複雑なものであり、かつ経営環境変化の中で常に変化し続けそのスピードも速い。企業経営を「環境変化の中での複雑な財務・事業・組織の有機的な一体構造」と見て多面性かつ関連性を意識して、問題および重要経営課題の真因へアプローチしている。


三つ目は、経営を「先を」「高く」「深く」分析することを意識している。すなわち、過去ではなく今後「先を」見た、「高い」問題意識を持って、ロジカルに「深く」分析するという意味である。経営課題は過去にはなく常に「今後どうするか?」である。業績好調の優良企業であってもそれは過去のことであり将来が約束されている企業は世界中に1社もない。「先」を見て今後もいかに好調な業績を継続し、さらに良くしていくことが経営課題となる。また、特に優良企業に関しては「高い問題意識」がないと見えない課題も多くある。それは意識を高く持ちさらに良くしていくための課題、経営理念など目指す姿を達成するための課題である。そして、問題は表面的な分析では決して改善できない。「なぜなぜと深掘り」してロジカルに真因をとらえることが必須である。


最後に、ビジネスを「顧客起点」で考えることである。ビジネスは顧客へのお役立ちにより初めて成り立つものである。しかしながら、クライアント企業はどうしても自社目線、売り手目線になりがちである。このことはすべての会社にとって永遠の課題であり、経営コンサルティングの重要な要所となる。

コンサルタント紹介

主席経営コンサルタント

鍵谷 英二

千葉大学 法経学部 法学科 卒業
都市銀行勤務後、公認会計士資格を取得し監査法人に勤務。
「日本生産性本部 経営コンサルタント養成講座」を修了後、本部経営コンサルタントとして、中堅中小企業を中心に企業の診断指導にあたる。
(1965年生)

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